有料音楽配信について、最近日米で、異なる二つの記事が出ました。


07年の有料音楽配信41%増・日本レコード協会――携帯向け好調


 日本レコード協会(東京・港)は21日、2007年の有料音楽配信の実績をまとめた。全体の売上高は前年比41%増の754億8700万円だった。市場の9割を占める携帯電話向けは若者の需要などを取り込み好調だった。携帯音楽プレーヤーにも転送できるパソコン向けは18%伸びた。ただ、端末の普及が一巡したことなどで、2.7倍になった前年の伸びと比べると大幅に鈍化した。  携帯電話向けは41%増の680億1600万円だった。楽曲の一部だけ聴ける「着うた」は1%増と微増にとどまったが、楽曲を丸ごと一曲聴ける「着うたフル」は91%増と大幅に伸長。年間の売上高で「着うたフル」が「着うた」を上回ったのは初めて。市場拡大にともない全体の伸び率は鈍化しつつあるが、同協会では「高機能の携帯電話端末への買い替えなどでさらに伸びる余地はある」とみている。

(2008年2月22日/日本経済新聞 朝刊)


米音楽ソフト、アップル2位、昨年販売、配信伸びる。


米アップルは二〇〇七年の米音楽ソフト小売市場で、ウォルマート・ストアーズに次ぐ二位に浮上したことを明らかにした。配信サービスが好調でベスト・バイを販売数量で抜いた。調査会社NPDグループがまとめた音楽ソフトの企業別販売実績を基にアップルが公表した。  一曲ごとでも販売する配信の場合は十二曲をCDアルバム一枚と集計。アップルの配信サービス「iチューンズ・ストア(iTS)」は販売数量で二位につけた。iTS利用者が五千万人を超えたことも明らかにした。  アップルは「iPod」とiTSの相乗効果で音楽事業を拡大。米音楽ソフト販売ではアマゾン・ドット・コム、ディスカウント大手のターゲットを相次ぎ追い越し、昨年一―三月には三位に順位を上げていた。 (2008/02/28 日経産業新聞 P 4 )


アメリカのアップルはiPodの販売と音楽配信事業が絶好調ですね。


日本でも有料音楽配信市場が急速に成長しています。


ただし、日本の成長の中心というのは「着うたフル」であって、専用の携帯音楽プレーヤー向けの配信ではない、というところが興味深いと思います。


日本の有料音楽配信市場の9割以上は、携帯電話向けの配信による売上で、パソコン向けは1割です。


この比率は、欧米とちょうど逆になっています。


だから以前から僕は、アップルは欧米では好調で、日本でもiPodはよく売れているけど、iTMS事業は苦戦しているのではないかと思っていました。


もちろん、伸びてはいるわけですが、記事によるとその成長スピードに急激にブレーキがかかっているようです。


なぜ日本では、iTMS(moraなどもありますが)がそれほど伸びないのでしょうか。


ひとつには、欲しい曲がiTMSではまだまだ買えないということがあるのかもしれません。


例えばサザンオールスターズの曲はiTMSでは買うことができません。


だから伸びない。


でもその一方で、着うたフルだって、まだまだDLできないアーティストがたくさんいます。


にもかかわらず、携帯電話向けの配信はまだ成長を続けています。


これにはドコモの端末がHSDPAになり、着うたフルに対応し始めた、ということもあるのかもしれません。


あるいは、他の理由があるのかもしれません。



いずれにせよ、日本の音楽業界も、「レコード製造の売買差益で儲ける」という発想を変えていかなければならない時期にあると思います。


そして、日本の市場では、その大きなヒントの一つが携帯電話であると思います。



今後ずっと、着うたフルでの配信を拒否することで、レコード会社が得るメリットと、失っていくもの、この二つをよく見ながら、次の稼ぎ方を考えていかなければいけないのではないでしょうか。