五月雨の夜、もうすぐ人生の折り返し地点を迎える戦士達がアジトに集まった。
日中は各業界で手腕を振うツワモノ達の、他言無用の集まりである。
外は雨音と都会の雑踏が入り混じる耳触りの悪い音。
それに反して、彼らのアジトには「ゴキュリ ゴキュリ」と
何かを喉に流し込む、心拍音と同じリズムの心地よい音。
だがその音は、時間を追うごとに、ダークな音色に聞こえてくるから不思議だ。
その音が何十回も繰り返され、夜がミッドナイトと呼ばれる時間帯に
差しかかった頃、私は仲間の表情が一変したのを見逃さなかった。
花の都大東京において、決して見せてはいけない長い瞬き。
今、彼の時計は、一秒と一分がイコールとなってしまった。
身を守る術をまだ知らぬ、赤子の様な表情にシフトしたのだ。
オトコは、敷居をまたげば、七人の敵がいる。このままではヤツが危ない。
我々は仲間意識の強い集団である。
仲間の不幸は肩を寄せ、皆で同じ量の涙を流す。
そう、仲間の安全が最優先なのである。
仲間の一人が言い放った。
「助けよう。」
このままでは、額に楊枝を刺す輩が現れるのも時間の問題だ。
いや、油性ペンで、彼をキン肉マンに変身させてしまう悪者も
やってくるであろう。
私は彼を失いたくなかった。
「オレがやる。」
私は己の命と引き換えに、彼を危機から救う決断をした。
彼の足もとを守る分割式ソックスが、力強く地面を踏み締めた。
これで彼は、お花畑からコンクリートジャングルに生還出来る。
一同安堵した。
限りなく黒に近い茶色のカウンター。
座面が円形で昆虫のように細い四本足のスツール。
半世紀も時が止まったような盛り場で、ダウンタウンハイボールと
先が鋭利な細い棒状のものに、行儀よく均等に串刺しになったフードを
また共に堪能する事が出来る。
深夜が早朝に移り変わる頃、彼は無事、二度目の産声を上げた。
いつしか五月雨はやみ、五月晴れの予感がする心地よい朝が訪れた。
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団体名…東京ホルモンズ
TEL…非公開
住所…非公開
営業時間…16:00~深夜3:00(体調に応じて)
定休日…無休(前日の酒量に応じて臨時休業あり)
ホームページ http://ameblo.jp/tokyo-horumon/
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