きょうだい児は「責任感が強い」障害のある兄弟姉妹のケアやサポートに強い責任を感じる。自分の中でしっかりできた時は、喜びを感じることができる。だけれども、それを時には負担に感じることもある。サポートをしたい気持ちと、自分を大事にしたい気持ちが入り混じって複雑になる。#おは戦600406ad
— とく@きょうだい児の葛藤から人生を学ぶ (@toku_siblings) April 5, 2024
きょうだい児とは、障がいのある兄弟姉妹をもつ子のことです。
自分が生まれた時、もしくは障がいのある弟や妹が生まれた時から、きょうだい児としての生活が始まります。
前回の記事は、こちらです。
きょうだい児は、健常児者(障がいがないこと)であることがほとんどで、障がいのある兄弟姉妹のお世話をすることが多いです。
障がいの程度によりますが、多くの場合は、障がいのある兄弟姉妹よりも、比較的なんでもできます。
なんでもできるが故に、親からさまざまなことを頼まれます。
・お兄ちゃんから何か言われたら手伝ってあげて
・弟のできないことは一緒にやってちょうだい
・お姉ちゃんの話しを聞いてあげて
・妹のご飯の準備を一緒にしてちょうだい
できることに限りはありますが、親もできないことは頼みません。
なぜなら、いつもやっていることだからです。
頼み事をされた時に、きょうだい児は以下のようなことを考えます。
・親が大変そうだから手伝ってあげよう
・いつもやっていることだから大丈夫かな
・間違えたことを教えないように気をつけよう
・全部やってあげないで、できないところだけ手伝ってあげよう
できることを頼まれるので、断る必要もありません。
そして、障がいのある兄弟姉妹からも、親からも、『やってくれてありがとう。助かった。』と言われることが純粋に嬉しいからやっていきます。
・やってよかったな
・また手伝ってあげよう
・これくらいならできる
・きちんとできてよかった
・しっかりやってあげよう
と、ポジティブな感情が多く出てきます。
しかし、頻繁に頼み事をされると、次のような感情が生まれてきます。
・いつもいつも頼まれてイヤだ
・今は忙しいから、後にしてほしい
・ちょっとくらい、自分でやってもいいんじゃない
・どうしていつも、わたし(ぼく)ばかりやらなきゃいけないの
・自分の時間も大事にしたいんだけど
・同じ兄弟なのに不公平だ
ネガティブな感情が現れてきます。
場合によっては、声に出して言ってしまうこともあります。
しかし、ほとんどの場合は、自分の感情を表に出すことなく、淡々と頼まれたことをやっていきます。
『いつも頼んでばっかりでごめんね』
『大変だよね、ありがと』
うっかり声に出して、ネガティブ感情を言った時に、親や障がいのある兄弟姉妹から言われることがあります。
肢体不自由の障がいの場合は、体は動きませんが、言葉を発することができるため、申し訳ないという気持ちを伝えてくれます。
しかし、申し訳なさを伝えられた時に、きょうだい児はひねくれた感情が出てきてしまいます。
”そんなこと言ったって、結局はできないから、やってあげないといけないもん。仕方がない”
文句を言ったところで、何も変わらないことも知っているので、表面上はニコニコしながらお手伝いをします。
きょうだい児も、人間なので、感情の波があります。
ポジティブ感情の時には、もっとやってあげよう、一生懸命やってあげよう、ここまでならできる、となんでもやることができます。そして、できた時には、達成感と喜びに包まれます。また頼まれたらやってあげよう!と責任感を強くしていきます。
ネガティブ感情の時には、”何にもしたくない””勝手にしたらいいじゃん””今日は言うこと聞きません”と頑固になります。親や障がいのある兄弟姉妹からしたら、とても困ることだとわかっています。
しかし、この行動は、自分自身を守るための防衛反応でもあるのです。
ネガティブな感情が出ることは、悪いことだと言われていますが、責任感が強くなりがちなきょうだい児にとっては、大切な感情です。
きょうだい児は、自分の感情を表に出すことが苦手です。
いつも我慢している環境で過ごしているからです。
だからこそ、なんでもできる、なんでもやってあげられるという責任感を持ちやすいです。
その反動が、ネガティブな感情であると考えています。
親は、自分の子どもだから障がいのある兄弟姉妹についての面倒をみるのは普通です。
しかし、きょうだい児はどうでしょう。
・同じ親から生まれてきた
・障がいの有無によって、親の態度が違うことを身近で感じている
・親の手伝いをするために、面倒を見なきゃいけない
・面倒を見るのが役割だ
きょうだい児であることで、おそらく普通の人は経験しないようなことを経験しています。
”親がお世話をしているから、お手伝いするのが当たり前”そんな感覚になっているのです。
世間一般の当たり前、とは異なる環境に置かれていることがわかります。
だからこそ、『しっかりしないと』『ちゃんとしないと』『やれることをやろう』という気持ちになりやすいです。
1つの物事に対して、真剣に向き合う時間が多いため、”良くできる子”と見られています。
”良くできる子”の呪縛に囚われているきょうだい児も多くいますが、きょうだい児だからといって、自分の人生を障がいのある兄弟姉妹、親の手伝いに捧げる必要はありません。
多くの経験をしてきたからこそ、自分が好きなように人生を歩んでいくことができます。
・他の人が知らないことを知っている
・こんな感情になるんだと言うことを知っている
・障がいのある人を見ても、それほど驚かない
これは、きょうだい児ならではのことではないでしょうか。
少しのことでは動じない気持ちを持っているので、それを自分に向けてあげて、自分の人生を輝けるものにできるようにしていけたらいいなと感じています。
次回に続きます。