きょうだい児とは、障がいのある兄弟姉妹をもつ子のことです。

自分が生まれた時、もしくは障がいのある弟や妹が生まれた時から、きょうだい児としての生活が始まります。

 

 

前回の記事は、こちらです。

 

 

きょうだい児の多くは、結婚に対して消極的な意見を持っていることが多いです。

その理由としては、以下のことが挙げられます。

 

 

・結婚したいと考えている相手に理解してもらえるか不安

・家族に受け入れてもらえるか心配

・将来の親亡き後のことを考えると伝えることに躊躇する

・伝えたことによって、嫌われてしまうのではないかと考える

・子どもを授かった時に、障がいのある子どもが生まれてきたら心配

 

 

このようなことを考えてしまいます。

 

障がいのある兄弟姉妹がいる場合、その兄弟姉妹受け入れてくれるのかどうか、その姿を見た時に、嫌われてしまわないか不安になってしまいます。

自分の力ではどうにもできないことですが、そのことで差別や偏見を受けてしまう可能性があることを知っているからです。

『障がいが移ってしまうんじゃない?』『これからのことは大丈夫なの?』『面倒を見続けないといけないの?』などと、心許ない発言を聞いて、態度には表しませんが、心の中では深く傷ついています。

 

 

 

”こどもがほしい!”と言ったら、どんな反応をするんだろう?ということも気になるところです。

『障がいのある子どもが生まれてきたらどうするのか。』『育てていける自信がない』など言われると何も言い返すことができません。

 

 

実際に子どもができた時のことを、自分自身に置き換えて考えたときに、第1子が障がいがあって、第2子、第3子は障がいがない。第1子は障がいがあったが、第2子は障がいがないなど、その家庭によって、さまざまです。

絶対に障がいのある子が生まれないとは言えないですが、絶対に障がいのある子が生まれてくるとも言えないのが現状です。

 

 

 

 

染色体異常などの先天性疾患でない限り、障がいのない子どもである可能性は非常に高いです。

それでも、発育・発達の過程の中で、育てにくさを感じたり、他の子どもと比較してみたりすることで、障がいがあるかもしれないと感じて、検査をすると、何かしら見つかることがあります。

 

 

自閉症(ASD)、注意欠陥多動性障がい(ADHD)など、生まれた時にはすぐにわからないものが、乳幼児健診などで見つかることがあります。

 

その場合に、障壁となっていることがあります。

それは、”自分自身も小さい時にはそうだった”ということです。

 

 

少し前までは、発達障がいなどの概念はなく、ちょっと手のかかる子、落ち着きのない子、というように、困り感はあったものの周りが受け入れられる環境、余裕がありました。

今は、医療等の進歩により、障がいの判定がつきやすくなったこと、対処方法が確立されてきていること、保育園などの対応のためにということもあり、早いと1歳になる頃には、診断がついていることもあります。

 

 

”自分もそうだったけど、普通に大きくなったから大丈夫だよ”

 

 

この言葉をすぐに信じることができない人が多いです。

”あなたは大丈夫だったかもしれないけれど、どうなるかわからないじゃん”

これが、素直な気持ちではないでしょうか。

 

 

 

きょうだい児でも、結婚をして一般的な家庭を持っている人もたくさんいます。

子育てをしている人もたくさんいます。

中には、障がいのある子どもが生まれてきてしまったという人もいます。

 

 

それでも、きょうだい児だからこそ、受け入れられる部分があるのではないかと考えています。

 

 

 

・きょうだい児だからこそ、いろんな経験をすることができる

 結婚においての超えなければいけないハードルはたくさんあります。その分、うまくいかないという経験もたくさんするかもしれません。まだまだ障がいに対する理解が得られない世の中であるということを痛感します。

それでも、様々な経験を通して、深い人間性を見せることが可能です。こんな世界もある、あんな世界でも生活することができる、とどのような環境でもある程度順応する力があります。

 

 

・きょうだい児だから見える世界がある

 一般的は家庭であれば、普通の子育ての仕方に奮闘することがほとんどです。きょうだい児の場合、小さい時から障がいのある兄弟姉妹の世話をしてきている経験があるため、こんな時にはこういう対応をしたらいいんだ!と経験値が豊富です。必ずしもその通りにならないこともありますが、他の家庭よりも受け入れられる体制が整っています。

 

 

・障がいのある兄弟姉妹の気持ちがわかる

 自分自身の子どもが障がいがあった場合に、落ち込んでしまう可能性はありますが、支援先を知っていることで、一人で抱え込まずに、相談しながら子育てをすることが可能です。また自分の家族も受け入れてくれることが多いので、協力しながら子育てをすることができます。

 

 

 

 

きょうだい児は、苦労する、大変、かわいそうと思われていますが、きょうだい児だからこそ経験できることもたくさんあります。苦労した数だけ、辛い経験をした分だけ、自分自身の糧になっていきます。

それを乗り越えるのは、勇気がいるし、難しいと思うこともありますが、乗り越えた先には、きょうだい児が作り上げることができる世界があります。

 

 

一般的な家庭の人では理解し難い深い経験をもとにした体験談を話すこともできるし、こんなことがあるから・・・と後世に伝えることもできます。それを見て、周りの人の理解も少しずつ進んでいくのではないかと考えています。

 

 

きょうだい児が作り上げていく世界は、誰もが優しくできる世界であり、誰一人かけることがない、素晴らしい世界を作ることができます。

そのために、一人ひとりが自分自身を大切にしていくことが一番必要なことであると考えています。

自分らしい生活を手に入れるため、我慢しないで、好きなことができる世の中を作っていきたいですね。

 

 

次回に続きます。

きょうだい児は「障がいのある兄弟姉妹が、普通の子だったらよかったと考えてしまう」