下関のフグ | 徳富 均のブログ

徳富 均のブログ

自分が書いた小説(三部作)や様々に感じた事などを書いてゆきたいと思います。

 フグ料理の主役、ふぐ刺し。その「飾り盛り」はフグ料理人の腕を表している。皿の文様が透けるほど薄く引くのは、よく締まり、弾力性がある新鮮な身の味わいを最大限に引き出すためである。厚く引いては独特の食感が損なわれてしまうという。

 飾り盛りの代表は「菊盛り」で、フグの身を菊の花びらに見立てて皿の外側から盛り付けていく。中心に向かって真円を描くように盛り付けなければならず、皿が大きくなるほど高度な技術を必要とする。この「菊盛り」をさらに発展させた「孔雀盛り」は、一度削ぎ切りにしたフグの身にさらに包丁を入れ、身を二枚に開いた「二枚引き」の刺身を使う。ほかにも、軽くあぶった「たたき盛り」など、熟練した料理人の創意工夫によって、100年ほど前からフグの飾り盛りは、芸術の域にまで高められた。

 「飾り盛り」では、器との相性も重要になってくる。フグの淡泊な味を生かすためには、皿は磁器か塗り物でなければならない。陶器だと刺身の水分を器が吸ってしまい、繊細な味を損ねてしまう。また、器の色や絵柄にも心を配り、一つの芸術作品となるフグ刺し。料理人の技術が十分に活かされる芸術作品と言えるでしょう。

 フグ料理だけではなく、料理はそれをつくる人の感性が現れます。それはプロの料理人だけではなく、家庭での料理にも言えるのではないでしょうか。要するに、相手に対する「気遣い」が必要だということです。