では、参るぞ弥九郎!
待たんか邦次郎!
幕末前期を生きた伊豆韮山の名代官・
江川太郎左衛門英龍(幼名が『邦次郎』)公の
忍び旅を描いた冒険活劇
英龍公は、
私がとてもとても愛している御方なので
噛みしめるように読みました。◕‿◕。
相棒の剣豪・斎藤弥九郎と共に、
刀売りに変装して甲州山梨県あたりを廻り、
結果的に、
村々の揉め事やら悪代官やらを成敗
そしてある出会いを経て
兵糧としてのパン作りに目覚めたり、
闇に堕ちたかつての『友』と対峙したり。
うん、旧き佳き『時代劇』を見ているような
小説でしたね。
あくまで物語としてですが、
ウマくまとまっていて読後感はスッキリ
私がどれだけ英龍公を愛しているかは
🔻コチラ🔻に書きまくったので割愛して、
この小説に描かれた、
『刀売りに変装して
斎藤弥九郎と共に甲州を廻った』というのは
史実なんですよね(・o・)。
もともと甲州は荒れた厳しい土地で
博徒や無宿人が暴れまわり、
幕府から支配を任じられた役人も
匙を投げる有り様。
一揆は多発し民心も荒んでいる。
加えてこの頃、
1837年に大阪で起きた『大塩平八郎の乱』の
残党が甲州の地に潜んでいるとの噂もあり、
近隣にある伊豆も他人事ではないと、
誰に頼まれたワケでもないのに
韮山代官・英龍公自ら忍び旅に出るのです。
この旅、代官所の人は知らなくて、
奥さんと、親友で一応『家臣』にしていた
斎藤弥九郎さんだけが承知してたんだって。
奥さんは毎日毎日ゴハンを運んで、
英龍公が不在であることを隠してたという
話も聞いた。
以前も書きましたが、
私が韮山に行ったのは10年以上前ながら、
そういう話を地元の方が、
嬉しそうに笑い話みたいにして話してくれて、
なんかいいなあ(◍•ᴗ•◍)と思ったのでした。
無論、の小説で語られている
勧善懲悪☆人情譚みたいな、
わかりやすい出来事は現実にはなくて、
ひとつひとつ、
揺らぐ小石を積み上げるようにして民心を労り、
悪習を廃し、不正を憎み、
役人にも質素倹約を徹底させた英龍公。
※甲州代官は仕事放棄しちゃってたから
英龍公が幕府の許可や依頼を得て少しずつ着手。
やがて甲州の地も韮山代官の支配となる。
英龍公は民から『世直し江川大明神!』
とまで言われたってんだから、
どれだけ愛され、慕われていたか
今でも充分想像することができますね。
あー、もう大河ドラマにしちゃってよ
なお、有名なハナシですが、
この『甲州微行(忍び旅)』は、公自ら
回想絵を描いてる🔻🔻
後ろにいるのが斎藤弥九郎。刀持ってるネ。
・・・ちなみに維新の英傑・桂小五郎が
弥九郎のもとに『弟子入り』するのは
まだまだ先の話です。
そんなこんなで、
若き日の英龍公の冒険活劇、
楽しく読みました。
もし公がシブサワさん並に
もっともっと長生きしてくださったら、
幕末はあんなに混乱しなかったと
思うよ。ホントに。
それだけが悔しいけど、
まだまだ貴方様の功績を辿り続けますね。
作者様、ありがとうございましたm(_ _)m