好きなモノは好き!@ヘタレワーママ言いたい放題blog

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吉沢亮さんをこよなく愛しているヘタレワーママです。
好きな特撮やドラマ、本、歴史、日常生活etc,書いています♪
かなり年下な夫と、
ムスメ2人の4人家族で今日も猪突猛進(笑)。



婚活して結婚、



妊活して妊娠➡出産した兼業主婦が



日々思うことを気ままに書いています。






※限定記事は、ボヤキやグチ等

自己中心的な呟きのため非公開としています。

誠に勝手ながらご理解くださいませ。



◆自己紹介を掲載しました


 (記事の下のほうにあります)↓↓




https://ameblo.jp/tokozaemon412/entry-12373152479.html



































みんな、この骸骨ビルの子なんや。




㉚㉛

舞台は1994年の大阪。

十三(じゅうぞう)という下町にある
通称『骸骨ビル』の取り壊しと再開発のために、
東京から送り込まれた八木沢省三43歳。

八木沢は、
ビルに住み着いて出ていこうとしない連中と
向き合う日々の中で、

彼らが『戦災孤児』であり、

戦後の混乱期にこのビルを相続した青年と
その親友に拾われ、育てられたことを知る。


元・復員兵だったその奇特な青年は、
育てた孤児の1人から性的虐待を訴えられ
失意のうちに亡くなっていた。


彼の『汚名』が晴らされるまでは
この『骸骨ビル』から立ち退かないと、
親友だった茂木泰造は言う。

彼らの壮絶な半生を聞き、
親友を想い、今を生きている茂木の姿を
目の当たりにしながら、

この国が未だ公に語ることの無い、
子どもたちと帰還兵の『戦後史』を知る
八木沢省三。


奇特な青年の汚名は晴らされるのか。

元・孤児たちは
『骸骨ビル』から立ち退くのか。


ーーーそんな『わかりやすい結末』よりも
胸に沁みるラストシーンがあります。

そのシーンのために
読むのも辛い彼らの戦後史を辿ってきた、
といっても過言ではないです。


妾腹の子として育った青年が、
紆余曲折あって相続した『骸骨ビル』。

死線を彷徨った戦地から帰国し、

ビルの前に棄てられた孤児を
助けてしまったことから始まった物語。


突然、親が死んでわけのわからないまま
独りになった子や、
頼みの親に棄てられた子など、

様々な事情を背負った子たちの『親代り』に
なるのは並大抵のことではなかった。

それでも何故やるのか、と自問自答する
若き青年の心の動きが丁寧に書かれていて
見入ってしまいましたね・・・


あやぶむことなかれ。
但偏に思ひ切るべし。



そのときの決断を支えたのが、
過去の師であり、学びであった。

決して綺麗事ではないけれど。


更に言えば、そんなにまでして
何十人という孤児たちを育て上げ、

中には立派な社会人として大成した子も
いるが、

最期は何とも悔しい汚名を着て死ぬ。

それが本当に汚名なのか否か、
明確な結論はありませんが、
読んでいけば言葉にせずともわかりました。


人生は勧善懲悪ドラマのようにはいかず、
哀しいこと、割に合わないことが多いけど、

それでも
生きて、ここまで来て良かったなあ、と
思える小説でした。

文字通り、心が洗われた気がする。
現実の残酷さをありのまま書きながらも、
優しい文章はさすが宮本輝さん。

読んで良かった。
作者様ありがとうございましたm(_ _)m


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下三角戦争の話から