風に吹かれて、よしなしごとを

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29Jul
- 「毒舌弁護人　正義への戦い」（2023年香港）
  本国で大ヒットした香港映画「毒舌弁護人　正義への戦い」を見た。裁判官のラム（ダヨ・ウォン）は、まじめな裁判官ではなかったが、それなりに正義を貫き働いてきたつもりだったが、上司の不快を買い、首になってしまう。弁護士として働きだしたラムだったが、簡単に勝てると思っていた最初の裁判に敗訴し、無実の依頼人を犯罪者にしてしまう。その事件の裏には大財閥の女がかかわっていた。面白かった。前半は紋切り型で退屈な作品かと思っていたが、サスペンス要素が加わって後半からは俄然面白くなる。金には負けない正義は勝つ！って感じだけど、単純だけど、心は燃える。スカッとするのは爽快だ。監督・脚本はジャック・ン。出演は他に、ツェ・クワンホー、ルイーズ・ウォン、フィッシュ・リウ、マイケル・ウォン、ホー・カイワ。
28Jul
- 「キングダム　大将軍の帰還」（2024年「キングダム　大将軍の帰還」製作委員会）
  キングダムシリーズ第4弾「キングダム　大将軍の帰還」を封切りで見た。奇襲でフウキを打ち取った信（山﨑賢人）の隊は、野営をしていた夜、謎の武将に襲われる。その男は武神と呼ばれる趙の総大将ホウケン（吉川晃司）だった。ホウケンは、圧倒的な力を示し、信もキョウカイ（清野菜名）も寄せ付けなかった。壊滅的な被害を受け、ばらばらに逃れた信の隊は、やっとの思いで王騎（大沢たかお）のもとに参集するが、ホウケンと王騎の間には浅からぬ宿縁があった。やっぱ面白い。戦闘シーンもさすがの迫力だった。知力を尽くした総力戦はスリル満点だ！いいよねえ。シリーズ最終作とか言ってるのはなぜなんだ。お願いだ、もう少しやってくれ！小栗旬君、勝つ役どころはこの後だろう。要潤さんも橋本環奈ちゃんももっと活躍せねば。山田裕貴君もその扱いじゃ不満だろうに。吉川晃司さんは山﨑賢人君が清野菜名ちゃんと倒さなければ終われまい。統一までとはいわないから、もう少しやってください。
27Jul
- 「アナログ」（2023年「アナログ」製作委員会）
  ビートたけしの同名恋愛小説を映画化した「アナログ」を見た。インテリアデザイナーの悟（二宮和也）は、自分が手掛けた喫茶店で、自分のこだわりを評価してくれた女性・みゆき（波瑠）に出会う。喫茶店で何度か会ううちに好意を覚えた悟はみゆきをデートに誘おうとするが、みゆきは携帯を持たない女性で、２人の待ち合わせは木曜日の喫茶店と決められていた。しかし、悟がプロポーズしようとした日、みゆきは喫茶店に現われなかった。面白くないことはなかったけど、どうなんだろう、たとえエピソードが原作と同じだったとしても、映画的に劇的にすべく各人の感情を強く扱った感じはないだろうか。だから却って絵空事に見えてしまったということはないだろうか。もっと淡々と描いた方がよかった気がする。監督はタカハタ秀太、脚本は港岳彦。出演は他に、桐谷健太、浜野謙太、鈴木浩介、板谷由夏、高橋惠子。
25Jul
- 「宇宙探索編集部」（2023年中国）
  コン・ダーシャン監督の北京電影学院の卒業制作として企画されて、映画祭で評判を呼んで一般公開された「宇宙探索編集部」を見た。一時は中国で人気雑誌だった「宇宙探索」だったが、いまや読む人もなく廃刊寸前。それでも宇宙人の存在を信じる編集長のタン（ヤン・ハオユー）は、起死回生を願い、宇宙人が現れたという情報を信じ、仲間たちを引き連れ、宇宙人探しの旅に出る。面白かったけど、この奇想天外だけど、チョーまじめな展開にどこまで肩入れできるかによって感じ方が違ってくるかもしれない。オールシネマはコメディに分類しているけど、コメディなのかね！？　編集長はとてもとても魅力的だった。脚本はコン・ダーシャンと、宇宙人とコンタクトがとれる青年を演じたワン・イートン。出演は他に、アイ・リーヤー、ロイ・ワン、チャミー・ジャン、ション・チェンチェン。
- 「アステロイド・シティ」（2023年アメリカ）
  ウェス・アンダーソン監督の「アステロイド・シティ」を見た。司会者が登場し、新作舞台劇の裏側を紹介するテレビ番組をこれから放送すると紹介する。モノクロで描かれるその裏側と同時進行で、カラーの舞台劇が実写で進行していく。戦場カメラマンのオージー（ジェイソン・シュワルツマン）は、闘病の末に妻を亡くしたばかりだったが、子供たちにそれをまだ伝えられずにいた。オージーは天才児の息子ウッドロウ（ジェイク・ライアン）のジュニアの科学大会に出席し、義父のザック（トム・ハンクス）に、子供たちを預けるつもりだった。わけがわからない。コメディなんだろうけど、笑えるところは少ない。諧謔とかなんだろうけど、理解不能だ。ウッディ・アレンとかの気取った演出と共通するのだろうか。何のための映画なのか、わからない。だめだ。出演は他に、スカーレット・ヨハンソン、ジェフリー・ライト、ティルダ・ウィンストン、エドワード・ノートン、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー。
24Jul
- 「リバー、流れないでよ」（2023年ヨーロッパ企画）
  劇団「ヨーロッパ企画」初のオリジナル長編映画第２弾「リバー、流れないでよ」を見た。京都・貴船の老舗旅館の仲居・ミコト（藤谷理子）は、番頭さん（永野宗典）と部屋の片づけをするが、ふと気づくと川のほとりに立っていた。それはその後も続き、ミコトは２分間のタイムループの中に閉じ込められたことを知る。そのあたり一帯がタイムループの中に閉じ込められたようだった。面白い。企画だけでなく、人情味も加味して厚みが出た。「ドロステのはてで僕ら」を見てなかったら、「MONDAY　このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」の模倣作品かと思ったかも。シチュエーションが似てるっちゃ似てる。よくあるパターンなのかなあ。タイムパトロールっていう落ちにもう一工夫欲しかったかなあ。監督は山口淳太、原案・脚本は上田誠。出演は他に、鳥越裕貴、本上まなみ、早織、角田貴志、坂井善史、近藤芳正、諏訪雅、石田剛太、久保史緒里。
22Jul
- 「ドロステのはてで僕ら」（2020年ヨーロッパ企画）
  劇団「ヨーロッパ企画」初のオリジナル長編映画「ドロステのはてで僕ら」を見た。カフェの店長・カトウ（土佐和成）は、店じまいを店員のアヤ（藤谷理子）に頼んで、店の上の自室に戻るとテレビに映った自分から話しかけられる。テレビの中の自分は「自分は２分後の自分」だと主張する。訳が分からず店に戻ると、店のテレビの中にも自分がいた。面白い！　その発想自体が奇妙キテレツで痛快。訳が分からないけど、ドタバタコメディは楽しくおかしく進んでいく。なんでこんな発想ができるんだろうねえ。感心しちゃう。そのシチュエーションに乗っけるドラマもいいよねえ。楽しい。監督は山口淳太、原案・脚本は上田誠。出演は他に、朝倉あき、石田剛太、坂井善史、諏訪雅、永野宗典。
21Jul
- 「グランツーリスモ」（2023年アメリカ）
  レースドライブシミュレーションゲーム「グランツーリスモ」のプレイヤーから実際のレーシングドライバーになったヤン・マーデンボローの実話に基づいた映画「グランツーリスモ」を見た。プロのドライバーに憧れるヤン（アーチー・マデクウィ）は、ドライビングシミュレーションゲーム「グランツーリスモ」に精通し、そのテクニックでは誰にも負けなかったが、父はゲームに熱中する息子に苦言を呈す。そんなとき、日産のダニー（オーランド・ブルーム）は、グランツーリスモの最強プレイヤーを実際のレーシングドライバーにするという企画を立ち上げる。見事その試験に合格したヤンたちグランツーリスモの最強プレイヤーは、過酷な訓練に明け暮れる。面白かった。実話だから納得せざるを得ないけど、ストーリーが劇的だよね。めっちゃドラマチックで感動させられる。監督は、ニール・ブロムカンプ。出演は他に、デヴィッド・ハーバー、ダレン・バーネット、ジャイモン・フンスー、メイブ・コーティエ＝リリー、ヨシャ・ストラドフスキー。
19Jul
- リュウゼツランと千客万来
  ママが、数十年に一度だけ咲く花リュウゼツランを観たいというので（もう次に咲くときは死んでると思うぞ！と脅された気もする）日比谷公園に。かなり高いところに花が咲いていて遠かったけど、目に焼き付けてきました。久しぶりの有楽町からの日比谷は懐かしかった。ほとんど食に結びついたものだけだったけど。せっかく都内に出てきたので、話題の豊洲「千客万来」に行ってみた。楽しかった。食ばっかじゃん！！中とろのマグロ串、抹茶ラテ、虎杖のお寿司、卵焼き食べた！！量が食べられなくなったのでもっと食べたかった。豊洲から各駅の直通で帰ってきた。寝てればあっという間じゃ！
18Jul
- 「スクロール」（2023年ショウゲート）
  北村匠海と中川大志がW主演を務めた「スクロール」を見た。僕（北村匠海）は嫌な上司（忍成修吾）にいびられ、先の希望もなく死にたいと思っており、唯一の救いは本音をネットに投稿することだった。そんな時、僕は大学時代の友人ユウスケ（中川大志）から電話をもらう。共通の友人だった森が自殺したという連絡だった。なんかうっとうしい作品だった。持って回った描き方も、私は考えて悩んでいます、みたいな表現もことごとく苦手だ。こういう脚本と演出する奴って頭悪いような気がする。これで真面目に人生考えてます、みたいな気でいるのだろうか。そのノー天気さに辟易する。まだこんなバカみたいな作品が青春だ！みたいに思ってるやつ、いるんだろうか？　監督は清水康彦、原作は橋爪駿輝。出演は他に、古川琴音、松岡茉優、MEGUMI、金子ノブアキ、相田翔子。
16Jul
- 「空気殺人～TOXIC～」(2022年韓国)
  韓国で実際に起きた大企業の隠ぺい事件を描いた「空気殺人～TOXIC～」を見た。大学病院で働く医師テフン（キム・サンギョン）の幼い息子が緊急で運び込まれる。肺が硬くなる病気だった。さらにテフンの妻（ソ・ヨンヒ）も同じ病気で亡くなってしまう。彼らの死因に疑問を感じたテフンと義妹のヨンジュ（イ・ソンビン）は、原因を探り始める。面白い！　実話だからあり得た話として受け入れるしかないしね。大企業だからといって信用しても裏切られるという事実は、日本の自動車メーカーのデタラメを見てもわかることなのかもしれない。どんでん返しは意外だった。監督はチョ・ヨンソン。出演は他に、ユン・ギョンホ。
14Jul
- 「魔女の宅急便」（1989年スタジオジブリ）
  宮崎駿監督の「となりのトトロ」に続く作品「魔女の宅急便」を見た。魔女の血を受け継ぐ13歳の少女キキ（高山みなみ）は、相棒の黒猫ジジ（佐久間レイ）と修行のために1年間、よその町で暮らす旅に出る。海に面した美しい大きな町にたどり着いたキキは、そこで暮らすことを決めるが、都会の人々はキキに無関心だった。そんなとき、オソノ（戸田恵子）が営むパン屋の前を通りがかったキキは、パン屋の客の忘れ物を届けてあげたことから、パン屋の2階に住むことになる。面白い。文句なしに面白いし、ファンタジーは心地よく、言うことはない。大ヒットを記録し、宮崎駿とスタジオジブリの存在を不動のものにした作品というのも納得できる。ストーリー展開もスムーズだし、キャラクター設定もストーリーに即していて過不足ない。大好きです。といっても「いまさら」感はあるよね。すみません。原作は角野栄子、脚本は宮崎駿。声の出演は他に、山口勝平、加藤治子。
05Jul
- 大阪旅行その後
  3日間の大阪旅行で毎日けっこう歩いた。けっこう疲れた。夜は泥のように眠った。３日間で4万歩強は歩いた。昨日は湯船にどっぷりつかって長湯して体重計に乗った。太ってた。？？？？？太ったのか！？そうか、太ったのか！！１日目、６時におにぎり食べて、東京駅で駅弁物色してその駅弁は、新横浜に着く前になくなっていた。大阪に着くまでにつぶグミとマカデミアナッツチョコレートと裂きイカ食べて、コーヒー飲んだ。（車内販売がないと聞いて焦ったけど。お菓子かっておいてよかった）大阪着いて、たこ焼き食べて、いかの丸焼き食べて、かき氷食べて夜はストップ言うまで、串揚げ食べた！太ったのか！？仕方ないか！そういえば、ずっとお腹いっぱいだったもんなあ。昨日、クドカンの「新宿野戦病院」を見た。住めばミヤコ蝶々、って言ってた。せめて、住めば都はるみ！が限界じゃないかと感じたのは僕だけだろうか？そうか、太ったのかあ！！
04Jul
- 大阪旅行
  月曜日から大阪まで２泊３日で旅行してきました。大阪１日目９：00東京発の新幹線。お昼前に着いて梅田のコインロッカーに荷物預けてアメリカ村へ。面白いお店がいっぱいあった。甲賀流本店でたこ焼き食べて道頓堀まで足を延ばして、道頓堀川をクルーズ！楽しかった。宿泊は十三、ホテルプラザオーサカ。なので十三の串揚げ屋さん「くしちゅう」さんへ。おまかせでいただきましたが、上品な串揚げで、どれもこれも美味しゅうございました。大阪２日目。朝からUSJへ。今回の大阪旅行はこれが目的でした。前に行ったときはハリー・ポッターがまだ開業していなくて悔しい思いをしたから、そのリベンジ。8：00オープン。さっそくハリー・ポッターのエリアへ。感動！　ボグワーツ村も城も泣ける！「ハリー・ポッター・アンド・ザ・フィービドゥン・ジャーニー」に乗った。躍動！！描かれた映画はどれだったのかな。ディメンターが襲ってきたのは1作目じゃないよなあ。そのあと、ニンテンドーの入場パスを予約してスプラッシュパレード見た。パレードはわくわく感が止まらない。コナン見て、メリーゴーラウンド乗って、ジョーズ乗って、モンスター・ロックンロール・ライブ見て、中華食べて、ホットドッグ食べて、恐竜に会って、「ウォーターワールド」でわくわくしてニンテンドーへ。ニンテンドー、めっちゃ混んでて何もできなかったけど、その世界にいられただけで満足しました。19：00まで堪能しました。楽しかったあ。満足しました。また来たい！！！！大阪3日目。朝から黒門市場へ。外人ばかりだったけど、盛況だった。カニと肉、牛筋焼きそば食べた。四天王寺さんと庚申堂にお参りして御朱印いただいて今宮戎でも御朱印いただきました。通天閣のおひざ元でお好み焼きとビールをいただき、くたくたになって帰ってきました。
29Jun
- 「ちひろさん」（2023年アスミック・エース）
  有村架純主演の「ちひろさん」を見た。街の小さなお弁当屋さんで働くちひろさんは、元風俗嬢で、過去になにか問題を抱えた女性らしかったが、周囲に人々には優しく、彼女に癒される人は多かった。シングルマザーの子供、典型的な良い家庭に違和感しか抱けない女子高生など、彼女のまわりに人は集まってくる。物語は大きな波乱もなく淡々と進むのだけれど、展開やひとつひとつのエピソードがあざとくてなかなか物語に没入できない。いかにもという典型的な人ばかりが登場して嘘くささを感じる。あとシーンシーンがわざとらしくて芸術だぞ！って言ってるみたいでうんざりする。勘違いしてるんじゃないのかな。結局ちひろさんの過去もなにも解明されないし、解明しないんだったら、謎めかせるなよな、気色悪い。監督は今泉力哉、脚本は今泉と澤井香織。出演は他に、豊嶋花、若葉竜也、市川実和子、根岸季衣、平田満、リリー・フランキー、風吹ジュン。
28Jun
- 「ショコラ」（2000年アメリカ）
  ジュリエット・ビノシュ主演の「ショコラ」を見た。フランスの小さな村に北風とともに母ヴィアンヌ（ジュリエット・ビノシュ）と娘アヌーク（ヴィクトワール・ティヴィソル）がやってくる。彼女たちは、南米に伝わるチョコ―レートの効能を広めるために村々を旅していた。彼女たちを訪れた村長は、ミサに参加せず、父親のいないアヌークを見て、村人たちにヴィアンヌのチョコレート店にいくことに圧力をかける。しかし、ヴィアンヌのつくるチョコレートは次第に村人たちの心を溶かしていく。そんなとき、自由に暮らすボートピープルたちの一団が村の川岸で暮らし始める。人物設定が典型的だから、いかにも、って感じがするけど、寓話なんだって割り切ってしまえば気にならなくなるかも。積み重ねるエピソードの到達点が説得力があるか、っていうとそこも少々不安だけど、寓話と思ってください。エンディング、すべてがうまく行っちゃうのはなんか重みを亡くしちゃってる気がするけどなあ。監督はラッセ・ハルストレム。出演は他に、ジョニー・デップ、アルフレッド・モリーナ、ジュディ・デンチ、キャリー＝アン・モス、レナ・オリン。
27Jun
- 「死刑にいたる病」（2022年「死刑にいたる病」製作委員会）
  白石和彌監督の「死刑にいたる病」を見た。筧井雅也（岡田健史、現・水上恒司）は、高校生ばかりを狙い、拉致して拷問ののちに殺害する連続殺人鬼の榛村大和（阿部サダヲ）から手紙をもらい、獄中の榛村に会いに行く。榛村は殺人鬼だったのも関わらず、彼の経営する喫茶店は、高校受験の勉強に追われる雅也にとっては唯一の憩いの場所だった。面会に訪れた雅也に榛村は、数々の殺人の中で、１件だけは冤罪だと主張し、雅也にその事件を調べるように依頼する。なんか仕掛けがたっぷりあるようでそうでもない印象だった。おどろおどろしい割には、あまりひねった構想はない。そこまでのプロセスはそこそこ見せてくれるのに、落としどころが陳腐だった。脚本は高田亮。原作は櫛木理宇。出演は他に、岩田剛典、中山美穂。
26Jun
- 「肉弾」（1968年ATG）
  岡本喜八監督の名作「肉弾」を見た。天皇陛下の玉音が放送され、終戦を迎えた太平洋に魚雷を抱えたドラム缶が浮いていた。そのドラム缶の中には、魚雷で敵の空母を撃沈せよ！と命じられた「あいつ（寺田農）」が入っていた。あいつは、戦争を疑問に思って上官（田中邦衛）に殴られたことや、特攻に行く前日に許された休日に会った女郎屋の少女（大谷直子）のことなど、それまでのことをドラム缶の中で思い出していた。淡々と語られる事実はシニカルな反戦映画になっている。声高に唱えなくても、提示された事実は戦争の愚かさを鮮やかに描き出す。ラスト、骸骨になったあいつが叫んでいる姿は滑稽であって、しかも現実的だ。教訓なんてなくていい。それぞれが考えればいい。脚本も岡本喜八。出演は他に、笠智衆、北林谷栄、頭師佳孝、雷門ケン坊、伊藤雄之助。ナレーターは仲代達矢。
25Jun
- 「ヘルドッグス」（2022年「ヘルドッグス」製作委員会）
  岡田准一主演の「ヘルドッグス」を見た。自分のミスで殺された高校生の復讐を果たした元警官・出月（岡田准一）は、警視庁の裏組織に捕まり、潜入捜査官として、兼高昭吾として関東最大のヤクザ組織に送り込まれる。相棒の室岡（坂口健太郎）と組んだ兼高は、組織の中でのし上がり、ナンバー２の土岐（北村一輝）の片腕となり、組織のトップ十朱（MIYAVI）の護衛を任される。面白かったけど、ストーリーをもっと簡潔にした方がわかりやすかったかも。バックボーンなんか一切なくてもよかったかもね。岡田君のアクションは、さすがにキレッキレ！　サイコボーイの坂口健太郎もいい！　監督・脚本は原田眞人、原作は深町秋生の「ヘルドッグス　地獄の犬たち」。出演は他に、松岡茉優、酒向芳、大竹しのぶ、金田哲、木竜麻生。
- 「小さき麦の花」（2022年中国）
  ベルリン映画祭で絶賛された中国映画「小さき麦の花」を見た。2011年中国奥地の農村。ともに家族に見放されているヨウティエ（ウー・レンリン）とクイィン（ハイ・チン）は、厄介払いをするかのように見合結婚させられる。口下手で容量の悪い2人だったが、お互いを思いやる優しい心は2人を仲睦まじくさせていく。つましく暮らす2人だったが、さまざまな困難が2人を襲う。淡々と進むストーリーだが、その中に優しさがあふれていて、2人が幸せに暮らせることを願わずにはいられなくなる。しかし、直面する現実は、やはりそれなりに厳しいんだよね。ゆっくりと進む展開に身をゆだねていると、厳しい現実に恐怖するけど、くつろげる側面もある。監督・脚本はリー・ルイジュン。

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