新型コロナウイルスの感染拡大による学校の休校長期化を受け、国会では9月入学制導入の議論が熱を帯びてきました。実は、この9月入学制は、私が会長を務める「全国の受験生を応援する若手国会議員連盟」でも議論をして参りました。




私は、201826日の衆院予算員会で、我が国の大学入試は、主に冬季に実施していることから、インフルエンザ等の感染症や雪害といった阻害要因が発生する時期と重なっており大きな課題であることを指摘しました。当時のニュース記事:https://mainichi.jp/articles/20180213/ddm/003/070/038000c  

 

大学入試センター試験が実施される1月はインフルエンザやノロウイルスが猛威を振るう季節でもあり、統計的にも一年間で最も感染症が発生する時期です。発症した受験生は高熱にもかかわらず受験し、あるいは、その年の受験を断念するなど大きな負担を強いられています。また、私の地元の新潟では大量の積雪の中、大学入試センター試験の会場へ向かうことだけでも大変なハンディになっています。私も大学受験の時、とても苦労しました。

すなわち、日本海側の受験生と太平洋側の受験生の格差があることを何とか是正したいという思いがありました。

 

そこで、より暖かい季節に、より受験生のコンディションが良く実力が発揮しやすい時期に、入試を実施すべきとの要望を行って参りました。

9月入学に変更致しますと、現在真冬に行われている入学試験を4月以降の温かい季節にずらすことが可能となりますので、受験生にとってもメリットがあります。


当時の提言活動については下記のブログをお読みください。

2020受験革命」~大学入試のCBT化・年複数回実施など林文科大臣に提言!~

https://ameblo.jp/tohru-ishizaki/entry-12393029732.html

 

全国の受験生・学生を応援する若手議員連盟を設立~大学入試複数回実施など「受験改革」に向けて~

https://ameblo.jp/tohru-ishizaki/entry-12354607401.html

  


話を今に戻しますと、428日には、全国の知事有志17名が共同メッセージで政府に9月入学制導入を要請する考えを発表し、29日の衆院予算委員会で安倍総理が「さまざまな選択肢を検討していきたい」と発言し、波紋が広がっています。

 

マスコミも例えば下記の記事のように、9月入学の検討を取り上げています。

 

9月入学 実現へ課題多く

コロナ休校で文科相「選択肢」 移行期の調整必要、法令改正多岐に

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO58595630Y0A420C2CR8000/

 

この記事では、9月入学のメリットとして、①世界標準の学事歴と合い、国際化を促しやすくなる、②受験時期が夏になり、積雪などに左右されにくくなる、③(今年度)遅れた学習を焦らず取り戻せることが挙げられています。一方、デメリットとしては、❶会計年度と学事年度がずれる、❷3月卒業にあわせた公的資格試験とずれる、❸(移行期)私立校の収入減による経営悪化懸念が指摘されています。

 

このデメリット❶と❷は、新型コロナの影響で、学校休校など社会全体が停滞する中、会計年度も公的資格試験の日程もずらせば解決します。そもそも日本の4月始まりの会計年度は、1886(明治19年からで、当時大蔵卿だった松方正義の政治的思惑が原因だったとの説が有力で、4月始まり自体に大きな意味はありません。また、今年の司法試験などは新型コロナの影響で既に延期されており、今後移行期間を経て、9月入学制にあわせた試験スケジュールを組むことは可能です。デメリット❸は、政府が補填すれば問題は生じません。

 

高校時代に、夏目漱石の『三四郎』を読んだとき、ある違和感をもったことを思い出します。主人公が、熊本の学校を卒業し、9月に大学に入学すべく、熊本から汽車を乗り継いで上京するところから、物語は始まったからです。漱石が執筆した当時の1908年(明治41年)は、9月入学だったのです。大学は、1921(大正10)年に4月入学制が導入されました。このような歴史を踏まえますと、制度は不変ではないことがわかります。そして、制度は使い勝手が良いものである必要があります。

また、3月卒業式、4月入学式の根拠として、「桜が咲く時期は出会いと別れの兆度よい時期」であるという、精神論的な根拠というのも目にしました。

これらは上記、受験生の負担などを考えると説得的な理由には思えません。 


「コロナ・ショック」の経験を契機とした教育改革として、受験生にとって優しい9月入学制導入を同志の皆様と応援して参りたいと思います。

 

全国の受験生を応援する若手国会議員連盟会長

衆議院議員 石崎徹