タラの木の不思議 「末期ガンからの生還」―③― | タラの木おばさんのブログ

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長い人生で体験したことや考えたことを語ります

(3)  詰まる寸前の肛門

 夫は、細いミミズほどの便が、やっと少しづつしか出ないと、言って一日に八回も、九回もトイレに入っていました。

 盆休みになり、病院へ行った夫は、真っ青な顔をして帰り

「医者が、出来るだけ早く、家族に来て貰うようにと言ったから直ぐ 二 人で病院へ行ってくれ!」

と言いました。私は、

「わかった!」

と言って仕事に出かける長男と、トラックに乗って直ぐ家を出る事にしました。心配そうな夫に、私は、

「父さん! 私は、病院からバスで、直ぐ帰って来るからね!」

と言い残し、家を出ました。車の中の二人は、不安で言葉はありませんでした。

 病院に着き、先生の前に黙って二人は並んで座りました。

「手遅れです。仮に手術が成功しても、必ず三ヶ月後には、再発します。  そして半年と思って下さい!」

と一気に言われたのです。 私は、後頭部を「ガーン」と、バットで一撃されたような衝撃を受け、頭がぼんやりしてぼーっとなりました。気を取り戻した私は、

「先生! 万が一助かる! という事は、ありませんか?」

と震える心をおさえて聞きました。先生は首を横に振り、

「そういう事は、考えない方がいい・・・」

 と、ぽつんと言われました。そして
「ガンも悪性で、当然肝臓にも転移していると思う・・・ お尻の出口はガンが大きく、詰まる寸前だった」

と言われ、あ然としました。

 私は、あふれる涙もふかず、黙って息子の車に乗りました。真っ青な息子は、見た事もない程の、けわしい顔をしていました。