ミトコンドリア系譜と酸素濃度 | todakaclのブログ

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ミトコンドリア系譜と酸素濃度

2006-09-15 02:59:42 | 健康・病気

予告の第一弾:多少医療から離れてる話題かも

先ずは、小生は思い出してもらいたいんですが、物理学科の中退者なんで、宇宙・元素の始まりから。太陽系や地球ができる前にビッグ・バンていうのがあって(その前のことは、考えない方が懸命。考えてたければ、繰り返しの発想で・その手の書籍を読むと見事に脳みそが溶けます。)、恒星がそこかしこで作られていくと、水素HとヘリウムHeが大量に中心部で核融合して、炭素C前後の、酸素O、窒素Nから鉄Feのところまで(化学の元素周期表引っ張り出して見て。)が作られる。それから上は超新星の爆発がないと作れなかったらしい。でもって、太陽の子供である地球には、Feまでがタンとある。

でもって、水金地火木土天海(冥)の距離(温度・光エネルギー)や重力の微妙さで、水H2Oという好都合なものが多量に地球の表面に存在した。【水】ってのは、たった100度違い(cf.絶対零度ゼロKケルビン≒-273℃から太陽くらいで何億℃)の0度と100度に融点と沸点を持ち、固体⇒液体⇒気体の変化が直ぐにある自由度の高い・微妙な物質。たいしたことではない、銀河系中、宇宙中を捜せば、似たような環境はいっぱいあるはず。それでもって、何のことはない、想像を越えるような濃密な雲から、長い長い雨が大地を削り、川となって海に注ぎ、濃厚なスープが出来上がる。炭素に水素、酸素、窒素から始まって、二酸化炭素や、炭水化物、アミノ酸なんかがごちゃ混ぜ。もちろん、RNA(リボ核酸)の材料も⇔有名なDNA(デオキシ・リボ核酸)はまだ。

そのなかで、RNAが元祖の生命として、子孫・コピーを残す役を演じ初めて、生命と呼べるものが現れた。この時代は、何も残らないものなので、理論・推測のみ。

ここらから、生物学の始まりで、海底火山の噴出口付近のエネルギーを利用する古細菌の類が生まれる。やっとイメージしやすい時代に。少し端折りますが、海面近くに太陽光をガソリンに、光合成をするシアノバクテリア類が発生すると、結果として・産物の酸素がガンガン大気に満ち溢れてくる。最初は、嫌気性菌に似たものが大半だったので、毒になる酸素から逃げ回っていたのだけれども、そのうち、その酸素をエネルギーとして使いこなせるようになった細菌が発生する。これが、ミトコンドリアの元祖。

かなり、略しますが、現在生存してる単細胞・多細胞生物の大半が、このミトコンドリアを融合して・取り込んでしまった古細菌の発展形なのです。細々と海底火山のそばに、酸素の嫌いな、酸素で死んでしまう菌たちがいたので(学者さんたちは偉いな~)、この進化の推論が成り立った。で、古細菌だった宿主は自分の遺伝子を守るために核膜で【核】を守り、【細胞質】にミトコンドリアを居候させ、彼らの供給する莫大な酸化エネルギーを使ってテリトリーをガンガンに広げて現代の覇者まで系譜が続くのです。酸素とH2Oと細胞融合に遺伝子。遺伝子はRNAが簡単で、DNAはたんぱく質として働ける形になるのに、一度RNA転写の手間が掛かるのだけど、安定性で優れてたようです。それで、細胞の核内には大事な生物としての遺伝子。ミトコンドリアは自分をきちんとコピーする遺伝子の2系統が、一つの細胞の中に存在するのです。詳細なことを言うと、植物は、その上に、光合成をする葉緑素クロロフィルという3番目も共存してる。【パラサイト・イブ】という小説(おもしろかったです)の影響で、ミトコンドリアに比べて影がうすくなってしまったけれど、きちんともう一人の他人です。

【生物史】の話は、今日はこれくらいで端折って、また次にしといて、ゴンと現代医療に近い話にします。

【ミトコンドリアの系譜】という表題は、最近になって、日本でも研究が進んでるのですが、母系遺伝子のことです。多細胞生物の核は細胞融合の一種である核融合、受精で遺伝子を交換しながら進化のチャンスを得てます。生物の大事な進化の担い手です。一方には、ミトコンドリアは、魚類やら哺乳類を連想していただければよいのですが、オスとメスが受精する時、精子は各遺伝子の半分だけ、卵子は各遺伝子の半分と細胞質・つまりミトコンドリアを含む。

これに気付くと、ミトコンドリアは、核よりも【シンプル】なんです。母系しか受け継がない。多分スローな突然変異はあるんでしょうが、ココ数千年くらいでは、あんまり変化しないという仮説(科学の基礎)が成り立ち、研究のやり甲斐があるのです。でもって、1年位前かな、日本人のルーツは、13人の母親・特に2人がメインだそうです。なんだか、興味惹かれませんか。性格やら、生きるエネルギーやら、見た目なんかが、ある種系統だって説明できる可能性があるわけです。東南アジア、モンゴル、極東ロシアなんかかな~?

時間と空間の両方で、壮大な話でしょう。思いを馳せてみるのも一興ですよ、皆さん。

 

ボケ!表題に書き込んじまったから、追加して話サンといかんくなった。【酸素濃度】は、たった今繁栄してる昆虫と花(被子植物の代表)に、鳥類と哺乳類を加えた話です。

単細胞生物で酸素との共存に成功した覇者は、ミトコンドリアとその融合細胞だと語りました。多細胞生物では、恐竜が独特のポジションにいたのです。彼らの繁栄した時代は、裸子植物相で、その性かどうかは小生の記憶があいまいですが、少なくとも、大気中の酸素濃度が比較的低かった頃です。それに適応して巨大化できたのは、【気嚢】という特殊な装置がらみで、効率のいい外呼吸をしてたからなんです。人類の肺とかは袋小路で、呼気と吸気が同じ通路で、よく考えると効率が悪い。それに対して、恐竜は、スクロール・スワール・フラッシュするように、CO2の多い呼気を出す通路と、O2の多い吸気の通路がクロスが極力少ないように造られてたそうな。だから、哺乳類が小さいままの頃に、大量の酸素を取り込んで繁栄した。

鳥類は、直接の子孫。現代の恐竜そのものです、小型化はしたけれども。だから、莫大なエネルギーを必要とする【飛翔】が可能なのです。

昆虫は、特殊です。血液で、ヘモグロビン(Cuタイプもある:イカ・えび)で酸素をガンガン運ぶ生物と違い、通気管?で直接体細胞に空気を送り込む。これが結構効率が悪いはずなんだなぁ。

それでもって、恐竜時代の後半期に、トリケラトプスのような被子植物を主食にするのが出てきてるように、植物相も裸子から被子へ進化してたわけで、ここが、生物のした高さの味噌。恐竜が絶滅するまえに、地球の環境は耐えうる・生存しうる組み合わせが準備できてたのです。たまたま。状況では他の種族が取って代わっただけ。

【花と蝶】たまらんなぁ、演歌ですだ。でも、ここに、根っこがあります。被子植物は、昆虫を使った、それまでの風媒花よりももっと効率のいい種の繁栄の手段を開発したのです。蜜や花粉を提供する変わりに、昆虫の身体や、6本足にくっつけた花粉(おしべ由来)を風媒花よりもっと遠くのメシベのところへ運ばせ、受粉する。これは、生物の発展の根本で、遠くの同族ほど強い遺伝子の可能性をもってる。このシステムには続きがあって、鳥類や、哺乳類は、その受粉して出来た木の実・果実(カジツ、クダモノ)を食べて、消化できなかった種タネを糞として、広範囲にばら撒くのです。

よ~く、考えると、なんだか3種とも花の咲く植物に使えてるような気がして、ン~???

ま、結論にしてしまうと、今の繁栄は、全て酸素濃度の高めの時代の生物たちが享受してるということです。酸素が減るのが一番ヤバイです。

皆さん、熱帯雨林、広葉樹林、針葉樹林減らさないようにしましょう。直ぐにはこないでしょうが、被子植物を減らして、酸素がうすくなれば、次の覇者にバトン・タッチせざるを得なくなりかねません。花も昆虫も鳥類も哺乳類の大部分も、何も考えとりません。人類だけです、将来を見越す力があるのは。

話が大きくなってしましましたが、この不安定で、氷河期の隙間で、酸素の濃い時代にたまたま繁栄してる人類の、葦のごときか弱い存在をありがたく受け止めて、今の時代に生を得たことを楽しみましょうね。この一瞬。365日目の23時59分の種族だということ、その中のちっぽけな1人だということ。いろんなヒト・物に感謝。

医療と関係あったかな。多分、ご自分の存在からして、稀なこと・危うく・脆いのが分かると、見えてくる回答もあると存じます。