todakaclのブログ

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呼吸器内科開業医(救急救命15年/呼吸器40年)
折々につぶやき珠に【大声カモ(*'▽')
当面【gooブログ】で消失した過去ログ掘削が主です

内科医誌1月号へ掲載された文書です。悲しいほど時を感じない。新版も近々書きます。

 

寄稿

【医師会はイズコへ向かうべきか。申す。】

西区 戸髙 憲二

物議をかもすかもしれない事を重々承知で、池に小石で波紋を。

元は、H20.5の医療政策シンポ「・・・と医療のあり方」お手にしたときと、親しくしてるマイナー科の

医師の魂の叫びをかたってもらったのの受売りが大部分です。正直なところ、この2つの出来事には感銘しました。

 

小生の定番、歴史から。そもそもは昭和20年のGHQ行政から始まりました。弁護士と言うのは、戦時中、軍部への荷担よりも、反論して獄中にありました。教員・師範もそれに近く、その後、日教組と言われるアメリカ政府の最も忌み嫌う、社会主義的においを表に押し立ててしまったために、保守派の日本の政治家と、アメリカの知恵者が策謀して、分解弱体化に成功した、初めての団体解体例です。

実父が、中学校の教員で管理職にあったために、その上、親友の親がバリバリの日教組幹部であったために、小学生の小生はリアルタイムで二人の戦いを通して、日教組そのもののが弱体化する姿をみてました。【分断と懐柔】が重要な戦略です、政治のプロ達の。この言葉お忘れなきよう。

弁護士会のメンバーのなかに、司法試験の合格数を挙げてしまった今が、最大の危機なのを理解できてる者がどれだけいることか。

 

医師会はなんと、弱体化した日教組の二の舞になりかかってます。

そも、弁護士会は会員でなければ、国家試験免許を持ってても、仕事が出来ません。それをGHQは許可したのです。

対して、医師会はそれを許されず、日教組のように、任意の入会になったのかと言うのは、一説には、戦時中、医師は軍医として、思いっきり荷担したととられ、アメリカがこの団体の力チカラの温存は危ないと思ったから、医師会員を除名されても、免許さえあれば仕事が出来るシステムを、時の政府とともに、創り上げた。といわれてます。

「面白くない。」歴史と思いませんか。

 

この元々の脆弱な組織に、10数年前大事件が起きた時、誰が警鐘を鳴らしてくれましたか。【医療費・亡国論】

コレを言い出した政治家の、腹は見えやすかったのに、見過ごしたのでは在りませんか。

当時、30兆がどうたら、このまま長寿高齢化社会が続けば、医療費はとめどなく上昇し、国家予算を食いつぶしかねない。故に、抑制をという論理が、国民を説き伏せてしまった。

上手いよな~。彼らは「プロ」です。舐めてはいけません。高校時代に、先生方が学力で独走状態だったころに、違うことで、伸してやると誓った連中が、激しい過当競争で生き残って、市議、県議、国会議員にまで登りつめたのですから、プロ。セミプロかアマでしかない医師たちが総出で向かっても勝てないことを、自覚することから、初心で反撃する必要があると存じます。市井の壱医師の発言でしかありませんが。

孫子。あまりにも有名な「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず。」敵の恐さが分かってない気がします。

 

上手いですよ。1980年代くらいまでは、予算と言うものは、防衛費を嚆矢に、GDP比の何%かで、議会で討論されてた。今、久々に、医療費をGDP比や、先進国の予算と比較して語られるようになったけれど、この空白の20年余は、彼らの演出が大成功したのです。防衛費がデリケートなレベルになると同時に、他の予算も、比ではなく絶対値で語る雰囲気になり、その現実を把握した独りの政治家が、仲間とともに吠えたのが、今の氷河期・医療崩壊をもたらしたのです。

詰まり、30兆で固定するだけで、毎年数%伸びていくGDPに対し、実際はマイナス成長になっていくことを、彼らは予測し、その削れた予算の分配に有り付き、票田にばら撒く権利を手にしたのです。

 

騙されないでいただきたい。防衛費をGDP比で語らなくなったと同時に、全ての予算が生の数字だけで扱われる。実質のマイナス予算だったからくりに。

その上、2200億を毎年削ると言うのは、30兆固定の煙幕の役割。また賢い、アザトイ政治家が出てきたんです。2200億のことで議論していれば、基礎の30兆が如何に不当かの話から反らせ切れるというのが、本質です。ご理解いただきましたか。

 

議論を、必ずや「GDP比、諸外国と比べた時の絶対値の低さ」に。

 

医師を増やすと言うのも、目くらまし、子供だましです。

増えれば,仕事が楽になるなんて、粗製濫造されたら、先に弁護士の方で姿が見えてくるでしょうが、技能集団のレベルが下がることは明白で、それはその集団の社会的地位・信頼の低下が目前の危機なのです。大体パイ(収入)が変わらないのに、同業者がただただ膨らむのは、申しわけないが、歯科医師会が先例です。無茶苦茶気の毒な現状でしょう。他山の石ならず。

 

政治に関しては、アマ同然の小生がココまで、解説もどきをして来ましたが、大事な話をH20.5の医師会特集号から、小生なりの理解で伝えさせていただきます。

55年体制のころの「修正資本主義」はいい響きでした。

市場経済には、可能な限り政府は口を出さない手を出さない。ただし、教育・医療・福祉だけは、強者が弱者を喰らう市場経済に晒さないように、政府が血税を使って保護する。

多分、小生の知る限りでは、ソ連の50年に渡る共産主義の壮大な実験が失敗に帰し、中国でさえも、今や市場原理の未熟な社会として我が世を謳歌してることをみれば、資本主義そのものは、ベストかどうかは兎も角、手に入れきれる最善・次善の体制でしょう。

 

最近の経済学者はどんな学派に分かれてるのかという話は、慶応大学の田中滋教授の話が一番わかりやすかったので、大幅な抜粋で語りますと、アメリカが完全に実施してる「新自由主義=市場原理主義」と、日本が歩んできた「新古典派」や「新制度派」の3っつになるらしい。

市場経済の活性のタメに、小さな政府的なところは共通だが、市場原理主義は、医療・福祉・教育・保育までも市場に勝手にやらせとけば、相応しく富みが分配されると仮説で突っ走ってる。良くないとおっしゃってる。仮説どおりにはならず、貧しいものはより貧しく、例えば医療を受ける場でも、どこの保険会社のどのグレードの保険に加入してるかで救命救急のばでさえも、A・B・Cどのコースにしますかと問われ、我が子の命が金で決まる。

誰が聞いても、アメリカは病んでる。

 

後の二つの細かな違いは小生にはよく分からないのですが、医療・教育などの分野だけは市場経済から保護されるべきと言う立場をとるので、その分だけは政府がやや大きめになることを、皆が受け止め、税金の再分配を委ねる。

皆さんが実感されてる、ココ10年20年の医療のきしみは、時の政府が歴代、連綿とアメリカ型の市場経済を模倣する振りをしてきた結果です。模倣という言い草は、政治家が特別会計と言う、通常会計の何倍もの予算を自分たちの自由で再分配する権利を手に入れ、あたかも予算の小さな政府の振る舞いをしつづけた。と小生は分析します。

 

 

【分断と懐柔】これが、小生の親しい医師が知恵を授けてくれた、政治の基礎の基礎の戦術・戦略です。学べば私たち医師にも理解は出来ます。が、実践は? 数十年も2世代、3世代に渡りNow&Howを学んできた政治 屋 達に太刀打ちできるはずがないことを自覚すべきです。

舐めてはいけません。孫子。

 

最後に。大胆な提言を。

彼の案なんですが、途方もないものも裏に控えてますが、プロの医師会のためのロビーイスト(参:「アメリカ 政治」)を10人を手始めに、医師会が雇うこと。松下幸之助の塾とか出身のエリートを、我々と違う方向性を人生に見い出したプロです。

訊いた時は、何じゃこりゃーでしたが、確かに、医師が政治をするのには限界があります。せいぜい政治家めぐりをして、生返事を聞かされる止まりだと思いませんか。

 

考えてみて下さい。

それと、ココで医師会報のみで愚痴るのは、あんまり格好良くないと存じます。打って出て、世間に広報すべきです。弁護士会がどうなったかさえも知らない。【師】と名のつくものの連携は大事。

診療夜話           西区 戸高 憲二 2013.8.5 こちらも内科医誌への寄稿から(区の当番枠)

 

 

【なんで咳だけ?】

 内科を受診する一番多い症状は「咳」らしい。

熱発、のど痛、頭痛とか痰あたりのいずれかが伴ってれば、俗に言うカゼ、風邪症候群と診て、一般的なカゼ処方に、咳止めとか痰切りでも付けとけば数日単位で治まるもの。

困るのは、咳、特にカラ咳。痰が多量に出るわけでもなく、絡む程度、出てもごく少量のくせにやたらと咳き込む。そのくせカラダがだるいわけでもなく、熱もない、食事も普通、仕事も出来る(話すのには不自由があるが)。つまりアンバランスな状態、元気なのに咳だけ困る。そういう状態が、ひどく困るわけでもないし、良くなったり悪くなったりして如何にも治りそうな気がしてるうちに数週間たってしまう。私の表現ですが、「マイナス5点の生活」というと合点がいくらしく概して患者さんたちは頷く。

このへんの病状を遷延性とか慢性咳嗽といって特有の症状なので、つまりカゼでもなさそうなのに咳だけ続くといって、戸惑いをもって患者さんたちは来院してる。詳しくはガイドラインがあるのでそちらに譲るが、必要に応じてレントゲンで肺結核、間質性肺炎、肺がんあたりのないことを確認。

春先とか、秋口に多くなる。ので時節柄、とか書いてる今は記録的な猛暑。福岡では7月の猛暑日が12日の記録だとか。この稿が読まれる頃には残暑でなく秋風を感じられるようになってればと願いつつ、季節感のギャップかなぁ。

で、その戸惑い(私はどうなってるの?)に対して「カゼが治ったのに、カゼらしさがとれたのに、咳だけが続いてるんですよね。」と念押しして、「気管枝の荒れてる(炎症)のだけがうすく続いてるんですよ。」というのが一番やわらかい、ある種あいまいな説明。

咳喘息とかアトピー咳嗽とかをいきなり出すと、引かれること多々。喘息とかアトピーとか、これまでほぼ病院に縁のない生活の人たちが来てるので、イメージが重症感で先行しがちなので後出しにするようにしてる。

ワンクッションいれたところで、発生学というか進化の話もちこんで、気管・気管枝ってのは生物・動物が最後につくった器官なんで、自己修復が苦手で、先行する鼻・鼻腔や口腔・咽頭にくらべて炎症が治りにくいもの。それでそこの症状だけ続く、てな論理で話す。そう、魚類のうちの幸運な適合をしたものが陸上にあがるとき、浮き袋(のちに複雑化させて肺に)とともに口とを継ぐ管を発達させ、空気を呼吸する装置を作った。ほかの臓器・器官よりもかなり遅れて形成された。対極に大腸がある。動物の原型・ひな型になまこ、竹輪を連想してもらうと第2の皮膚としての腸管の内腔は、生存のために必要な栄養の貯蔵・吸収の場であるとともに、一方では毒性のものをうっかり摂取したときには、緊急事態でこのままでは毒を体内に多量に吸収してしまう危機の場に。んで、最古からある神経として大腸の感覚器が危機を感じ取ったら、大急ぎで排出、そう下痢です。少量の毒は吸収した程度のリスクで生き延びる確率を上げれる。

後半の大腸の話は普段は端折ってますが、たまに理工系の方とかで興がのったらしてる話。

つづけますが、鼻・鼻腔というのはサカナにとっては海水のなかの物質の危険度を判別する嗅覚のための器官。陸上生物(動物)にとっては大気中の危険そうな粒子、気体・液体・固体のいずれの形態でも浮遊してるものすべてを対象にチェックするため。腐敗臭、酸臭など遠ざかったほうが安全。厳しいのに接したら、血管から大急ぎで大量に鼻汁をつくって内腔を洗い流す。デブリードだ。血管作動性鼻炎と近似かな。

口腔・咽頭は摂食というかたちで真っ先に異物と触れる役目なので、結構傷んだりするから、修復するちからが強くないと生き残れない。カゼで来たヒトの4割くらいが、のど真っ赤、浮腫んでるのに、全然痛くないと言う。痛くて食べれないと治せない、前に進めないので、造形の妙なのか、良い意味で鈍い、困らないようになってる。このへんも、のど真っ赤ですよといったらクビを傾げるヒトに4割ぐらいという数字とともに伝えると、案外なっとくしてくれる。

気管枝は大気を相手にしてるという点では鼻腔とあんまり変わらないように見えます。線毛運動とか分泌液で異物・老廃物の排除なんかは似たようなものかもしれませんが、決定的に違うのがその狭さ。断面積が気管で親指ほど、肺ではなく気管枝全体の内腔の体積の小ささ、抹消の狭さ。液性の排出が間に合わないとか、無理なときは、全力で咳をして排除しなくてはならない。別の言い方をすると咳しかない。肋間筋3、横隔膜7くらいでほぼ筋力の限界100%近い収縮をして空気砲のごとく押し出すことになる。四肢の筋肉が普段組織の保護・温存のために60・70%で働いてるのが、火事場の馬鹿力のごとく、呼吸筋は全力で咳をすることが多い。鼻をかむのとは大違いで、体力を使う。それと、呼吸の通路は、鼻づまりのとき周知のごとく、口呼吸で代替できるのだが、気管・気管枝は1経路しかないからおおごと。これしかない。

ちなみに「猫」は口呼吸の代替ができないから、鼻かぜの鼻閉は命取りになる。我が家でも何度か爪楊枝のお世話になった。通説だがたぶんホントのはなし。閑話。

大腸が異物を排出するときは液体・固体レベルで運動エネルギーを伝えれば済むので効率よくやれる。気管枝の場合は、内腔に張り付いた異物や、喀痰を、空気という気体の勢いを付けた塊で押し出さなければならないから、非効率の典型。その上、管腔内の神経の常として、いろんなものが判別できるわけではなく、厚みとか何か異物が張り付いてるとかくらいの信号なので、炎症でウチ壁が浮腫んでるだけなのに、痰の絡みと感じて咳ばらいをし続け、痰は出てはこないはあげく咳の悪循環に陥ってたりする。「何度咳ばらいをしても、いっちょも痰がでらんのです。」という方、結構います。「それは浮腫んでるだけで、痰がないのかもしれませんよ。5回中2,3回はそう思って、水を飲んだりとかで、咳ばらいをこらえてみるのも手ですよ。」

このへんのやりとりは今ではスムーズに受け入れてもらえてますが、小生の若かりし頃は、たまに中年男性とかに切れられたりしたものです。「おれが勘違いしとるってか。」の類。こちらのものの言いようも変わったのか、それよりか小生自身の年令の風体が役立ちはじめたか。まあ?

 

こんな流れで生物学の話をちりばめ・端折って・ダイジェストしつつ語ると案外一般受けしてるように思う。自己満足にすぎないのかもと疑問抱きつつ当院の診察風景のお披露目でした。

 

【おまけ】

「川」・「淡水」をキーワードに紐解くと進化ってうまいこといってると感服する。

太古の海がサカナであふれだしたころ、川・河口という前人(前サカナ)未踏の危険な環境で適応して生き残ろうと試みたものがあった。よくある選択、現況の多数の個体の中で生き残りにエネルギーを使うのか、危険だが適応さえすれば小数で安穏と出来る。

 危険の最大のものは、淡水の浸透圧。海ではところにより多少のゆらぎはあるだろうが、0.9%の食塩水相当の浸透圧の環境で体内・体外のバランスをとるのは容易だった。が、淡水に浸かれば事はおおごと。浸透圧差でガンガン体内に水分子が流れ込んでくる、そのままでは各細胞がパンパンに膨れ上がって爆発・崩壊してしまう。鰓呼吸なので血管から溶存酸素を取り込もうと、水中にモロに露出してるから益々不利。大急ぎで大量に水分子を体外に排出しなくてはと、

腎臓の役割がおおきく変わることになった。海水中ではミネラルや水分の微調整で済んでたのだろうが、まず河口で淡水と海水の混ざった(汽水・汽水域という)あたりで小手調べに、流れ込む水分を大急ぎで汲み出し腎臓の機能をそちら向きに強化して、順化していき、徐々に真水・淡水の領域に侵攻していったのだろう。このころの腎臓は体内へ流れ込む洪水の排水ポンプだった。

水は有り余るほど周りに有った。陸生となってからの水分の節約・効率利用とは大違い。

臓器に歴史を感じる。珍しい感覚・感性ではあるがこれも一興でしょ。

 川で暮らし始めると、淡水中には海ほどの豊富なミネラルがない。少量はあるだろうがなんせ流れ続けてるから安定供給は望むべくもない。Na、K、Caを主体に細胞の機能を維持するのに必要なミネラルがいつ枯渇するかわからない。海ならそこら中にあった、心配無用。で、たまたま貯蔵しやすかったのか、もしくは必要度が高かったからなのか、Ca、Pだけは安定した場所に固めた。そう、骨組織。椎体をはじめとして、骨格の強度を物理的にカラダの維持に使うことと兼ねて、非常時に必要となれば溶かして体液中に放出して各組織に配布する。目に見えて物理的な役割のほかに、生化学的な貯蔵庫・バッファーとしての役割も持たせたのだ。

 そんなこんなだから日常的に作っては壊しの繰り返ししてるのか。←根拠うすし、思いつき

ちなみに、話が跳びますが、アイソトープレベルで追っかけたところ骨組織でさえも2年で総入れ替えになるらしい。だいぶ前の知識なのでその後の研究では違う数字かもしれませんが。少なくとも細胞レベルでいうと皮膚やら小腸の絨毛とかは数日単位、一方心筋や脳細胞・神経細胞は生涯ものという感覚があるが、こと分子・原子レベルに目をやる、観察すると、DNAでさえ構造をきちんと保ってはいるが、一個一個の原子は入れ替わってるはずなのだ。想像すると無茶苦茶不思議なことになる。友人Aさんなり自分自身なり2年前の個体とは分子・原子でまったく入れ替わってる。のに、個・個性・アイデンティティは保ってる。

 かなりぶっ飛んだ考察ですが、この辺になると生命とはなにか、意識(その人である自覚)とは何か。あたりでモロに哲学になっちまいます。

 もどしますが、これで外界とかなり違う体内環境を維持できるような能力を徐々に獲得してきた。母なる海になにもかも任せてたころと大分変化。

次に来たのが、四肢。川の中の藻の林を移動するのには胸ビレ・腹ビレで泳ぐよりも、掻き分けたり、川底を這ったりする方が効率がよい。そうこうする内に、丈夫な骨指、相応の筋力がついてくる。結構準備が整ってきた。そう、陸にあがるための。

 最後に来た臓器「肺」。大気を呼吸し酸素を取り込む大事な装置。現存する「肺魚」がモデルだが、川の蛇行で取り残された沼なんかで、乾期に干上がりかけたりすると、泥水のなかの溶存酸素が不足。で、がんばって浮き袋あたりをつかって大気中の酸素を取り込もうとする。最初はやはり体液なんかの液体に溶け込ませてからの吸収だと思う。そういえば金魚やら、鯉とかが水面でパクパクやってるのって同じようなことの初歩かもしれない。そんなこんなで浮き袋の内側の表面積をシワやら、小袋で増やしたのが出てきたのではないか。

 水分・ミネラルの調整力をあげた腎臓、物理的に重力(浮力ゼロ)に抗する骨格、必須のCaの貯蔵庫としての骨組織、強大な重力のもとで移動できる四肢、大気のなかの酸素を直接使える肺。

 これらの能力・臓器は川という環境で育まれ、陸に上がるという生物としての大事業の底力に。なんか感動もの。よくぞこれだけ道具立てがうまくいったものだと。共感していただければ幸いです。

「ちょいポチャ」考】      原本2017.12.5 内科医誌1月号

 

復刻版です。別のファイルストックみつけたので時々混ぜます。

 

BMI25-30とか過体重Overweight、前肥満PreObese、やや太めといわれてるものを私の好みでこういってます。語感がやわらかいかなと。

この10年来もやもやとしていたのは日本人ってのはアジア人らしくスリムが主流の人種なのに、肥満がいかんの、ダイエットにはあれがあるこれがある、ウエイトトレーニングにはこれがなどなど目の仇、親の敵のごとく扱われる文化が定着してるのだが、果たしてそうなのか。

あらためて調べてみればなんとなんと世界レベルで189ヶ国中166位ではないか(WHO調べ)観よ肥満とは縁遠い方の代表格。BMI30↑4.5%で標準偏差にして38.5、5段階のAランクちなみに中央値は18.9%なり

傾向としてアジアアフリカが低く、アメリカ大陸、中近東が高い(参:図1)

OECD調べだと先進国中枠外的な34位なりあれあれ。ワーストにはアメリカ、メキシコ、チリなど(参:表1)

この温度差は国内と世界視野で何故。

いろいろ背景あるんですが、わかりやすいのはWHOが前肥満BMI25-30、肥満1度30-35としてる部分をなんとなんと日本肥満学会が肥満1度25-30、2度30-35としてしまって「前肥満」の概念を吹っ飛ばしてしまった。(←なんでこんな大胆な怪しげなアレンジを)それをベースにするから会社健診も市町村健診も25から肥満、世の中も関係産業も都合のよさ(売上)あるものだからテレビ、ネット上でもカットオフ値のように25で話をすすめてる昨今。ネットサーフィンすればもう25が王様の数字でのさばってる事溜まらんわ。なんか雑、あやまって肥満といわれ無駄にココロいためる大衆の哀れな事。

もともとBMIが肥満度を診る指標としてデビューした当初から標準体重BMI18.5-25と前肥満25-30では平均余命に左が無いもしくは前肥満のほうが若干有利といわれてきた。

探してみました。きちんとしたものをと思い。

① 米疾病対策センター研究

過体重BMI25-30 の方が普通体重より死亡リスク6%低い。

さすがに肥満度3,4BMI35↑は29%死亡リスク上昇。

② 東北大学研究グループと厚生労働省研究班

40歳時点での調査で「太り気味」BMI25-30やせより7年長命

 

ま、この辺が規模の大きなデータですが、10年来あいも変わらず25ダメだよ、デブ、痩せなければね。だと

ダイエット全般は世の企業が潤いますモンね、手のかかった高価格の食材、外食での付加価値、ジム関係、健康講話は中身これだけで講演料、女子自身の美形願望、美容とも結びついて加速。

と、腐してるようですがこれもGDPに貢献する事なり、むげに全廃とか野暮は言いません私らしく。

にしてもこころ病むほどまで咎めるのはやめないと。ずるいというかマッチポンプの匂いもする。健康のためといいながら、そのままで良い体型にもっと痩せないと健康や余命にわるいと25で話が進むのはフェイクといいきってよいのでは。

25と30の対比のない日本の文化が嘆かわしい。一部知恵の回る、賢き者がそうでないものを振り回すのはモラル低い悪しき行いかと。まだ続くのだろうか

 

 

参考資料】コピペなので少し読みづらいのですが

意義深いので走り読みでもお付き合いください。

OECDの
 「Health Date 2012・肥満度」によると
 ・OECD34カ国、データは03~10年
 ・トリップアドバイザーが抽出、報告

☆国別肥満度ランキング
      BMI・30以上 25以上
1.アメリカ    33.8%  68.0%
2.メキシコ    30.0%  65.1%
3.チリ      25.1%  64.5%
4.ニュージーランド 26.5% 62.6%
5.イギリス    23.0%  61.3%

6.オーストラリア 24.6%  61.2%
7.アイルランド  23.0%  61.0%
8.アイスランド  20.1%  60.2%
9.カナダ     25.1%  60.0%
10.ルクセンブルグ 22.5%  59.1%

11.フィンランド 20.2%  59.1%
12.ギリシャ   18.1%  58.9%
13.スロベニア  16.4%  55.1%
14.チェコ    17.4%  54.3%
15.ハンガリー  19.5%  53.6%

16.スペイン   16.0%  53.6%
17.ポルトガル  15.4%  51.6%
18.スロバキア  16.9%  51.5%
19.ドイツ    14.7%  51.4%
20.エストニア  18.0%  49.6%

34.日本      3.9%  25.1%

世界保健機関(WHO)の基準[8]
状態    指標
痩せすぎ    16.00未満
痩せ    16.00以上、16.99以下
痩せぎみ    17.00以上、18.49以下
普通体重    18.50以上、24.99以下
前肥満    25.00以上、29.99以下
肥満(1度)    30.00以上、34.99以下
肥満(2度)    35.00以上、39.99以下
肥満(3度)    40.00以上

日本肥満学会の肥満基準
(2011年)[11]
状態    指標
低体重(痩せ型)    18.5未満
普通体重    18.5以上、25未満
肥満(1度)    25以上、30未満  注】肥満?日本だけ、経済かよ
肥満(2度)    30以上、35未満
肥満(3度)    35以上、40未満
肥満(4度)    40以上

厚生労働省の研究班(研究代表者=辻一郎東北大教授)による40歳代のBMIと平均余命を調査した研究で、
太り気味(BMI:25以上30未満)の人が最も長命である結果が得られた。「太り気味の人」に次いで、
普通体重(BMI:18.5以上25未満)の人、肥満(BMI:30以上)の人、やせた(BMI:18.5未満)人、
の順で平均余命が高いことが判明した。

WHO(世界保健機構)の基準では以下のように、BMIが30以上を肥満と定めています。

判定    BMI
低体重
Underweight    18.50未満
痩せすぎ
Severe thinness    16未満
痩せ
Moderate thinness    16~17未満
痩せぎみ
Mild thinness    17~18.5未満
普通体重
Normal range    18.5~25未満
過体重
Overweight    25以上
肥満予備軍
Pre-obese    25~30未満

肥満
Obese    30以上
肥満(1度)
Obese class I    30~35未満
肥満(2度)
Obese class II    35~40未満
肥満(3度)
Obese class III    40以上

この研究(メタアナリシス)は1月1日、米国医師会誌(Journal of the American Medical Association、JAMA)で発表されたものです。米疾病対策局(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)のキャサリン・フリーガル博士は世界各国97件の研究データを基に約288万人以上(死亡者数・約27万人)の肥満度と死亡率の関係について分析しました。

この分析結果を表にしてみました。普通体重の死亡率を100とした場合。
BM指数
状態(日本)
状態(WHO)
死亡率


18.5未満
低体重
低体重
110


18.5~25
普通体重
普通体重
100


25~30
肥満度1
過体重
94


30~35
肥満度2
肥満度1
95


35~40
肥満度3
肥満度2
129

 

注】各研究25~30】は18.5~25】に見劣りしない。痩せ願望に付け入る資本主義【悪しき見識