D.Data ごときに振り回されるなかれキミ 2” | todakaclのブログ

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呼吸器内科開業医(救急救命15年/呼吸器40年)
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D.Data ごときに振り回されるなかれキミ 2”

2010-04-08 22:16:47 | 健康・病気

チョイ遅れたが、続きだぁ!!

自慢話にしか聞こえない前振りの後を受けて、
今回の表題は、実は・・・小生の嘆きです、ココ10年の。
何が悲しゅうて後輩たち・同期たちの情けなさを見せられるのか、怒りさえ感じる。
内科でなくとも学んで印象的だった「狭心症」で例えさせていただき、砕いた話しをします。

この病気は、医学生のとき始めて知る、検査に殆ど引っかからない教訓的側面を持つ病ヤマイです。聴診は当たり前、心雑音がする時は他の心疾患が並存してるだけのこと。まともな心音Ⅰ、心音Ⅱが聞こえるだけ。
で、ECGイーシージ-、EKGエーカーゲ-、心電図シンデンズの12誘導を10秒は言わずもがな、3分心電図とってても、ひっかかりゃしない。非発作時が正常というのがほぼ狭義の疾病定義です。
胸部レントゲン、胸写、Cx-p、Chest-Xreyじゃあ99%心肥大のない正常な心臓の白い壺を見るだけせう。CTR=Cardio-Trakic-Ratioシーティーアール=心・胸廓比は、55%以下の大きさなんですぅ。
あと、今はやりのカラーがついてる心エコーも、心筋梗塞で動かないパーツを描き出すのは水を得た魚のようですが、なんせ発作時でなければ虚血なんか分かりゃしないんで。
どう、徹底的に語ってますよ、小生。

検査頼みの落ちぶれたことに気付いてないというか、一度もパントマイムの舞台の味を堪能したことのない若手や、学ばずに60を迎えた先生たちへ、繰言・苦言・上梓で言います。

問診にこそ、その情報の95%が詰まってるのを見落としてる貴方、なにしてますか。
患者さんが語る「2,3年前から、年に1,2度ほど胸がキュって抑え付けられたような、心臓をエクソシストのライバルが握りつぶしてるような、末恐ろしい恐怖感と供に、数分(まれに数10分)続くことがありまして。それが最近一月に1,2度になりまして、その上先週末から月曜の間に2度もおこったもんで、心配になってご相談にあがりました。わたしはどんな病気なんでしょうか。ご教示ください。怖くて怖くてこのままじゃ今宵も眠れませんです。(地下鉄はどこから?みたいだ、きゃはっ)」

充分なんじゃないですか。

伝わりますかね。検査というのは、その医師が思い描ききれる全ての疾患から何を可能性が高いかを灰色の脳みそでバリ、フル回転させた後にオーダーするものなんです。
原点です。診断学の。【内科の命】やん、わすれたとはいわせん。
他科だって、診断あってこその外科の腕の魅せどころでせう。
灰色に考える知恵の基礎がないために、散弾銃のように検査をして、無駄な時間・無駄な費用を患者さんに負担掛ける。あなた一流を名のるのはどうかと???

がんばって、医師の皆さん。
がんばって、患者さん、見分けてください。貴方の人生経験が助けてくれます。どの医師が、信用できるヒューマニズムをあなたに提供してくれるのか。医療では土素人かもしれませんが、あなたは充分、人生のプロなんです。自信持ってChoiceしてくださいな。