Digital Dataごときに振り回されるなかれ君キミ | todakaclのブログ

todakaclのブログ

呼吸器内科開業医(救急救命15年/呼吸器40年)
折々につぶやき珠に【大声カモ(*'▽')
当面【gooブログ】で消失した過去ログ掘削が主です

Digital Dataごときに振り回されるなかれ君キミ

2010-04-04 23:05:00 | 健康・病気

かなりなひさびっさの書きコですなぁ。ワレながら、アハハッ。紀文やだから。

ここ10年くらいかな、私が医師経験15年目を迎えた頃。
生意気盛りの頃だから、市中のある救急病院で一緒に働くことになった、脳外科のHuR先生とはほぼ同期だったんだが、ある日の準夜帯の会話。
TDK「思うんだけど、最近半径10Km内(西と南限定)の病院すっ飛ばして救急隊の隊長が、思いっきりウチに搬送するようになったよね。とくに、オレん時は、回状が廻ってるらしい。この忙しさはおたくの師匠の副院長の<<おはたらき>>のおかげ、せい、ダヨね。」
HuR「うん。どっちもそのとおりだ。で、何デカ分かる?」
TDK「なん~?」
HuR「だって、僕らが、5日づつに、他の4人が4日に、あとちょろの先生が形ばかりで30日をうめて当直してるでしょ。そのうえ、理事長がさ、ぜったい救急を断るなって、9時寝の3時起きの間の空白以外は、つねに赤電話を傍聴してるから、警備員ぜっていことわらないさ。」
「んで、この10日分は当然としても、待機でぼくらは20分いないに当直医のオン・コールに、他の20日もちゃんと応えて出てくるやん。」
TDK「だから、なんって」
HuR「自慢していいと思ったから切り出したんだけど、僕ら2人がいれば、大概の救急患者は助けきれるという信頼を、救急隊がもってくれたんだよ。この1年の働きの成果だと思うよ。言い換えると、僕らで助け切れんかったら、市内のどの救急医がいてもおなじことだ。せいぜいそれに勝る組み合わせは福大救急救命だけやろ。」
TDK「きゃー、すごくない。その自信過剰。でも同意するわ、ヘラッ。」

おそろしき、若手救命医の傲慢なり。
でも、そう事実とは離れてない気がしたんです。だって、彼は唯一の弱点が、腹。そう、脳神経診るヒトだから脳・心・肺、中枢神経・循環動態・呼吸管理が当たり前なんで、そこしか経験不足のない、涼しげな眼をした、はてしなく優しく死を見送れるヒトなんです。
一方わたしは、2年間の内科から8年の呼吸器内科+遅れ内科全般修行(主にファイバー)2年で計12年ののちの病院での会話です。
弱いのは、脳出血・SAH(ザー)くも膜下出血で、脳梗塞ならなんとか脳神経内科の真似事くらいはできるくらい。かわりに、循環・呼吸の胸だけではなく、腹部は外科を要請するべきか、ひとりでカメラ止血するかの判断はできるレベル。

そう、クロスが8割もある無敵コンビ。それに仲がよかった。尊敬できるし、親分副院長の麻雀でかもになる二人でもあった。弱者コンビでもある、プライベートでは。もうひとつ共通点があった。ファミリアなんだ、子煩悩で、そして何よりも嫁が好き。話しが合う合う。

まえふり、いつもどおりに長かったですが、つまりは、この二人の思い上がりかもしれない中堅医師の共通点は、アナログなんです。
やることなすこと、視診・問診(主に連れからだけど)・触診、はては血液検査、胸写・あたまCTまで、診断に至るまで10Point Scoreのように白と黒、エボニー&アイボリーの間にほんの少しの大雑把な「グレー」を常にもって診断。千とか1万、ハテは100万なんてDigiじゃぁないんだ。あくまでも人間の感性。刑事の「勘」とかイカリヤ長介が言わせられたりする台詞あったけど、あれは本来、その職の職人・マニアックなヒトのもつ経験の集大成なんだ。
誤解なきように。
で、1分から20分以内だな。その間も、妥当な応急処置は平行してやる。
治療も、グレースケールで、ひとつづつ確かめながら。
こんなだから、救命率が高くなる。当たり前しかしない面々とちがい、助けたときの喜びを肌で知ってるから、やり方が揺るがない。【ブレない】んだ。

自慢は続く。
九大医学部のウラにあった私を育ててくれた600床50人医師体制の救急病院が、市内一の搬入を誇っていた頃、ICUまで運び込まれた患者の主治医は翌朝の8時半の申し送りで救急医長ケンICU医長が、だれを主治医にするか命じる。
そんなこんだで、9時くらいまでは前当直医指示した治療をやってるICUに行って、
「このヒトの主治医、オレ」
Ns看護婦たち「よっしゃぁ、いけるよ~。気合入れて~。」
「なんや、その気合は?」
Ns「だって、けんちゃん(この呼び方しかしてくれない)が主治医なら、救命率60%こえるやん。やりがいあるもん。」
ダイレクトな話しすれば、たしかに、その当時、ICU医長のToY先生(気胸ブスっとの)と、私と同期の次期ICU医長HiR、そして私の3人は、平均の40%よりはおおく助けてた。
やる気まんまんのエリート看護婦にとってはクールセーダー、自分たちの仕事を今現在ではもっとも報われさせてくれる3人だったから。
きゃ、格好いい。けんちゃ~ん。
は、止めて欲しかった。みなたまに戸高という苗字を忘れてくれたりして、望年会くらいならいいが、病院の廊下や、外来のホテルのようなロビーで呼ばないでくれ。が、ついに退職するまでその習慣は、一般外来・病棟のNsもおなじであった。あ~ぁ!プチ嘆きなり。

酔った~、続きは明日。