『 まちがいだらけ』 ~「ちがい」を「まちがい」にしない世界へ~
HIROTO:絵 しょうじあいか:脚本・文 絵本屋だっこ 定価:1200円+税
私のお薦め度:★★★★☆
今月は、少し気分を変えて絵本の紹介です。
白黒の印刷だとちょっと表現が伝わらないかも知れませんが(注:私たちの育てる会会報は白黒印刷なんです m(_ _)m )、とってもカラフルな絵本です。
絵を描いているのは、札幌生まれの『HIROTO』くん。ASD(自閉スペクトラム症)やADHDの特性のある、現在15歳の高校生アーティストです。
そのHIROTOくんが生みだしたキャラクターたちを主人公にして物語を創っているのが、絵本作家の『しょうじあいか』さん。ご自身が重度障がいや発達特性のある子どものお母さん、今は『絵本から障害理解を広める活動』を自ら立ち上げたNPOにて行なわれているそうです。
“絵”や“カラフル”を、言葉や白黒印刷で表現するのは難しいので、申し訳ないですが、アマゾンに載っていた本の紹介「あらすじ」で紹介させていただきます。
私もこの「あらすじ」を読んで、早速注文しました。
発売日は今月の4月2日、できたてホヤホヤの絵本です。
ここは、カラフルなキノコが広がる森。
そこに暮らすシェリーカールにゃんこたちは、みんな同じ色、同じ模様。
ある日、森にやってきたのは――
鉄板のからだをもつにゃんこ。
魚のヒレがついたにゃんこ。
ボロボロのロボットにゃんこ。
積み木みたいなにゃんこ・・・・・。
「なんだか、まちがいだらけじゃないか」
はじめは戸惑っていたにゃんこたち。
けれど、たくさんの“ちがい”に出会ううちに、気づきます。
まちがいだらけだと思ったけど――
本当に、そうだったのかな?
ちがうって、わくわくする。
自分の色も、みんなの色も、どれもすてき。
「ちがい」を「まちがい」にしない世界へ。
多様性をやさしく伝える、カラフルで力強い絵本です。
蛇足になるかもしれませんが、私からも少し説明を加えると、カラフルなキノコの森なのに、そこに暮らす「シェリーカールにゃんこ」(HIROTOくんの命名)たちは、みんな同じ顔に同じ身体、同じ色をしたにゃんこたちです。
森のカラフルなキノコを見ても「正しいのは何色なんだろう? まちがいだらけだなあ」なんて考えたりしています。
みんなが同じなのが一番安心できる・・・なんて考えがちな学校や社会みたいですね。
そこへ海からやってきたのが少し変わった「テッパンカールにゃんこ」と「ギョルトカールにゃんこ」の二人組。
「シェリーカールにゃんこ」たちの第一印象は、「まちがいだらけで、変わってて気持ち悪い」・・・・
自分たちとは違うものは、まず排除したがるのは人間だけでなくにゃんこたちの世界でも同じなのかもしれません。動物の群れでも同じですし、もっと言えば私の飼っていたメダカの水槽でも,新参者のメダカはいじめられていましたから、もしかすると生物界の生存本能に由来するのかもしれませんね。
次の日現れたのは、脚がバネで積み木でできた「キッズルームカールにゃんこ」、もうここまでくると大人たちはあきれるだけ、一方で子どもたちは喜んで一緒に遊びます。
そしてさらに次の日、ドヤドヤとやってきたのが、たくさんの一人ひとり違ったにゃんこたちです。
みんなHIROTOくんの創ったにゃんこで、本の後半は図鑑になっていて一人ひとり紹介されています。
『おんせんカールにゃんこ』 街で祖なのお風呂に温泉を沸かすにゃんこ
『半ヤシの木カールにゃんこ』 半分がヤシの木でできている 無限にココナッツができる
『貯金箱カールにゃんこ』 入れたお金が倍になる貯金箱のカールにゃんこ
『ハリボテカールにゃんこ』 段ボールでできた張りぼてのカールにゃんこ ・・・・・ などなど
そんな一人ひとり違ったカールにゃんんこを見ていた、こちらは同じ模様の「シェリーカールにゃんこ」たち。
「まちがいだらけじゃなかった。わくわくだらけだったんだ」
そして、今まで同じ模様、同じ色だったにゃんこたちが、森のカラフルなキノコを食べて、いろんな色になって楽しく遊びましたってさ・・・めでたし、めでたし。
もちろん、現実社会は絵本のように簡単ではありません。それでも、この絵本が読者の心に響くように、思いは広がっていくかもしれません。そう信じたいですね。
先ほど書いたように「自分たちと違うモノを排除しようとする」のが生きていくための生存本能だとすると、
違ったモノを受け入れることができるのは、人間だけにできる(あるいは、人間と“カールにゃんこ”たちだけにできる)優しさなのかも知れません。この寛容さを大切にしたいですね。
「あとがき」にあったHIROTOくんのお母さんからのメッセージです。
どうして うまくいかないのだろうと、一緒に立ち止まったことも何度もあります。
それでも、彼が描く絵を見ていると、
「あなたには、あなたの歩き方があるんだよ」
そう教えられてきたのは、私のほうでした。
彼の描く世界は、驚くほどまっすぐで、自由です。
この物語が、どこかで悩んでいる誰かに、「あなた色のままで、歩いていけますように」とそっと届きますように。
またこの本の使い方も、いろいろと紹介されています。
・多様性やインクルーシブ教育について考える場面に
・発達特性や障がい理解をやさしく伝える場面に
・学校や保育園での読み聞かせに
・家庭で親子一緒に読む時間に
どんな場面で使うのか、それは読者のみなさんにお任せしますが・・・、でもやっぱり最初は親子で一緒に読んでいただきたいと願っての、お薦めの一冊です。
(「育てる会会報 336号」(2026.4) より)
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目次
『まちがいだらけ』
ひろと HIROTO 【プロフィール・経歴】
あとがき HIROTOの母より
脚本提供:しょうじあいかより
インクルーシブ絵本作家 しょうじあいか
HOROTO にゃんこ図鑑






















































