前回に引き続き、中国語でも読める漢詩に挑んでみた試みとなります。
【漢詩】旅途【オリジナル】 | TOSHI's diary (ameblo.jp)
リンクを貼っておきますのでもしよろしければご覧くださいませ。
今回は七言絶句の仄起式、平起式の二首の漢詩を詠んでみました。
当ブログの台湾日記を見直していて思い付いた漢詩です。
【台灣】雙溪公園! | TOSHI's diary (ameblo.jp)
サムネイル用も兼ねて雙溪公園の写真も貼っておきましょう。
こちらももしよろしければご覧くださいませ。
それと台湾の方に中国語としてどれほど通用するか見てもらいました。
できるだけちゃんと通じるものを目指して頑張ったつもりです。
とは言え平仄や押韻なども考える必要があるので難しいところです。
それでは始めていきましょう。
園林
【白文】
園林
仲夏園林獨坐亭
池塘不濁太充盈
衝天嶮岨肖仙境
正在悠然諷詠寧
仲(仄)夏(仄)園(平)林(平)獨(入)坐(上、去)亭(平) 亭
池(平)塘(平)不(入)濁(入)太(去)充(平)盈(平) 盈
衝(平)天(平)嶮(上)岨(上)肖(平)仙(平)境(上)
正(去)在(去、上)悠(平)然(平)諷(去)詠(去)寧(平) 寧
【訓読文】
【書き下し文】
園林
仲夏園林獨り亭に坐す
池塘は濁らず太だ充盈たり
衝天嶮岨仙境に肖たり
正に悠然たるに在りて諷詠寧らかなり
【ピンイン】
園林
仲夏園林獨坐亭
池塘不濁太充盈
衝天嶮岨肖仙境
正在悠然諷詠寧
【和歌】
こちらはおまけで和歌にしてみたものです。
最近和歌作りがおろそかになっており、頭の体操も兼ねて詠んでみました。
漢詩から少しずれますので話半分にご覧いただければと思います。
唐国の 皐月の庭の 東屋に 獨りし居たり 池水は 澄み渡りつつ 滿ち滿ちて
巖の山は 天を突き 蓬萊の如く 神さびし のどなる內に 今し在り 歌詠むれば
思ひ遣るかな
【現代語訳(伝えたかったこと)】
園林
六月のこと、中華庭園の東屋にて一人座っている。
池の水は濁りもなく、よく満ちている。
天を突くような岩山はまるで仙境を思わせる。
今こうして穏やかな中で詩を詠むのは実に安らかなことよ。
雙溪
【白文】
雙溪
雙溪澹淡畔清泠
兩巧相交過所丁
自我旁離泡沫去
凝眸已往只伶仃
雙(平)溪(平)澹(上)淡(上、去)畔(去)清(平)泠(平) 泠
兩(上)巧(上)相(平)交(平)過(去)所(上)丁(平) 丁
自(去)我(上)旁(平)離(平)泡(平)沫(入)去(去)
凝(平)眸(平)已(上)往(上)只(上、平)伶(平)仃(平) 仃
【訓読文】
【書き下し文】
雙溪
雙溪澹淡として畔は清泠たり
兩つながら巧みに相交りて丁る所を過ぐ
我が旁より離れ泡沫は去る
已往を凝眸し只だ伶仃するのみ
【ピンイン】
雙溪
雙溪澹淡畔清泠
兩巧相交過所丁
自我旁離泡沫去
凝眸已往只伶仃
【和歌】
靜かなる 二すぢの川 瀬を清み 畔は涼し 緣にし 相交りて 水なまたを
流れ過ぎたり 離れ果つる 水泡ぞ去ぬる 來し方を 打ち眺めては 立ち竦むのみ
【現代語訳(伝えたかったこと)】
雙溪
二つの谷川の水は静かにゆったりと流れ、清らかな川の畔はどこか涼しい。
何の縁か、二つの川はここでうまく巡り合わせ、一緒に流れていくようになる。
私の傍から消えたり、離れたり、儚い水の泡は去ってゆく。(一つ所に留まる水も泡もない。)
過ぎ去ったそれを瞳を凝らして見つめては、ただただ立ち尽くすだけである。
以上になります。
今回は二首で、いつもの2倍と多かったですね。
では、中国語話者の方にどれほど通じたかについてお話しします。
結論から言うと、大方伝えたかったことは通じていました。
もちろんニュアンスが違う語彙もあり、
例えば「泡沫」は中国語だとほとんどが単に「泡」の意味で使われており、
日本語における「儚いもの」といった意味合いが含まれるというのはほぼないらしいです。
ただ、古語や成語では「泡」=すぐ消える虚しいものの例えに残っている場合もあります。
また「嶮岨」は今ではまず見ることがないので、
現代主流になっている(と言っても文語文として)「險阻」でも良かったかもとのことでした。
あとは格助詞「的」や「量詞+名詞」がないと、
現代の中国語としてはちょっと通じにくいかもしれないとのことでした。
これらに関しては中国語の古文や漢詩がどれくらいわかるかにもよるだろうと言われました。
まあ漢文と中文は別物なので、それらの点に関しては仕方がないかもしれません。
共通の語法や語彙を活かせられたらといった感じですね。
それと最後に発音に関して一点。
今までと比べて、実際に声に出して読むと、
流れるように滑らかに発音しやすくなったとも言われました。
私は中国語の発音がまだぎこちないので、少し実践しづらくてあれですが。
大きな進歩だと受け取っておきましょう。
読んでくれて本当にありがとうございました。
ということで今回は以上になります。
最後までお読みくださりありがとうございました。
まだまだこれからだと思っているので、見守っていただければ幸いです。
ではでは皆さんまたお会いしましょう。