足りないから、伸びゆく力がある | こどもの心はミュージカル!

こどもの心はミュージカル!

こどもの心は喜びにあふれ、歌いたくて踊りたくて、ワクワクしているものです!それは『創造力』『表現力』があふれているから。
その力を、ミュージカルをはじめとする全身表現で、大きく膨らませたい!――― それが私の大きな夢。


今日は、私が指導する
小学校のミュージカルの本番でした。

16年くらい、指導に通っていますが、
久しぶりに先生方が書いた脚本。

私はその先生のフォローをしながら、
こどもたちの指導と、
演出をお手伝いしました。

例えば、脚本でも
ちょっと足りないところがあったり、
こどもの指導でも
もっとハッキリ言うべきか…と、
実は思っていたり。

以前の私なら、
噛みつくように厳しく
でも、本番の成功のために
抜け目なく指導していました。

でも、私は最近、
考えを改めました。

学校という場で、
ミュージカルをすることの
一番大切なことは、
本番の質の高い成功ではない。

私という、
外部講師が入ることで、

こどもたちが、
学校で過ごす中に、
平常授業とはまた違う
楽しいと思える時間があり、

自分の良さを、
まったく別の角度で
発見される瞬間があり、

何より、
先生や保護者の方が、
また改めて
こどもたち一人一人の素晴らしさに
ハッとする瞬間を持つこと。

そのためには、
みんなが「表現って楽しい!」
「この話、おもしろい!」と、
ワクワクし、
一緒に仲間になる
先生と生徒という立場を超えて、
「つながってる!」と
思えるよう、
ミュージカルの練習に
笑いがたえないことを
目指してきました。

そして、もう一つ。

足りないところを
作っておくこと。

『西遊記』の作品を
深めていくたび、
学んだことがあります。

妖怪だって、旅の仲間だって、
神様だって、
いい加減なところもあって、
みんな好き勝手だったりするんだけど、
でも、
その足りないところや抜けているところを、
そばにいる人が、手を、気持ちを、
伸ばして手助けする。

完璧では、助けようがないからこそ、
足りないことが大切なんじゃないかな。

そして、誰かの力を得て
足りたところは、
あたたかくつながる。

だから、
手を出しすぎちゃいけない。

私は、今日の本番の
たくさんあったハプニングを
乗り越えるみんなを見て、
それを実感しました。

音響の先生が
音を出す直前に、
義経役の子と目が合い、
その子が篠笛を吹こうとしたのを見て、
あえて音を下げました。

彼は、素晴らしい音色で
笛を吹いていました。

袖ではじっと出来ない低学年を、
高学年が面倒みていました。

衣装の着替えのために、
急遽、出番を変更したいという
仲間のために、
本番中に役割を変わった子もいました。

自分にライトが当たらなくて、
セリフがとんでも、
引きずらずに次につなげた子もいました。

怪我で最後のリハに出られなくて、
そのぶん、本番で
頑張っていた子もいました。

好きな先生にくっついて、
しっかり充電したから、
誰よりもお客さんから
笑いをとる演技ができた子もいました。

来年も、学校の先生の脚本がいい!と、
言いにきてくれた子もいました。

学校を離れた仲間が見にきてくれて、
その子のために頑張っていた子もいました。

みんな、みんな、
素晴らしかったし、
それぞれに語り尽くせぬ
感動のドラマを生んでいました。

私も含め、
自分に足りないところが
あることに、その都度、気づき、
素直に助けを求め、
あるいは、周りがそれを見つけ、
手を伸ばし合う空間。

本番の作品の仕上がりも大成功でしたが、
今年のミュージカルは、
その意味でも大成功でした!

完璧を求め優しさを忘れるより、
あたたかな笑いを守り、
私の足りない部分も助けて!と、
素直に頼める勇気。

育ち合えた素晴らしい瞬間を
たくさん見せてくれて、
みんな、本当にありがとう!

そして、お疲れさまでした。