小学5年生の女の子が、近頃、よく私に電話をくれます。
学校での悩み事の相談です。
小学5年生。私もよく学校の先生の在り方に疑問を感じ、
自分ながらの正義感に苦しんだものでした。
大人ならこうではないはず。教師はこうあるべきじゃないのか。
その子も、私と同じ思いをしているようです。
私はその子に言いました。
「大人といえども、幾つになっても成長の途中なんだよ。
だから失敗もするし、間違うこともある。
イライラや八つ当たりしちゃうこともあるよ」
そして、
「人それぞれ考え方や感じ方は違う。
人はそれぞれの思いの中で生きているからね」
それがわかるのは、大人になった時かもしれないね。
でも、それを大人になって感じるためにも、
今、いっぱい悩むべきなんだね、きっと。
・・・・・・・
上記の言葉は、私の師匠の増田先生が
よく言われる言葉です。
私はこどものころから、常に強い正義感を持っていました。
「自分」というものが、はっきりあって、
他を受け入れる発想を持てなかったのです。
その「自分」が受け入れられなかったから、
ますます「自分」の考えにかたくなになり、
人を認めることができなかったのでした。
増田先生のミュージカルでは、
まず、心と体をほぐす、「ボディートーク」の
ウォーミングアップからはじまります。
日ごろの生活で固くなった気持ちがほぐれるからこそ、
自然で素直な表現が産まれるのです。
私が劇団でしていたのは、かたくなな自己主張の表現で、
演出家の言葉や脚本家の思いには
寄り添っていなかった、今ならわかります。
でも、かたくなな人間に、「かたくなはダメ」と言って、
どう変わることができるというのでしょう?
私はボディートークによって、体がほぐれるごとに、
心がほぐれることを知りました。
子どもたちとともに、
自分の心もほぐすことができたのです。
あたたかなふれあいをベースとした
「体ほぐし・心ほぐし」では、3歳の子でも
大人をまともにほぐせます。
技術を越えた、生命のあたたかさ、
手のひらのあたたかさに包まれると、それだけでホッとするのです。
安心するからこそ自分を発揮できる。
自分を発揮でき、それが認められるから、人にやさしくなれる。
そのすばらしさがあるから、表現することが楽しくなる。
そうか、この表現法だからこそ、私は表現好きになったのか!
だったら、他に行くのでは意味がない。
このミュージカルをやっていこう!
19歳の私は、高槻市のミュージカルが3月で終わった時、
大学の公衆電話から、増田先生に電話しました。
「先生のミュージカルでリーダーになっていくには、どうしたらいいですか?」
「私のところに勉強に来なさい」
こうして19歳で私は増田先生のもとで
あらゆるボディートークの勉強と、
ミュージカルの勉強を始めたのでした。
それから15年、増田先生のもとで学ぶことになるのです。
その話はまた次回・・・