今日、山の上にある小学校で、こどもミュージカル「オズの魔法使い」の指導をしてきました
この学校のミュージカル指導は、かれこれ10年ほど通っているので、
子どもたちもミュージカルに慣れ親しんでいます
表現の指導も、こどもの耳にすっと入り、どんどん演技がよくなっていくので、指導するのが楽しいです
今日は物語の前半からやっていったのですが・・・カラスとかかしのシーンで、面白い発見をしました
かかしはいつもカラスに馬鹿にされていて、でも、そんなのどこ吹く風であっけらかんをしています。
かかしには「知恵がなくて、考えることができないから」というのが、物語の表向きな表現ですが、
誰かに少しくらい馬鹿にされても、きついことを言われても、
気にせず、明るく切り返すかかしの生き方もステキだと、表現を通して知ってほしいという願いもあります
カラス役の子達は、だいたいがヤンチャな子達がなっています
セリフもちょっとからかったり、馬鹿にしたり、楽しくリズミカルに、脚本を書いています。
子どもたちは元気いっぱいにやっていたのですが・・・
一人の男の子に、「かかしを横目で見ながらイヤミを言う演技」を指導するのですが、
その子は一向にそれがうまくいきません。
「こうやってみて」と具体的にやって見せたり、「横目でやるんだよ」と言ったり、
ほかの子たちもみんなできるのに、そのセリフを言う、とうの本人だけができません。
どうなるかというと、どうしても、かかしのほうを見てまっすぐに言ってしまうのです
「ああ、そうか」と、気づきました
その子の精神構造の中に、「人を横目で見る」という感性がないのです。
まっすぐで、相手にちゃんと向かい合いたい子なので、そういうセリフの言い方ができないのです。
ここがプロを育てる養成所なら、演技ができるまであの手この手で訓練しますが、
ここは学校で、しかも「こどもの自然で 素直で 豊かな全身表現を伸ばす」取り組みです。
ですから、その子の精神構造に、そういう優しいものが見えたことが、みんなの喜びになりました
息は生き方を表す。
その息が、その人自身の行動を生む。
まさにそれを実証した一日でした