子どものときに増田先生のミュージカルと出会った子どもは、
よくよく、世間のミュージカルもそれと同じだと思ってしまいがちです
それは、その指導があまりに自然で、こどもの心と体に馴染みやすいからなのですが・・・
大人になって、知識や経験が付いていると、それが邪魔して頭で理解しようとするあまり、
逆に受け入れにくくなることもあります。
昨日のミュージカルで、白雪姫が毒リンゴを食べて、倒れているのを嘆く歌を練習しました
この歌では、白雪姫が、もう生き返らないと思うあまり、みんなの声が、悲しみに詰まっていないといけません。
特に胸椎3番(胸のあたり)をキュウッと詰めて、悲しみの中から、声を絞り出すようにすることが重要です
最初はうまくいかなかった子どもたちも、その体の変化を感じだすと、スッと胸をつめて歌い出します
感情からだけでなく、体を変えることで、演技はさらに深まります。
でも、この体を変えるというのが、大人には難しいです。
それは日常のストレスで、体を固めていることが多いので、自由にゆるめたり固めたりがしづらいのです。
だからこそ、表現前の「体ほぐし・心ほぐし」は重要です
もうひとつ、大人に分かりづらいのが、「息をひそめる」ということ。
たとえば、お妃が怒り狂うシーンがあったとしましょう
すると、感情優先に演技をすると、ついついどなり散らしてしまいます。
すると喉は痛いし、聞いている人には、何を言っているか分かりません。
そういう時は、その怒りの中で、一番言いたい部分、あるいは怒りの頂点を見つけます
そして、その山の前には、一端ひそめることが大事です。
そして、徐々に盛り上がったり、一気に爆発したりします
すると、最初をひそめたからこそ、爆発した時のエネルギーは、大きく感じられるのです。
これは、子どもを「ここぞ」というところで、叱るときにも応用できます。
怒鳴ってばかりでは、子どもにはその内容が伝わりません。
「これを言いたい」という前は、静かに話す。
あるいは、ドンと言いたいことを先に行ったら、あとは穏やかに話す。
表現を変えるには、まず具体的に体を変えるという演技法は、おそらくボディートークならでは、です。
体が変わると、息も変わり、この息が変わることが表現の極意です