こんにちは、アラフェネです。
今回の記事は<ウマ>の記事になります。
大型の草食哺乳類の一種であり、素早い走行速度と瞬発力を兼ね備えた動物です。
人との関わりの歴史は長く、様々な品種が作出され、移動や農業として、産業社会の第一線として活躍しました。
蒸気機関などの普及により、活躍の幅は急激に衰退しましたが、今でもなお、競馬場、観光牧場、儀礼用、動物園などで見ることや触れ合うことができます。
そんな<ウマ>ですが、どんな動物なのか、分類、生息地、生態などを見ていけたらと思います。
分類・種
一般的にウマとは、<哺乳綱奇蹄目ウマ科ウマ属>に分類される、草食哺乳類のことをいいます。
奇蹄類は蹄の数が手と足それぞれ1つか3つ、奇数持っていることが大きな特徴です。
〇奇蹄目(ウマ目)
奇蹄目は別名<ウマ目>ともいわれ、他に<シロサイ、クロサイ、インドサイ>などが属する<サイ科>、<マレーバク、アメリカバク>などが属する<バク科>などのウマに近い草食動物のグループの一群が属しています。
〇ウマ科
ウマ科には、シマウマ、ロバ、モウコノウマなどの野生種の他、荷引きや競走馬などを目的に人工的に作出した家畜種などが存在します。
しかし、シマウマを除くウマ科の野生種はすでに絶滅したとされており、現在、野生で見られる種は一度、人が飼いならされて繁殖した個体(子孫)が逃れたものとなっています。
・野生種
上:サバンナシマウマ
中:アフリカノロバ
下:モウコノウマ
シマウマ亜属ー【サバンナシマウマ】
L<グラントシマウマ、チャップマンシマウマ>
ー【グレビーシマウマ】
ー【ヤマシマウマ】
L<ケープヤマシマウマ、ハートマンヤマシマウマ>
シマウマには、大きく、<サバンナシマウマ、グレビーシマウマ、ヤマシマウマ>の3種に大きく分かれます。さらにその下にサバンナシマウマ亜種が置かれ、<グラントシマウマ、チャップマンシマウマ>、ヤマシマウマ亜種は、<ケープヤマシマウマ、ハートマンヤマシマウマ>などが存在します。
ロバは<ノロバ>とも呼ばれ、<アフリカノロバ>、<アジアノロバ>、<チベットノロバ>が代表種です。
<アフリカノロバ>は現在の家畜ロバの原種とされています。
アルタイ山地では、ノウマの一種であるモンゴル原産の<モウコノウマ>の再繁殖個体が生息しています。
・家畜種(洋種馬)
上:軽種である<サラブレッド>
下:重種である<ペルシュロン>
家畜種には大まかに、スピードと持久力に特化し、競馬の競走馬として用いられる<軽種>、パワーと力強さに特化し、荷馬車や農業具などのけん引馬や肉馬として用いられる<重種>、馬術などに用いられる<中間種>、に大別されます。
軽種では<サラブレッド、アラブ、アングロアラブ>、重種では<ペルシュロン、ブルトン>、中間種では<クウォーターホース、スタンダードブレッド、ハクニー、アパルーサ>などが存在します。
また、イギリスでは体高148㎝未満のウマを<ポニー>と呼びますが、あくまで区分けの名称で品種の名前ではありません。
軽種:競走馬用
重種:農業具やけん引、肉馬用、ばんえい馬
中間種:馬術やジョッキー用
・日本在来馬
右から<木曽馬>、<対州馬>
在来馬とは、古墳時代にモンゴル原産のノウマのである<モウコノウマ>を原種とし、軍馬・家畜馬用として、朝鮮半島から渡来し、対馬を基点に国内各地に広がった、外来種との交雑がされていない日本固有種の馬のことをいいます。
現在の日本在来馬は、<北海道和種(道産子【どさんこ】)>、木曽馬(きそうま)>、<与那国馬(よなぐにうま)>、<御崎馬(みさきうま)>、<対州馬(たいしゅうば)>、<野間馬(のまうま)>、<トカラ馬>、<宮古馬(みやこうま)>などの8種のみです。
絶滅については、<保護状況>の欄で詳しく見ていきます。
・ばんえい馬(ばん馬)
ばんえい馬とは、人を乗せたソリをけん引し、<ばんえい競走>などに用いられる
競走馬の1つの事をいいます。
騎手とソリを2つの重量物を高速で素早くけん引する為、大型で力強く、瞬発力のある<ペルシュロン>、<ブルトン>、<ベルジャン>などの<重種>が一般的に用いられています。
日本では、北海道帯広市で<ばんえい競馬(ばんえい十勝)>が行われており、間近で馬の力強い走りを見ることができます。
北海道和種とばんえい馬と勘違いする方が多いですが、体高や体重、骨格が異なるため、注意してください。
生息地・環境
ウマは、アフリカ大陸の広範囲に生息地を持つ<シマウマ>、アフリカや中央アジアなどの世界中に生息地を持つ<ロバ>などが存在します。
また、モンゴルのアルタイ山地などのノウマである<モウコノウマ>に大きく分けられます。
〇シマウマ
シマウマは、主にアフリカ大陸の南東部にあるサバンナの開けた草原に生息します。
また、山岳地帯の<ヤマシマウマ>やケニアやエチオピアでは<グレビーシマウマ>なども存在します。
〇ロバ
ロバは、アルタイ山地や広大な草原を生息地としています。
中央アジアの<アジアノロバ>、中国西部のチベットの<チベットノロバ>、エチオピア、ソマリアの<アフリカノロバ<ソマリノロバ>が生息しています。
〇家畜種(洋種馬)
家畜種などは、野生種を中央アジアで家畜化されたのを始まりとし、それがヨーロッパを中心に広がり、時代とともに多くの品種が作出されました。
軽種の<サラブレッド>はイギリスの在来馬にアラブ種を交雑させたイギリス原産、<アラブ>や<アングロアラブ>はアラビア半島、重種である<ブルトン>や<ペルシュロン>はフランス原産となります。
〇在来馬
右から、<御崎馬(みさきうま)>、<宮古馬>、<北海道和種(どさんこ)>
国内各地に広がっていったモウコノウマは全国各地で体形などの特徴を少しづつ変え、
多くの固有種が誕生し、それぞれ、各地名を取った名前を付けるようになりました。
・北海道和種(道産子)ー北海道
・御崎馬ー宮崎県都井岬
・木曽馬ー長野県木曽地域
・野間馬ー愛媛県今治市
・トカラ馬ー鹿児島県トカラ列島
・宮古馬ー沖縄県宮古島
・対州馬ー長崎県対馬市
・与那国馬ー沖縄県与那国島
形態
続いて、形態です。
草食動物でありながら、手足が長く、強靭な筋肉や循環器系を持ち、長距離を高速で走ることに特化している体のつくりをしています。
同じ草食動物で、見た目の骨格などから、一見<クジラ偶蹄目>の偶蹄類によく似た体格をしていますが、骨格や臓器系統、蹄などが異なるため、ウシやシカなどの動物と区別して分類されています。
〇体高
家畜種では速さや荷引きなどに特化した、品種改良がおこなわれている為、品種によって全長や体重が大きく差があります。
例えば、<軽種>である<サラブレッド>などは体高170㎝、体重500kg程度ですが、<重種>である<ペルシュロン>などは、体高200㎝、体重が1000kgにもなります。
ウマの体重の大部分を占めるのは、やはり臓器や筋肉の部分であり、ウマの臓器は一つ一つが大型で管が長いつくりをしているのが最大の特徴です。
特に<盲腸(もうちょう)Large Colon>は長さが約1m、容積が25~30L、<結腸>の長さは3m以上で60Lの容積になります。
〇蹄と骨格
競馬場では、馬の力強く圧倒的な走行速度でレースが行われていますが、そのスピードを安定的に生み出しているのは特殊な骨格や筋肉であると言えます。
また、臓器が腹部に密集し、脊椎で釣っている特殊な構造上、乗馬や荷物の運搬なども可能となっています。
ウマの足は基本的に細く長いのが特徴で、手の関節と足の関節から蹄までの筋肉を無くすことで、軽快な足の動きを確保し、大きな歩幅を稼ぐことが可能となっています。
また、先ほどの大きく重い内臓は1本の脊椎(せきつい)でつるされている形になっており、その臓器の全重量を1本の蹄(第3指【人の中指】)のみで体を支えている為、前足には約全体重の60%の重さ(負荷)がかかります。
そのため、体を前方に押し出すように筋肉が連動し、あの瞬発力とスピードを生み出しています。
馬の蹄は、人の髪や爪などと同じケラチン質でできており、先が一生伸び続けます。
そのため、家畜種などでは、病気などの予防を含め、定期的に蹄の外周を削る<削蹄(さくてい)>を行い、<蹄鉄(ていてつ)>と呼ばれる足の裏に付ける金具を付け替える必要があります。
・蹄鉄(ていてつ)
蹄鉄は、ウマの蹄を保護するために非常に重要な物であり、蹄割れや病原の侵入、衝撃力の緩和、滑り止めなど、高い頻度で走る家畜種の馬にとっては、健康維持に欠かせない装備品になっています。
〇毛色・模様
アフリカ大陸のシマウマは、名前の通り、全身が白と黒の縞模様の毛色をしており、<チャップマンシマウマ>のように間に薄い縞模様があったり、<グレビーシマウマ>のように模様の線が細かいなど種によって違いが見られます。
この黒と白の縞模様には、野生で生きていく上で様々な機能があるとされており、
捕食者からの視覚的な錯乱(さくらん)、吸血昆虫からの虫よけ、体温調節などの役割があるとされ、現在も研究が行われています。
また、シマウマは群れで行動する種が多い為、お互いの個体識別として活用している可能性も考えられます。
ノロバ、ロバなどは明るい灰色~白色、茶色で、<モウコウノウマ>は茶色と白のグラデーションのような毛色をしています。
一方、家畜種では、全身が茶褐色~黒色、白色などがほとんどです。
毛色の名称に関しては多くの名称がつけられていますが、
最も多い<サラブレッド>の毛色では、栗色のような色をした<栗毛>、茶色と黒が混じった<青鹿毛(あおかげ)>などがあります。
また、全身白色の白馬ともいわれる<白毛(しろげ)>などの変異希少種も存在しています。
〇たてがみ
ウマの大きな特徴であるたてがみは、首の後ろの首の直線状に生えており、様々な役割があるとされています。
主な役割としては、肉食動物からの攻撃による防御、首回りの保温や太陽熱の遮断、障害物の感知、異性へのアピールなど役割があります。
このたてがみですが、野生種ほど長く、毛量も多い傾向があります。
生えている動物は意外と少なく、有名なものでいえば、<キリン>、<ヌー>などが該当します。
〇耳
一般的な馬は耳が直線状に立っているのが特徴的ですが、シマウマなどの一部の種<グレビーシマウマ>などは耳が丸い形をしています。
ウマの耳は、10数個の筋肉が存在しており、180°の角度で自由に動かすことができます。
聴力が鋭く、周囲の幅広い範囲の距離の音を聞くことができ、その範囲は人間の可聴域(20~20000Hz)の1.5倍の55∼33500Hzとされています。
その為、人には聞き取れない周波数である<超音波>なども聞き分けることが可能で、肉食動物から気配にいち早く気づくことができます。
〇歯
ウマの歯の数は、切歯12本、犬歯4本、前臼歯と後臼歯24本、狼牙2本で、合計42本ですが、メス馬(赤のライン)はこの<狼牙>が生えていないのが特徴です。
ウマは草食動物であるため、他の草食動物のように<臼歯(きゅうし)>が良く発達しています。
〇尻尾(ポニーテール)
馬の尻尾は約30~40㎝と長く、毛が何千ものが束になった独特な形状をしており、種類によって長さや数が違います。
役割としては、虫を追い払うためや走行時のバランスを保つためなどの役割があるとされています。
このポニーテールですが、人の髪や爪のように一生にかけて伸び続けるため、家畜種などは定期的に人の手によって切り、ブラシなどで整える必要があります。
生態
続いて、生態です。
〇好む環境
アフリカ大陸などの熱帯や亜熱帯を好む種と、ユーラシア大陸、中央アジアの寒帯、亜寒帯地域などの寒冷地を好む種に大きく分かれます。
<シマウマ>や<アフリカノロバ(ソマリノロバ)>は、アフリカ大陸のサバンナ、砂漠、明けた森林などを好み、<チベットロバ>や<アジアノロバ>、モンゴルの<モウコノウマ>など、ユーラシア大陸の中国やモンゴルなどの寒冷地域の草原地帯を好みます。
しかし、ロバに関しては南アメリカやヨーロッパなどにも生息している為、比較的適応が高い種だと推測できます。
〇群れと繁殖
馬は<ハーレム>と呼ばれるオス1頭と複数のメスで構成します。
馬は社規制が比較的高く、ヒトと同じく、社会的順位というものが存在し、群れの中のオスが最上位を示し
、群れのメスとの繁殖できる権利を持っています。
馬は主に、春~夏のみに繁殖を行う<季節繁殖>の特性をを持ち、6月の下旬がピークです。
妊娠期間は約1年弱で、生まれた種オスは1~2歳まで群れの中で過ごし、ある程度の年齢になると、群れから追い出され、単独での生活を過ごします。
家畜種の育成の際に、1~2歳くらいに厩舎(きゅうしゃ)を分けて飼育するのはそのためです。
群れのオスとの戦いに勝ち、メスと繁殖し、群れから離れ、また新たな群れを探すというサイクルを繰り返しているのが馬の繁殖の特徴です。
馬の寿命は長く25~30年、長くても40年生きる個体も存在します。
〇食性
アルファルファのヘイキューブ
完全植物性で、地面に生えている雑草、葉、野菜、果物など、植物性の物であれば、ほとんどの物を食べることができます。
家畜種の主な飼料としてにんじんのイメージが強いですが、基本の主食はチモシー、切り藁(わら)、アルファルファ、サイレージなどを与え、ほか果物やにんじんはおやつ<副食>として与えていることが多いようです。
馬は草食動物ですが、クジラ偶蹄目であるウシ科やシカ科とは消化方法が異なり、複数の胃を持たない、<単胃動物>で<反芻(はんすう)>を行いません。
<反芻>とは、消化しきれなかった、草の一部を胃から口に戻し、再び噛み直す、偶蹄類、独自の消化方法をいいます。
馬の臓器は特殊な構造をしており、非常に長い大腸<盲腸、結腸、直腸>などに存在する発酵菌などで、セルロースなどの消化、分解、吸収を効率的に行っています。
同じ草食動物である<ウサギ>も同じような特徴を持っています。
下のURLに<反芻>について、詳しい内容が記載されているので、興味があればぜひご覧ください
↓
保護状況
現在、ウマ科で絶滅が危惧されている種として、シマウマの一部の種である<グレビーシマウマ>や<ヤマシマウマ>、ロバでは<アフリカノロバ>、<アジアノロバ>、などが存在します。
<モウコノウマ>は1960年代後半に、一度野生絶滅しましたが、繁殖が成功しており、モンゴルや中国などの野生化への再導入が検討、試みがされています。
〇シマウマ
・グレビーシマウマ
EN:絶滅危惧IB類
・ヤマシマウマ
VU:絶滅危惧Ⅱ類
シマウマなどは、主に干ばつなどの環境被害や生息地の破壊などの違法狩猟などが著しく、
グレビーシマウマは、<EN:絶滅危惧IB類> ヤマシマウマは<VU:絶滅危惧Ⅱ類>となっています。
現在は、世界各国の動物園などによる<域外保全>、アフリカ大陸に保護区を指定し、違法狩猟や密猟防止による監視などを行う<域内保全>などが行われています。
〇ロバ
・アフリカノロバ
CR:絶滅危惧IA類
・アジアノロバ<クーラン、オナガー>
EN:絶滅危惧IB類
ロバは主に薬効作成のための皮目的による違法狩猟、密輸、生息地の破壊などが深刻で、中国では、1千万頭~200万頭まで減少し、アジアノロバは<EN:絶滅危惧IB類>と絶滅が危惧されています。
特にアフリカノロバ(ソマリノロバ)は、深刻で、絶滅危惧の区分の中では最も高い、<CR:絶滅危惧IA類>となっています。
ロバは皮目的による狩猟を国の法律で禁止したり、保護区を指定したりと対策を行っています。
〇モウコノウマ
EN:絶滅危惧IB類
モウコノウマは中央アジアからヨーロッパまでにかけて広い範囲で生息していましたが、乱獲などの要因で1960年代以降野生下では見られなくなり、一度絶滅したとされています。
しかし、子孫が他の国でまだ生存していた個体を保護繁殖した結果、現在はモンゴルで再導入が行われており、現在は<EW:野生絶滅>から、<EN:絶滅危惧IB類>まで回復しました。
〇在来馬
在来馬は、主に軍用や農業用として、広く用いられていましたが、国策により、在来馬の種馬(牡馬【ぼば】)は去勢され、多くの外来種と交配し作出されたことで、数を大幅に減らし、現在はわずか8種、数万頭のみとなりました。
更に、自動車やトラクターなどの移動用、農業用機械の普及(モータライゼーション)や外来種との交配、森林伐採や開発、遺伝的多様性の低下などが要因です。
在来馬は、各市町村の関連法人や学会が保護と繁殖、育成、研究などを行ったり、観光地などで在来馬の広報や宣伝、教育普及など多種多様な活動が行われています。
在来馬は、IUCNによるレッドリストには未登録ですが、国が独自に御崎馬を<国の天然記念物>に指定した他、各市町村などで天然記念物として指定されています。
・御崎馬 <国の天然記念物>
・木曽馬 <長野県天然記念物>
・野間馬 <今治市天然記念物>
・トカラ馬 <鹿児島県天然記念物>
・宮古馬 <沖縄県天然記念物>
・与那国馬 <与那国町天然記念物>
以上が<ウマ>内容でした。
馬も群れを作り、社会的順位があるという部分から、人の社会と似たような構造を持っており、飼いならしがスムーズだったと推測できます。
業務用としての馬は身近では見ることはなくなりましたが、現在も動物園、競馬場、観光牧場などで、めざましい活躍をしています。
ふれあいでは乗馬体験や引馬などができますので、是非その迫力と力強さを体感してみてはいかがでしょうか?
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今回も最後までご購読頂きましてありがとうございました。
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