こんにちは、アラフェネです。
今回は<キリン>の記事になります。
アフリカ原産の大型哺乳類、ゾウ、ライオンに次ぎ動物園では超定番の動物で、巨大な体格と独特な網目模様、首が非常に長いなどが特徴的な動物です。
日本には生息しない動物だけあって、その見た目珍しさから、初めて日本にキリンがやってきてから現在に至るまで
未だに人気の炎は消えることをしりません。
ちなみにキリンという名前は、当時の園長が上野動物園でキリンを初めて買い付けた時に幻の霊獣<麒麟>と噓をつき
導入し、そのまま現在の和名となっています。
本日、6月21日は<世界キリンの日>という事で、分類、生息地、生態などを書いていきたいと思います。
分類
最初に分類です。
一般的にキリンと呼ばれる動物は、<哺乳綱クジラ偶蹄目キリン科キリン属>に分類される動物です。
キリンはウシ科と同様、効率よく飼料片を消化するため、一度胃に入った食べ物を再び口に戻し、噛み直す、
<反芻(はんすう)>と呼ばれる消化行動を行うことができることから、<反芻亜目(はんすうあもく)>に分類されることもあります。
現在、キリン科には2属存在し、キリンの大半が属する<キリン属>とオカピのみが属する<オカピ属>のみで構成されています。鮮新世・更新世紀には<シヴァテリウム>や<パレオトラグス>などのキリンに近い生物がいましたが、すでに絶滅しました。
種には、<アミメキリン、マサイキリン>、キタキリン亜種には<ナイジェリアキリン、コルドファンキリン、ヌビアキリン(ウガンダキリン)>
ミナミキリン亜種には<ケープキリン、アンゴラキリン>などが確認されています。
基本的に私たちが動物園でよく見るのは大半が<アミメキリン>と呼ばれる種です。
キリンは長い間、細やかな遺伝子研究が行われていないのもあって、割と遺伝子情報が公開されていない部分があり、
亜種がそれくらい存在しているのか、生息数が存在しているのかはっきりとしたことはあまりわかっていないのか、
発見から2007年には6種、2011年8種、また、1種9亜種が存在すると思われてきていました。
しかし、2016年の最新の遺伝子研究によると、実は上図の様な、4種5亜種ではないかという説が濃厚となっています。
さらに同年、見た目が真っ白で模様がない、キリンの白変種や全く模様が無い個体が見つかっています。
白変種は計3頭ほど確認されたんのですが、2頭ほど密猟され、現在は1頭にGPSをつけて保護されています。
生息地
緑:1700年代の分布
紫:ナイジェリアキリン
青:コルドファンキリン
橙:ヌビアキリン(ウガンダキリン)
水:アミメキリン
赤:マサイキリン
ベージュ:アンゴラキリン
桃:ケープキリン
続いて生息地です。
現在確認できている生息地は、アフリカ大陸のみに生息し、アンゴラ、ウガンダ、カメルーン、ケニア、コンゴ共和国、
ザンビア、ジンバブエ、南アフリカ共和国、ナミビア、ボツワナ、南スーダンなどです。
しかし、マリ、ギニア、セネガルなどの一部の国と地域ではすでに絶滅したと考えられ、ルワンダには再導入個体が存在します。
上図の分布図から見てわかるように1700年代はまるで繋がっていたかのように生息数は多かったのですが、
2016年以降は、各亜種個体の数が大幅に激減し、まばらになっているように見えます。
アフリカの動物には絶滅が危ぶまれている動物が数多く存在しており、
その中でキリンはあまり科学的な部分も含め注目はされておらず、
生息地に関しては関心がなく公にされませんでした。
一部の人はこれを<静かなる絶滅>とよばれています。
しかし、過去30年で数が激減していることが関係機関で公になり、
現在は全世界中で科学的研究の取り組みが行われています。
亜種の中で最も危惧されているのは、キタキリン亜種の南スーダンや中央アフリカに分布するヌビアキリンやコルドファンキリンで、キリンの尾目的で狩猟が行われたり、
生息地などを追われるなどで30年で8~9割以上が減少し、現在は2~3千頭のみになっています。
この2種に限らず、他の個体も年々数の減少が続いており、世界各国の動物園での域外保全や、指定保護区による密猟の監視などの域内保全など、国境をまたいだ協力体制で保護が行われています。
形態
全長:4.7∼5.7m
体重:1.2~1.9トン
寿命:10~20年
続いて、形態です。
キリンは陸上哺乳類の中でも、ゾウに次ぐ陸上最大種の哺乳類といわれており、
反芻(はんすう)偶蹄類の中でも、首や脚が非常に長く、模様が網目状で特徴的な見た目をしています。
このような見た目をしているので一見自然界では不利に感じるように思えますが、
生涯、生きる上で体の構造、習性などその分特化した部分が多いのも特徴です。
〇角
キリンの角は、一見2本に見えるのですが、実はその後ろに5~7本と隠れた角があります。
2本の角の先端に毛がないものはオス、毛がふさふさしているのはメスと判別することができます。
他の偶蹄類とは違い、角は全体が皮膚に覆われているのが特徴で、これらを通称<オシコーン>と呼ばれています。
オシコーンは本数や顔のおでこの部分にが盛り上がっていたりと、個体ごとにそれぞれ異なります。
〇目・耳
長い首の先にある目は、草食哺乳類の中でもだんとつで視力が高く広範囲を見ることができます。
この視力を生かし、いち早く何km先の捕食者(ライオンなど)を察知し、周囲の仲間に危険を知らせます。
キリンという動物ですが、<シマウマ>と共存関係であることが知られ、シマウマはキリンの見えない下側を警戒することで、お互いに見えない死角の部分を補っています。
聴力も非常に高く、わずかな音も逃さず、耳を頻繁に動かすことで仲間へのコミュニケーションを図っていると言われています。
このように動物園ではシマウマと混合展示場にしているのがよく見られますが、これは動物福祉上(アニマルウェルフェア)、本来の自然界の習性、生理を発揮させることに関係していると言われています。
〇口・舌
キリンの下唇は厚く丈夫な皮膚で覆われており、細かいネコ髭のような感覚毛が無数に生えています。
この厚い唇のおかげで、主食である<アカシア>の葉の棘を難なく摘み引き寄せることが可能となっています。
また、青黒い舌は約40~50㎝と偶蹄類の中では非常に長く、唇とうまく連動しながら葉を器用にからめとることができます。
ちなみにキリンの舌が青黒いのは、紫外線から舌を守るためです。
〇首
キリンの代名詞である長い首は、樹の最頂部の葉を食べることや、広範囲の視覚の確保など、有利な部分が多くあり、
謎が多い部分でもあります。
〇動画:キリンのネッキング
キリンの骨は私たち<ヒト>と骨の数が7本と同じですが、一本一本太く長い形で繋がっています。
この首の骨は非常に頑丈で強度があり、時には武器として使うこともあり、
例えば、繁殖期のメスをめぐったオス同士の戦いでお互い首を振り回して叩きつけあう行動がみられますが、これを
<ネッキング(スパーリング)>と言います。
(興奮し、なぜかオス同士で交尾するという報告がある【諸説あり】)
その為、首が長くなった理由に関しては、この<ネッキング>いわゆる繁殖に関係しているのではないかという説、高い葉を食べる個体が生き残った説(自然選択説)、体温調節を行う説などが数多くの説が唱えられていますが、明確な理由は未だ解明されていません。
〇足・かかと
脚も首と同じく長く、首を含めた巨体を支えているので、腱やももがとても筋肉質です。
キリンの歩き方ですが、<側対歩(そくたいほ)>と呼ばれる特殊な歩き方を行い、左前脚と左後ろ脚、右前脚と右後脚
を交互に同時に動かす歩き方を行います。
大型ながら、走るスピードは45~50km/hと早く、ける強さも高いので、ライオンなどの大型肉食獣
も倒せてしまうほどの威力があります。
キリンの水の飲み方ですが、脚を広げて頭を下げるような形で行います。
〇心臓・血管
キリンの心臓は他の哺乳類と同じ、胸のあたりに存在し、そこから長い首を経由して、約60リットルの血液を循環させます。
その為、それなりの血液を押し出す心臓の力が必要な為、哺乳類なかでは血圧が非常に高いです。
〇模様
上図:アミメキリン
下図:マサイキリン
特徴的な模様は、サバンナの景色に溶け込めるような形をしており、樹の木陰などに入り込んで視界を遮るような効果を
もっていると言われています。
模様の形は種や個体、生息地ごとに異なり、アミメキリンなどは名前の通り、網目状の模様をしていて、マサイキリンは葉っぱがギザギザしたような、模様をしています。
ナミブ砂漠などのキリンは砂漠などの景色と同化する為か、模様が全体的に薄く白っぽい色をしています。
生態
続いて生態です
〇食性・水分補給・睡眠
完全草食性で、サバンナなどの草原に生えているアカシア属シクンシ科の植物、いわゆる<アカシアの木>とよばれる、木の高い葉の部分を主に採食します。
また<ミモザ>や果実なども食べることがあるようです。
アカシアの葉には無数の多くの棘が生えているんですが、先ほど前述した細長い舌と
強靭な上唇などを上手く使って食べています。
キリンという動物ですが、食物から水分を取ることが知られており、
主に植物の水分から補給するので、余り水を飲むことはないとされています。
ですが、すべてを植物から賄うことはできないので水場などを求めて移動し、
立ちながら直接顔を近づけて飲みます。
野生下では、常に捕食者(ライオン、ハイエナなど)からの危険が伴うので、立ったまま、わずか3~4分しか睡眠をとりませんが、飼育下では座ったまま首を体に乗せ睡眠をとり、それでも10分ほどしかとらない為、世界一睡眠時間が少ない動物として知られています。
〇反芻
<反芻>とは、胃の中で消化できなかった大きな飼料片などを、胃から口に戻し
再度、噛み直す行動のことで、これにより普通の動物では消化できない<セルロース(植物の主成分)>を効率よくエネルギーとして利用できます。
これは、<ウシ科>の大半や一部の哺乳類(テングザルなど)が行える行動です。
キリンも他の偶蹄目と同じく、<反芻>と呼ばれる特殊な消化行動を行います。
基本的に早朝や夕方ごろ採食し、昼間などの大半の時間を<反芻>に費やしています。
〇好む環境・群れ
サバンナの低木林がまばらになっている場所やナミブ砂漠など緑がわずかに点々とした乾燥地帯を好みます。
キリンは他の草食獣と同じ、群れを作る動物で年長のメスをリーダーとした母系社会です。
10~20頭の群れをつくるとされていますが、血縁関係がない群れが頻繁に出入りを繰り返すため、
あまり強いつながりはありません。
19世紀~20世紀までは、最大20~30頭以上の群れが確認できたんですが、
現在は4~6頭ほどのみしか確認できていません。
〇繁殖
基本的にキリンのオスは背の高さを競い、優劣を決定するのですが、
若いオスなどはメスとの取り合いに首をぶつける行為、いわゆる<ネッキング>と呼ばれる行動を行います。
このネッキングは、200kg級の衝撃と、想像以上に凄まじく、数キロ先へぶつかる音が聞こえるほどです。
繁殖に参加できるのは約8か月のオスが中心と言われており、
優位のオスは行動圏を巡回し、発情した雌と交尾を行います。
雌は1~2頭の赤ちゃんを産むのですが、妊娠期間が15か月と、大型哺乳類だけあって、非常に長いです。
それに対し、生まれる頭数が大体1頭のみとされています。
子キリン同士が一か所に集まり、親が一頭存在し見守る、いわゆる<キリンの保育所>と呼ばれるものがあり、
万が一捕食者が近くに来た時に一斉に逃げられるようになっており、捕食者対策も本能的に組み込まれているといえます。
ですが、それでも野生動物の赤ちゃんは生後間近の生存率が比較的低く、地域により差はありますがキリンは死亡率は約50~70%と非常に高いです。
保護状況
キリンは現在、日本を含めた、世界中の動物園での<域外保全>という形で保護繁殖が行われています。
また、アフリカ大陸各国の愛護団体などが、指定保護区として指定し、経過観察、密猟対策などを行う、
<域内保全>にも注力しています。
絶滅危惧種なので、頻繁に国内外へのブリーディングトレード(繁殖などの理由のため、種を園と館同士で交換すること)も盛んにおこなわれます。
〇各種ごとの状況
IUCN<国際保護連合>が生息状況によって段階的評価基準が設けられており、
低い順からLC<低危惧種>、NT<準絶滅危惧>、VU<絶滅危惧Ⅱ類>、EN<絶滅危惧IB類>、CR<絶滅危惧IA類>、EW<野生絶滅>、EX<絶滅>と総合的に評価されています。
余りにも生態についての情報が不透明な場合についてはDD<データ不足>となっています。
キリン属については以下の評価になっています。
コルドファンキリン
CR:絶滅危惧IA類
ヌビアキリン(ウガンダキリン)
CR:絶滅危惧IA類
アミメキリン
EN:絶滅危惧IB類
マサイキリン
EN:絶滅危惧IB類
ナイジェリアキリン
VU:絶滅危惧Ⅱ類
アンゴラキリン
LC:軽度懸念
原始的なキリンの仲間<オカピ>
オカピは、三大珍獣(他ジャイアントパンダ、コビトカバ)の一種で、別名<森の貴婦人>と呼ばれる動物です。
<哺乳綱クジラ偶蹄目キリン科オカピ属>に分類され、キリン属以外の唯一の種です。
キリンと同じ、アフリカ大陸の中央部に分布するのですが、サバンナの開けた環境を好むキリンとは違い、
深い森の奥にひっそりと単独で生息しています。
このオカピという動物ですが、体全体が暗赤色をした短毛に覆われ、お尻から足にかけて、白と黒の縞模様がある特徴的な見た目をしています。
一見、奇蹄目のシマウマやウマと同じ仲間と思われがちなんですが、頭の2本の角や長い舌、2本に割れた蹄など偶蹄目の
キリンに非常に近い特徴を持っています。
図:パレオトラグス(イメージ)
元々、キリンとオカピは、中新世に生息していたとされる<パレオトラグス>と呼ばれる祖先にあたる種が存在し、
そこから、低木林が点々と存在する開けたサバンナという環境に適応した<キリン>と深い森が生い茂った森林での環境に適応した<オカピ>に分岐したのではないかといわれています。
オカピの見た目の特徴はその時の<パレオトラグス>の特徴と非常に類似しており、1000万年以上、ほとんど姿形が変わらない説が有力であることから、<生きた化石>ともいわれるそうです。
生態ですが、元々争いや天敵を避けるためか警戒心が非常強く、詳細な研究が進んでいないのが現状です。
(まさにレアキャラみたいな)
オカピはキリンと違い、基本的に子育て以外群れを作らず、単独で生息しており夜行性です。
主に縄張りなど主張など個体間でのコミュニケーションは足にある臭腺の匂いを辿って行うそうですが、
この匂いがとてつもなく強く、天敵を引き寄せてしまうとか。
現在オカピは<CR:絶滅危惧IA類>に指定され、絶滅が危ぶまれており、世界中の動物園含む、保護施設などで
繁殖保護を図られています。
今回の記事の内容は以上となります。
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