小鳥(インコ、文鳥等々)の嘴(くちばし)が事故や喧嘩で折れたり(損傷)、脱落してしまった場合の対処方法を記事にしたいと思います。
その前に話は変わりますが、小鳥の嘴(くちばし)の事故、損傷や脱落に関しての幾つかのキーワードを組み合わせて検索をすると、当家のシルバ(文鳥)の記事が検索上位に表示される場合があります。
飼い主さんに了解を取っていないので、詳しくお話しできませんが、その飼い主さんは不安で怖くていろいろ調べて、当家のブログに来ていただいたのだと思います。
シルバ(文鳥)の嘴(くちばし)の脱落記事を読んで、救われたというメッセージを最初にくださいました。
何度かやり取りを行い、最終的に飼い主さんの小鳥は亡くなりました。
亡くなった原因は怪我ではなく鳥専門病院の獣医師の誤った対処によるものです。
無能な獣医師が小鳥の命を奪ったといっても過言ではありません。
言いようのない脱力感と怒りを覚え、シルバ(文鳥)の怪我の記事を読み返してみると、何かの役に立てばと言いつつ、何の役にも立っていないことに気付きました。シルバ(文鳥)の嘴(くちばし)は上下ともほぼ脱落しています。
強制給餌を行い、今では自分で餌を食べることができます。
事故の原因や復活するまでの経緯は書いていますが、事故直後の対応方法が書かれていなかったのです。当時は私も不安で怖くて必死に看護をしていましたので、書くことまで気が回らなかったのが正直なところですが、今なら記事にできます。
今後、無能な獣医師の処置で悲しい思いをする飼い主さんが少しでも減るように大切なインコや文鳥等々の嘴(くちばし)が折れたり、脱落した場合、何をしなければならないか、何を気をつければいいか、そんなことを記事にしたいと思います。
まず最初に、事故やケンカで嘴(くちばし)が損傷した場合の重症度を記述します。
軽傷:
上の嘴(くちばし)が途中から折れている状態です。
嘴(くちばし)は少しずつ伸びますので、折れている面積が少ないと、元通りになる可能性もあります。
中等傷:
上の嘴(くちばし)が根元から完全に脱落している。
もしくは、下のくちばしが部分欠損している状態です。
上の嘴(くちばし)は一生、生えてきません。しかし、下の嘴(くちばし)が残っているので、自分で餌を食べれるようになります。
重症:
上下の嘴(くちばし)の完全脱落、もしくは下の嘴(くちばし)のみの完全脱落。下の嘴(くちばし)が無くなると、自分で餌を取ることはできません。一生、強制給餌をつづける必要があります。
当家のシルバ(文鳥)は重症に近い状態でした。
・喧嘩の場合、嘴(くちばし)の上側から噛みつきますので、下の嘴の損傷は間逃れるケースが多いと思います。また、インコの場合は嘴の形状からも下の嘴が残るケースがさらに多くなると
考えられます。
そして、ここからが本題になります。
事故や喧嘩で嘴(くちばし)の損傷や折れ、脱落が発生した場合、まず最初に確認するのは、餌を食べることが出来るか?ということです。
損傷箇所も大事ですが、軽傷だろうが、中等傷だろうが、自分で餌を食べることが出来ない場合、命にかかわるのです。
皆さん、ご存知だと思いますが、鳥は軽量化して空を飛ぶために食べ物を体に蓄えることが出来ないのです。
その為、四六時中、餌を食べてその都度エネルギーとしています。
ところが、嘴(くちばし)が損傷してしまうと、エネルギーの補給がストップしてしまうので、当然、死活問題になります。
餌を食べることを確認するとは言え、怪我を負った状態で機能的にできたとしても簡単に餌を食べることは出来ません。
愛鳥は怖くて痛くて苦しい筈です。
それでも、飼い主さんの手のひらや、大きめの容器に沢山の餌を入れてチャレンジしてみてください。
(むき餌もしくは極小のペレット<フィンチ用>を即座に購入して行ってください)
損傷が少なくて食べることが出来れば、大きな危機は回避できます。
しかし、機能的にまったく食べることが出来ない場合は、すぐに鳥専門病院(強制給餌ができる動物病院)へ連絡して伝えてください。
愛鳥が嘴の怪我(欠損or脱落)をしてしまいました、餌を食べることが出来ないので入院して強制給餌をしてもらえますか?と。
飼い主さんも怖くてパニックになっていると思いますが、強制給餌が出来る獣医師であることが絶対条件です。
また、電話口でしっかりとした返答が出来ることも必須です。
鳥専門病院であっても、無能な獣医師に任せてはダメなのです。
もちろん、ご自宅で1日3回の強制給餌ができる環境があれば、とりあえず病院へ連れていく必要はありません。
強制給餌を行いつつ、むき餌を容器にセットして、愛鳥がいつでも自発的に食べることが出来る環境を整えてください。
そうすることで、下の嘴が残っていた場合は、必ず自分で餌を食べるようになります。
ただ、欠損の状態や個体差によって食べれるようになる日数はまちまちです。
ちなみに、強制給餌とは医療用のカテーテル(シリンジ)や金属製のゾンデをそのうまで挿入して、ペースト状にしたパウダーフードを注入することです。
間違っても、スポイド等で代用できるものではありません!!
また、大人の小鳥は、雛のようにさし餌を食べません。スプーンやさし餌用の器具を使って無理に与えるのも危険です。口内の損傷や呼吸器への誤飲が
発生する可能性があります。
病院が休診であったり、時間的に大きく空く場合はビタミン剤やネクトン等が入った水を少し与えるのは可能です。しかし嘴の怪我に関しては強制給餌が最善かつもっとも有効な手段なのです。
ブリーダーさんの中には、強制給餌で雛を育てている方もいます。
私のように、強制給餌の体制を整えている人間もいると思います。
1日以上も給餌が出来ない場合は、出来る限りのネットワークを使って強制給餌を行ってください。
怪我をした小鳥は、大きなカロリーを消費し、ダメージが大きいのです。
ここで、怪我のお話をしますと、シルバ(文鳥)場合、嘴の上下の脱落でしたので、嘴のあったところを中心として顔中が血に染まりました。
しかし、出血は染み出るような感じでしたので、失血死をする状況では無かったのです。1時間ほどで出血は止まりました。
そして、病院では傷に関しての治療を一切していません。
そもそも、病院では強制給餌のレクチャーを受けただけで帰宅後、通院すらしていません。
今だから冷静に言えるのですが・・・
出血で言えば人間で言う爪を剥がしたような感じだと思っています。
だから、大怪我のわりに出血が少ないのです。
また、小鳥は体温が高い為、傷口の化膿もないのです。
もちろん、嘴(くちばし)なので、薬剤を使ったり、絆創膏を貼ったり出来ませんので、結局は無治療なのです。
悲惨で悲しくて怖くて・・・
そういう気持ちは当然ですが、嘴の損傷や脱落は怪我よりも、給餌が最優先されるのです。
入院する場合は、自宅で強制給餌を行う場合と同様にむき餌をセットして自発的に食べれる環境(リハビリ)も必要です。
普通の獣医なら当然の対処です。
念のため、入院の際にむき餌を持参して獣医に伝えてください。
むき餌も一緒にセットしていただけますか?と
そして、獣医師の反応をよく確認してください。
万一、必要ないや、その意味が分からないようでしたら病院を変える必要があります。
強制給餌自体は、緊急避難のようなものなので、体重は落ちていきます。なるべく早く自分で餌を食べるようになることが寛容なのです。
話が前後してしまいますが、強制給餌が出来ないけれど、1日3回の時間が取れる(飼い主さんが常に自宅にいる)場合は強制給餌のレクチャーを受けて、自宅で療養することも可能です。
善良な獣医師ならば、しっかりと指導してくださり、医療用のシリンジやカテーテル、病院専用のパウダーフード等、販売していただけるはずです。
当家の場合も、強制給餌のレクチャーを受けて、シリンジ一式を安価で購入しました。
強制給餌ができるようになると、嘴(くちばし)の怪我だけではなく他の病気の際にも、対応できます。
私はちゅら(アキクサインコ)の退院直後も、自宅で強制給餌を行っていましたし、雛も当初は強制給餌を行っていました。
そして、最後になりますが、現在のシルバ(文鳥)の状態をご覧ください。
好奇の目に晒されるのが嫌で、顔がアップになる写真は避けていましたが、シルバ(文鳥)のような状態になっても、元気で暮らしている鳥がいることを
分かっていただくため、あえてUPします。
一番手前に見える赤いものは嘴を支えていた骨です。
その奥にぴょんと飛び出ているのは、角質化した舌です。
外気に触れている部分は、血管、神経が壊死し、伸び続けています。
嘴の代わりに羽繕いで酷使しつつ、物を突きますので放っておくと、先端が物に挟まったりします。
事故を防ぐために、2~3週間ごとに数ミリずつカットしています。
分かりずらいのですが、一番奥は、右下の嘴の土台です。
シルバはこの土台を使って、餌を食べるのです。
スプーン代わりになる筈のない土台です。
土台を餌箱に押し付けて、ザクザク掘るようにして食べます。
事故で上下の嘴(くちばし)が脱落して8か月半になります。
外見は少し変わりましたが、それ以外は至って普通の文鳥です。
今日もアキクサ達の監視を行い、激怒しつつ、人間大好き、常に出せ出せコールの絶好調。
当初は他の文鳥を見ると、申し訳ない気持ちで気分が沈んでいました。
しかし、1日4回の強制給餌を約2か月続け、復活した元気いっぱいの姿を見ていると、今では他の文鳥のフォルムに違和感さえ覚えます。
だって、当家のシルバ(文鳥)は特別で大切な存在なのです。
だから、もし、大切な家族の小鳥の嘴(くちばし)が事故やケンカで折れたり、脱落しても、絶望しないでください。
小鳥は怪我に強いのです。
きっと元気になります。
だから、もし、鳥友さんの愛鳥が怪我をしたら、このブログを思い出してください。
私の知っていることや、経験したことなら何でもお話しします。
長文を最後までお読みいただきありがとうございました。
追記
文鳥のシルバは事故から5年7か月が経ちました。
クチバシはありませんが、元気なオス文鳥です↓