イレギュラー作業
7/3 ヨコハマ 曇り時々小雨
いや~湿度が70%ですからかなり蒸します。
こんな日はセットアップ系作業だな、と言う事でリバースヘッド仕様のストラトのセットアップを初めています。ボディに磨きを掛けて、新しいゴトーガットさんの2点支持トレモロ仕様でまとめまて行きます。その新型トレモロのサドルをお馴染みの t.m.p のブロックサドルに変更します。
現在市販されている2点支持トレモロの中ではこの組み合わせが最も音が太いサウンドです。
写真2 *いっしょに写っているは元のゴトー製のサドル
このトレモロは多くの2点支持トレモロの様にボールエンド位置がブロックの奥の方で止まるタイプではなく、しっかりブロックエンド位置で止まるタイプですので採用しています。写真3
この点は非常に重要です。サドルのすぐ下までボールエンドが来てしまうタイプは音が軽くて腰高のサウンドなので t.m.p では採用してません。
このストラトはまた暇を見てセットアップして行きます。
順ゾリのまま固まってしまったガットギターのネックの作り替え作業は既に塗装を終えていましたので現在塗膜の硬化待ちです。スムースな運指が出来るグリップ形状に変更してありますから、弾くのが楽しみです。
今回の作業で腰の強い張りのあるネックに生まれ変わってますから、素早い音の立ちと色艶の溢れるトーンが多いに期待出来ます。
今回はオリジナルな新しいネック構造法を流用して順ゾリネックの修正を行ったワケですが、その製作方法を明かす事がメインでした。依って、本当は順ゾリ修正して1ミリ程薄くなってしまった指板は新しいものに張り替えるのがベストなんですが、作業主旨が強度の高いノンロッド・ネックの製法でしたから、コスト節約の為に指板は張り替えせずに元の指板を流用しました。
その上、ガットギター用のフレットの在庫が切れている事にフレット打ち直前に気付いたもんですから「う~ん、取り寄せで到着するのを待ってるのも時間が勿体ないな」と言う事で、今回はエレキ用のフレットを打ち込んで済ませました。
まあ、実際にはガット弦を張る訳ですから、このフレットはかなり低めに落として整形仕上げしなくちゃいけませんが、この個体は試験用ですからね、ガット用フレットじゃないけど、まっいいか!と。(^~^)
既にこの個体自体はなんだか嬉しそうに見えます。元がネックが順ぞって弾かれなくなった高価な手工品でしたが、もうこれで見捨てられる事も無いでしょう。
それこそがチューンナップの神髄ですね。単なる修理とは別次元の作業なのです。
@通常ですと、こうした順ゾリネックの場合、修理すると言っても起き上がってしまった指板部分だけ削り落として指板の上面だけを平らにしてリフレットするに過ぎませんから、ネック本体は結局順反ったままなんです。ヘッドも起き上がったまま。これでは音質劣化の解決には全くならないんです。 それを根本的に解決するのが今回の技法なのです。
この個体は また暇を見てフレット仕上げから再開します。


いや~湿度が70%ですからかなり蒸します。
こんな日はセットアップ系作業だな、と言う事でリバースヘッド仕様のストラトのセットアップを初めています。ボディに磨きを掛けて、新しいゴトーガットさんの2点支持トレモロ仕様でまとめまて行きます。その新型トレモロのサドルをお馴染みの t.m.p のブロックサドルに変更します。
現在市販されている2点支持トレモロの中ではこの組み合わせが最も音が太いサウンドです。
写真2 *いっしょに写っているは元のゴトー製のサドル
このトレモロは多くの2点支持トレモロの様にボールエンド位置がブロックの奥の方で止まるタイプではなく、しっかりブロックエンド位置で止まるタイプですので採用しています。写真3
この点は非常に重要です。サドルのすぐ下までボールエンドが来てしまうタイプは音が軽くて腰高のサウンドなので t.m.p では採用してません。
このストラトはまた暇を見てセットアップして行きます。
順ゾリのまま固まってしまったガットギターのネックの作り替え作業は既に塗装を終えていましたので現在塗膜の硬化待ちです。スムースな運指が出来るグリップ形状に変更してありますから、弾くのが楽しみです。
今回の作業で腰の強い張りのあるネックに生まれ変わってますから、素早い音の立ちと色艶の溢れるトーンが多いに期待出来ます。
今回はオリジナルな新しいネック構造法を流用して順ゾリネックの修正を行ったワケですが、その製作方法を明かす事がメインでした。依って、本当は順ゾリ修正して1ミリ程薄くなってしまった指板は新しいものに張り替えるのがベストなんですが、作業主旨が強度の高いノンロッド・ネックの製法でしたから、コスト節約の為に指板は張り替えせずに元の指板を流用しました。
その上、ガットギター用のフレットの在庫が切れている事にフレット打ち直前に気付いたもんですから「う~ん、取り寄せで到着するのを待ってるのも時間が勿体ないな」と言う事で、今回はエレキ用のフレットを打ち込んで済ませました。
まあ、実際にはガット弦を張る訳ですから、このフレットはかなり低めに落として整形仕上げしなくちゃいけませんが、この個体は試験用ですからね、ガット用フレットじゃないけど、まっいいか!と。(^~^)
既にこの個体自体はなんだか嬉しそうに見えます。元がネックが順ぞって弾かれなくなった高価な手工品でしたが、もうこれで見捨てられる事も無いでしょう。
それこそがチューンナップの神髄ですね。単なる修理とは別次元の作業なのです。
@通常ですと、こうした順ゾリネックの場合、修理すると言っても起き上がってしまった指板部分だけ削り落として指板の上面だけを平らにしてリフレットするに過ぎませんから、ネック本体は結局順反ったままなんです。ヘッドも起き上がったまま。これでは音質劣化の解決には全くならないんです。 それを根本的に解決するのが今回の技法なのです。
この個体は また暇を見てフレット仕上げから再開します。


まーだ続きます。
6/30 ヨコハマ 曇りがちな晴れ
今回ご紹介しているガット系のネック作り替えに関する作業ですが、ここまでしないとダメなんですか?と感じられた方や驚かれた方が多い様子ですね。
でも実際にはまだまだ触れていない改良すべき点があるんです。例えばクラッシックギターのネックが仕込まれているブロック構造にもかなり問題があります。
でもそのブロック材の構造を変えるにはボディの裏板材を剥がしてからブロック材を作り替える作業となりますから、更に大掛かりな修正となる結果、何が問題かと言うと作り替えの費用です。
今回は内部の力木やバスバーの設定変更に付いては除外しての話しですから、手を加えるべき部分全てを行ったら作業工賃だけでもかなりの金額になります。
まあ、今回はネックの構造変更に限った話しにしておこう、と割り切ってのお話です。
話しの続きです。
ネック本体に指板を接合しても、今度は指板の修正とリフレット作業が控えています。
接合時は指板裏面の平面精度を出した上での接着ですが、元々このネックはご存知の通りグンニャリ曲がっていましたので当然指板だって曲がっていたワケです。
ここまでの作業ではその裏面だけ精度出し修正を行っておいたわけで、なぜ両面いっしょに修正を行わなかったのか、これにも理由があります。
木は生き物ですから裏表の両面から削りを加えると暴れが出る可能性があるのです。
この個体も製造から30年以上経過はしてますが、黒檀材は安定するまで非常に長い時間を要する材ですから、まだ削ったら暴れる可能性が在る、と見越して扱うのです。
そんなワケで今回はまず接合面である指板裏面だけ修正しておいて、ネック接合後、上面の平面精度出しを行った上でリフレット作業となるわけですね。後は暇を見てフレット打ちを行います。
そしてガット系のギターは皆さんもご存知の通り、ネックのグリップが太いでしょ~
近年のトラスロッド仕様のガット系では細めのグリップ仕様もありますが、ノンロッド仕様はみーんな押し並べて太い。ゴツいグリップのが多いでしょ?
要するに作っている側も「いずれネックは曲がって来る」って昔から分かってますから少しでも耐久性を持たせる為に太いネックで仕上げているんです。早い話し、細く仕上げるのが怖いのです。
でもそれって奏者側のプレイスタイルに応じてその形状に成っているので無く、あくまで製造側の理由ってことです。それじゃーマズイでしょ~
やはりここは、まずネック自体の耐久性を向上させて、あくまで奏者側に立ったグリップ形状加工を施すのを製造側の基本とすべきでしょう。
ストレスを感じさせないスムースグリップでなくちゃね。ですから当然グリップ変更は欠かせない作業となります。
まあ、今回も大ざっぱな触れ方しかしてませんけど、単純に「ちょー面倒くせー作業ばっかしじゃん!」って感じでしょ? (^ ^)
でもこうした点に触れる事で
「そんなに簡単にいい楽器なんて作れるもんでは無いんだ」とか
量産品ばかりみて楽器を理解出来てると勘違いしている方の認識が少しでも変わってくれるなら良いなと思います。
そうすれば将来的に、同業者の後輩達が手工家となって頑張って作った作品が量産品と同じ様に扱われる事無く、正当な価値判断をして頂ける様になってくれれば製作家として嬉しく思います。
ちなみにですが、まだこの段階ではフレットを打ち込んでいない状態にも拘らず、既にこのネックは圧力を架けてもまるで石の様に動きません。本当に地味な目立たない製法技術ではありますが、石の様に強固なネックを作り出せる過去に無かった技術です。
恐らく過去の巨匠達もこの効果を知ったらさぞかし驚き、そして喜んでくれる筈です。
巨匠達が今生きていたら、必ずこの手法を取り入れてくれるのではないかと思います。
メイド イン ジャパンの誇りを込めて。
写真1&2:指板接合後のショット この後指板上面修正へと進みます。
写真3:ネックグリップ変更。次は磨き処理です。

今回ご紹介しているガット系のネック作り替えに関する作業ですが、ここまでしないとダメなんですか?と感じられた方や驚かれた方が多い様子ですね。
でも実際にはまだまだ触れていない改良すべき点があるんです。例えばクラッシックギターのネックが仕込まれているブロック構造にもかなり問題があります。
でもそのブロック材の構造を変えるにはボディの裏板材を剥がしてからブロック材を作り替える作業となりますから、更に大掛かりな修正となる結果、何が問題かと言うと作り替えの費用です。
今回は内部の力木やバスバーの設定変更に付いては除外しての話しですから、手を加えるべき部分全てを行ったら作業工賃だけでもかなりの金額になります。
まあ、今回はネックの構造変更に限った話しにしておこう、と割り切ってのお話です。
話しの続きです。
ネック本体に指板を接合しても、今度は指板の修正とリフレット作業が控えています。
接合時は指板裏面の平面精度を出した上での接着ですが、元々このネックはご存知の通りグンニャリ曲がっていましたので当然指板だって曲がっていたワケです。
ここまでの作業ではその裏面だけ精度出し修正を行っておいたわけで、なぜ両面いっしょに修正を行わなかったのか、これにも理由があります。
木は生き物ですから裏表の両面から削りを加えると暴れが出る可能性があるのです。
この個体も製造から30年以上経過はしてますが、黒檀材は安定するまで非常に長い時間を要する材ですから、まだ削ったら暴れる可能性が在る、と見越して扱うのです。
そんなワケで今回はまず接合面である指板裏面だけ修正しておいて、ネック接合後、上面の平面精度出しを行った上でリフレット作業となるわけですね。後は暇を見てフレット打ちを行います。
そしてガット系のギターは皆さんもご存知の通り、ネックのグリップが太いでしょ~
近年のトラスロッド仕様のガット系では細めのグリップ仕様もありますが、ノンロッド仕様はみーんな押し並べて太い。ゴツいグリップのが多いでしょ?
要するに作っている側も「いずれネックは曲がって来る」って昔から分かってますから少しでも耐久性を持たせる為に太いネックで仕上げているんです。早い話し、細く仕上げるのが怖いのです。
でもそれって奏者側のプレイスタイルに応じてその形状に成っているので無く、あくまで製造側の理由ってことです。それじゃーマズイでしょ~
やはりここは、まずネック自体の耐久性を向上させて、あくまで奏者側に立ったグリップ形状加工を施すのを製造側の基本とすべきでしょう。
ストレスを感じさせないスムースグリップでなくちゃね。ですから当然グリップ変更は欠かせない作業となります。
まあ、今回も大ざっぱな触れ方しかしてませんけど、単純に「ちょー面倒くせー作業ばっかしじゃん!」って感じでしょ? (^ ^)
でもこうした点に触れる事で
「そんなに簡単にいい楽器なんて作れるもんでは無いんだ」とか
量産品ばかりみて楽器を理解出来てると勘違いしている方の認識が少しでも変わってくれるなら良いなと思います。
そうすれば将来的に、同業者の後輩達が手工家となって頑張って作った作品が量産品と同じ様に扱われる事無く、正当な価値判断をして頂ける様になってくれれば製作家として嬉しく思います。
ちなみにですが、まだこの段階ではフレットを打ち込んでいない状態にも拘らず、既にこのネックは圧力を架けてもまるで石の様に動きません。本当に地味な目立たない製法技術ではありますが、石の様に強固なネックを作り出せる過去に無かった技術です。
恐らく過去の巨匠達もこの効果を知ったらさぞかし驚き、そして喜んでくれる筈です。
巨匠達が今生きていたら、必ずこの手法を取り入れてくれるのではないかと思います。
メイド イン ジャパンの誇りを込めて。
写真1&2:指板接合後のショット この後指板上面修正へと進みます。
写真3:ネックグリップ変更。次は磨き処理です。

経過報告 白金台の I さん
6/29 本日2つ目の記載は経過報告
実は午後から待ち合わせ予定でしたが、湿度が何と40%にまで下がったので、おっ!塗装出来る!って事で、ドタキャンさせて頂いて(Sちゃん、スマン!)写真の I さんのCCR-312のカラーリングを行いました。
いや~久しぶりのカスタム品作業です。
ベーシックのイエロー系コーティングから始まって(写真1)最後はヴァイオリン・ブラウンで外周を吹き、パーフリング部分とボディサイドの外周に細いマスキングをしてのカラーリングを施しております。マスキングを剥がしたのが、写真2
ネックと2ショット(写真3)
まあ、クリアーコーティングしてませんからマッドな仕上がりですが、これで大体の仕上がり具合が想像頂けると思います。 I さん、いかがです?

実は午後から待ち合わせ予定でしたが、湿度が何と40%にまで下がったので、おっ!塗装出来る!って事で、ドタキャンさせて頂いて(Sちゃん、スマン!)写真の I さんのCCR-312のカラーリングを行いました。
いや~久しぶりのカスタム品作業です。
ベーシックのイエロー系コーティングから始まって(写真1)最後はヴァイオリン・ブラウンで外周を吹き、パーフリング部分とボディサイドの外周に細いマスキングをしてのカラーリングを施しております。マスキングを剥がしたのが、写真2
ネックと2ショット(写真3)
まあ、クリアーコーティングしてませんからマッドな仕上がりですが、これで大体の仕上がり具合が想像頂けると思います。 I さん、いかがです?

続きの続き
6/29 ヨコハマ 晴れ
湿度がもう少し下がってくれれば塗装も燻煙も出来るんですけどね。蒸し暑い。
写真はガットのネック作り替え作業の続きショット。
今日は指板の接合です。既にお話しした通り、曲がって固定化してしまったネックを特殊な技法を用いて(ワタシはこの技法を100年ネック構造と呼んでいます。100年以上持ちこたえるネックと言う意味で)平らなネックに戻しておいて、次の指板接合でも少しネック自体を逆ゾリさせた上で指板を接着することで弦を張った状態でネックが張力で曲げられる事に対抗出来る抗力をネック自体に与えます。
結果的に40Kg を超える弦の張力に対して何十年、出来れば100年オーバーの経年変化/張力負荷にも耐えうるネックにしてあげたいからです。
勿論、製作時にはいつも通り指板接着面は平面構成で一旦製作し、そののちにあえてそのネックを逆ゾリにした上でネックの1/3の体積に近い補強材をストレートに埋め込み、ネック本体自体に逆ぞりに対抗する素養を植え付けてしまうのがこの手法のミソですね。
1ピースネックのままで逆ゾリにするのではダメなんですか?と言う質問に対してですが、1ピースネックという事は文字通り、ひとつの個体素材から作るられるワケですから張力負荷が加わった場合に同じ特性の動き方をします。
木は負荷が架かると折れたく無いので自ら曲がる事で対処しようとしますから、「じゃあ、ここは折れたく無いから曲がっておくか」と、抵抗せずにその負荷方向に馴染もうとするんです。
1ピースネックではそれが1種類の個体材ですから当然全体が曲がる方向で動いてしまいます。
そこでこの技法では、最初からネック本体に逆ゾリ状態を与えて、そこにストレートに埋め込まれた2ピース目のインサート材にその状態をキープさせる力を構造的に与える事で対張力強度に優れたネックにしてしまおうと言う発想なのです。
その為にはあえて別な個体材を内部に埋め込む事が重要なのです。
*勿論、ネック材では縦方向強度を得る為に柾目木取りの素材を使うべきです。
更に指板自体も若干の逆ゾリ状態で接合する事で指板自体も戻ろうとするネックの動きにストップを掛けますので強度は更に増す事になります。
これは弦が張られる以上、長い間40Kgオーバーの張力負荷が架かり続けるワケですから、その事を前提としたネックの設計構造と言えます。
この技法が採用される事で、演奏家が数十万~数百万も出費して購入した楽器が高々10数年の経過後にネックが起き上がって弦高が上がり、とても演奏する気になれない状態になって手放す、と言った負のサイクルが少しでも減ってくれれば、設計者として幸いに思います。
@質問を頂くのは構わないのですが「そこはこうではダメなのかな?」と疑問に思ったのならまず自分で試してみてはいかがですか?人から聞いて得られた知識は情報に過ぎず、間違っている可能性だってある訳です。そこを自ら実際に確かめる事で得た「情報」が「知識」となり、それが「知恵」を育んでいくのだと思います。
現代の情報社会の悲劇のひとつに「溢れる情報に頼り過ぎ、惑わされ、困惑する現代人」の姿が在ります。所詮 Net で得られるものは単なる情報です。頼るべきものでは決して無いのです。
自ら体験せずに何かを得ようとするから惑わされるんです。
そのせいか、ワタシには現代人はある種 臆病者に見えます。人生を豊かなものにしたいなら失敗を恐れない勇気が必要だと思っています。人間、勇気が無いと前に一歩踏み出せないですからね。
前に進まなくては見えない景色ってあるんですよ。それが見えるから更に人は前に進めるのです。
絶対に過去よりも未来は明るい。だって未来は可能性を秘めているのだから。
みんなーっ! 勇気を出そう! (^~^)
湿度がもう少し下がってくれれば塗装も燻煙も出来るんですけどね。蒸し暑い。
写真はガットのネック作り替え作業の続きショット。
今日は指板の接合です。既にお話しした通り、曲がって固定化してしまったネックを特殊な技法を用いて(ワタシはこの技法を100年ネック構造と呼んでいます。100年以上持ちこたえるネックと言う意味で)平らなネックに戻しておいて、次の指板接合でも少しネック自体を逆ゾリさせた上で指板を接着することで弦を張った状態でネックが張力で曲げられる事に対抗出来る抗力をネック自体に与えます。
結果的に40Kg を超える弦の張力に対して何十年、出来れば100年オーバーの経年変化/張力負荷にも耐えうるネックにしてあげたいからです。
勿論、製作時にはいつも通り指板接着面は平面構成で一旦製作し、そののちにあえてそのネックを逆ゾリにした上でネックの1/3の体積に近い補強材をストレートに埋め込み、ネック本体自体に逆ぞりに対抗する素養を植え付けてしまうのがこの手法のミソですね。
1ピースネックのままで逆ゾリにするのではダメなんですか?と言う質問に対してですが、1ピースネックという事は文字通り、ひとつの個体素材から作るられるワケですから張力負荷が加わった場合に同じ特性の動き方をします。
木は負荷が架かると折れたく無いので自ら曲がる事で対処しようとしますから、「じゃあ、ここは折れたく無いから曲がっておくか」と、抵抗せずにその負荷方向に馴染もうとするんです。
1ピースネックではそれが1種類の個体材ですから当然全体が曲がる方向で動いてしまいます。
そこでこの技法では、最初からネック本体に逆ゾリ状態を与えて、そこにストレートに埋め込まれた2ピース目のインサート材にその状態をキープさせる力を構造的に与える事で対張力強度に優れたネックにしてしまおうと言う発想なのです。
その為にはあえて別な個体材を内部に埋め込む事が重要なのです。
*勿論、ネック材では縦方向強度を得る為に柾目木取りの素材を使うべきです。
更に指板自体も若干の逆ゾリ状態で接合する事で指板自体も戻ろうとするネックの動きにストップを掛けますので強度は更に増す事になります。
これは弦が張られる以上、長い間40Kgオーバーの張力負荷が架かり続けるワケですから、その事を前提としたネックの設計構造と言えます。
この技法が採用される事で、演奏家が数十万~数百万も出費して購入した楽器が高々10数年の経過後にネックが起き上がって弦高が上がり、とても演奏する気になれない状態になって手放す、と言った負のサイクルが少しでも減ってくれれば、設計者として幸いに思います。
@質問を頂くのは構わないのですが「そこはこうではダメなのかな?」と疑問に思ったのならまず自分で試してみてはいかがですか?人から聞いて得られた知識は情報に過ぎず、間違っている可能性だってある訳です。そこを自ら実際に確かめる事で得た「情報」が「知識」となり、それが「知恵」を育んでいくのだと思います。
現代の情報社会の悲劇のひとつに「溢れる情報に頼り過ぎ、惑わされ、困惑する現代人」の姿が在ります。所詮 Net で得られるものは単なる情報です。頼るべきものでは決して無いのです。
自ら体験せずに何かを得ようとするから惑わされるんです。
そのせいか、ワタシには現代人はある種 臆病者に見えます。人生を豊かなものにしたいなら失敗を恐れない勇気が必要だと思っています。人間、勇気が無いと前に一歩踏み出せないですからね。
前に進まなくては見えない景色ってあるんですよ。それが見えるから更に人は前に進めるのです。
絶対に過去よりも未来は明るい。だって未来は可能性を秘めているのだから。
みんなーっ! 勇気を出そう! (^~^)
ガットギター系のネック作り替え #ー2
6/28 本日二つ目は昨日のガットギター系のネックの作り替え作業の続きを紹介。
とは言え、大ざっぱな説明である事はご了承下さいね。
詳しい解説をするとなると、図解入りの本の執筆みたいになっちゃいますからねえ。
写真は指板を剥がしたネック上面に補強材をインサートする為の溝加工をする直前のショットと加工が終って補強材を接着固定しているショットです。
3枚目が埋め込んだ補強材の余分な部分をカンナで削って平面出しを行っているショット。
そして最後が順ゾリのまま木が固まってしまっていた元の状態(ナット位置で3ミリも持ち上がっていた)からしっかり平面状態まで反りが修正された後の側面からのショット。
前回のネックの写真では指板接合面がカーブを描いていた状態でしたが、今では反りが修正されてしっかり平面をキープしています。
そして更に重要なのはネックの反りが修正されただけじゃなくて、順ゾリ状態の時には実はヘッドも起き上がってしまっていたのが、それもしっかり戻っている事です。
設計面から言えば、これはとんでもなく重要な事です。
この状態はネック内部に今回埋め込まれた大きめの補強材が内部で順ゾリしないように踏ん張っていますからネック自体が非常に緊張した状態にあります。更にこの上に指板が接合される事でネックの耐久力は更に増加しますので、その事でレスポンスに優れ腰の強い響きが得られる様になります。
木が弦の張力に負けて曲がってしまっている状態では木がダラ~っとして踏ん張っていませんからそれが音に現れてレスポンスも劣りますし、腰が無いサウンドになってしまいますから、修正後のこの変化は楽器として非常に重要な喜ぶべき変化です。
要するに最初からこうした構造でネック製作を行う事でトラスロッドが無くても張力に耐えるネックの製作が可能だという事です。
未だに 数年経つとネックが曲がって来ちゃって・・と言ったガットギターが世界中にゴロゴロ在ります。もう そろそろ技術的に解決出来なくちゃ~ウソでしょ。

とは言え、大ざっぱな説明である事はご了承下さいね。
詳しい解説をするとなると、図解入りの本の執筆みたいになっちゃいますからねえ。
写真は指板を剥がしたネック上面に補強材をインサートする為の溝加工をする直前のショットと加工が終って補強材を接着固定しているショットです。
3枚目が埋め込んだ補強材の余分な部分をカンナで削って平面出しを行っているショット。
そして最後が順ゾリのまま木が固まってしまっていた元の状態(ナット位置で3ミリも持ち上がっていた)からしっかり平面状態まで反りが修正された後の側面からのショット。
前回のネックの写真では指板接合面がカーブを描いていた状態でしたが、今では反りが修正されてしっかり平面をキープしています。
そして更に重要なのはネックの反りが修正されただけじゃなくて、順ゾリ状態の時には実はヘッドも起き上がってしまっていたのが、それもしっかり戻っている事です。
設計面から言えば、これはとんでもなく重要な事です。
この状態はネック内部に今回埋め込まれた大きめの補強材が内部で順ゾリしないように踏ん張っていますからネック自体が非常に緊張した状態にあります。更にこの上に指板が接合される事でネックの耐久力は更に増加しますので、その事でレスポンスに優れ腰の強い響きが得られる様になります。
木が弦の張力に負けて曲がってしまっている状態では木がダラ~っとして踏ん張っていませんからそれが音に現れてレスポンスも劣りますし、腰が無いサウンドになってしまいますから、修正後のこの変化は楽器として非常に重要な喜ぶべき変化です。
要するに最初からこうした構造でネック製作を行う事でトラスロッドが無くても張力に耐えるネックの製作が可能だという事です。
未だに 数年経つとネックが曲がって来ちゃって・・と言ったガットギターが世界中にゴロゴロ在ります。もう そろそろ技術的に解決出来なくちゃ~ウソでしょ。

ガット系ギターのネック問題に付いて
6/27 暫く通信トラブルでブログ記載出来なかったので今日は大サービスで通信講座。
テーマは皆さんもご存知の通りのガット系のネックトラブルに関してです。
写真の個体はクラッシックギター製作では著名なN氏が30年程前に製作したと思われるガットギターですが、トラスロッド仕様でないのがクラッシックギター系の基本スタイルですから製造から15年も経過しますと木部は本格的に安定期に入りますが、それと同時に長年の張力負荷によって順ゾリしたまま木が落ち着いてしまう為に弦高はサドル高を下げてなお高く、結果的に弾き辛いものになってしまいます。
名を馳せた名工の個体でもそれは同じで演奏家も徐々にネックが反り出して弦高が上がって来ると楽器自体を持ち替えています。なぜなら一度曲がってしまったネックをきっちり修正出来る人間が殆ど居なかったからです。
それも実は単純な理由なんです。300年以上の歴史ある楽器である古典ギター(クラッシク・ガットギター)は基本構造が今でも殆ど変わっていません。
その為に未だに20年も経たないうちにネックの反りトラブルで演奏家に手放されてしまうケースが繰り返されています。
多くの場合、サドルを目一杯下げて対処しているものが実に多いのです。
でもそれで犠牲になっているのが肝心な音質音色なんです。この個体もそうですがネック本体は長年の張力に負けてネック本体が目に見えて湾曲してしまっています。この個体では指板のゼロフレット位置で3ミリ持ち上がっています。でも殆どのガットギターがこんな調子なんですね。
しかも皆さんからするとネックが順ゾリ状態だと言うだけの認識だと思われますが、ワタシの様な設計と製作の専門の人間はゼロフレット位置が反りによって3ミリ起き上がっていた場合はヘッド自体の定位置もズレを生じている点を重要視します。
*製作家が楽器を製作出来るのは当たり前ですが、優れた設計が出来る人とは全く限らないのです。作るのはウマいけど設定がこれじゃーねえ・・って方が沢山居ます。
製作能力と設計能力は別才能だからです。
ちなみにゼロフレット位置が3ミリ起き上がってしまった場合、それは概算でヘッド角が1.2度浅くなっていると計算上判断出来るのです。ですから当然、この個体も完成当時はネックもほぼ真っすぐですからヘッド角設定も設定そのままの結果が音となって現れているのですが、それが反り返ってしまった場合、単に順ゾリで弦高が上がってしまった、と言うだけではなくてヘッドが持ち上がった結果、ヘッド角が落ちてしまった事にもなっているワケなんです。
そうなりゃ当然元のバランスで音が出る筈は無いのです。別設計の楽器に成ってしまっている、と言う事なんです。
ではトラスロッド仕様ではないガットギターのネックが反ってしまった場合の正しい修正の仕方は・・・これはイコールとして言える事ですが、本来こうしたネック修正機能が備わっていない楽器の設計はネックに架かる張力負荷を踏まえて逆ぞりネックで製作するのが正しい設計であり、構造的にも張力負荷に耐えうる構造でなければいけない、と言う事です。
現実には相変わらず昔ながらの手法で平らなネック面に平らな指板を接合しているだけですから当然相変わらずの結果が待ち受けているのです。
ではどーしてこれまでの製作家は対処して来なかったのか?それは対処して来なかったのではなく対処法が適切では無かったと言えるのです。
よくネックの裏側にエボニーなどの補強材がネックグリップに埋め込まれている仕様のガットギターが有りますでしょ? アレも先人が考えた対処法ではあるんですが、ただ思った程効果が得られないんで結局は順ゾリして来るんです。
ガット系のネックはマホ材やスパニッシュシダー材(セドロ)が採用されますが、そうした素材のネック単体にいくら8ミリ前後の補強材を噛ましても40Kを越える弦の張力負荷には耐えれないのは明白ですし、ましてや、そうした補強材の多くはグリップ部分に埋め込まれているに過ぎないので、最も張力負荷が掛かるネック仕込み周辺には殆ど効力が出せていないんです。結果、ネックが仕込み部分から元起きする形でネックが曲がってしまうんです。
そこで構造設計が専門のワタシはいろいろと試験をして来た結果、補強材はネック自体の仕込みであるブロック材(ボディの内部のネックの仕込み角材部分)からゼロフレット位置までに及ぶ長さが必要であり、そのサイズはネックのグリップ自体の1/3の体積近くに達していないと反りに抗う効力は出ない、と言う結論に至りました。
その考査データをこうしたネックが既に曲がってしまっている個体の作り替えに生かす訳です。
大ざっぱに言えば、まず指板を剥がして曲がっているネック本体の反りを矯正し、更に少し逆ぞり状態にして大型の補強材をインサートします。そうしますとネック本体は逆ぞり状態なところに真っすぐな補強材がストレートに埋め込まれますから、ネックは元に戻りたくても戻れない状態になるのです。そうした状態にしてから今度はネック本体をほんの少し逆ぞり状態のままで指板を接合します。(この反らせ加減は試験すれば把握出来ます)
こうして元に戻した楽器は弦を張った状態でほぼ真っすぐな反りに強いネックに生まれ変わらせる事が出来ます。
と、同時にそもそもこの構造で最初から製作されていれば何十年経っても順ゾリで悩まされる事など最初から無いのでトラスロッドが無くてもネックの順ゾリが起きにくい楽器の製作が可能だという事なんです。
これは地味ですが非常に重要なノウハウと言えます。たぶんネックの対張力寿命は100年を越えるでしょうね。
このネック製作法に関してワタシは特許申請してませんから、どなたでもこのテクニックは流用して下さって構いません。まあ、適正値を得るまでにはかなり研究は必要ですよ。
世の中、問題があるなら解決する手法を編み出せばいいだけですからね。それが進歩ってもんでしょう。
300年経ってもギター族が相変わらず音程ピッチが悪いままなのは問題だと思ったからサークル・フレッティングを編み出しましたし、乾燥状態を良くするのには長年の時間を要するのが当たり前だったのを燻煙処理で数十時間にまで時間短縮させ、更に素材の強度自体を高める事にも成功しましたが、全てそもそも問題点に対処する為に生まれた手法です。
昔ながらの手法がベストだなんて、そんな事言ってる人間は後ろしか向いていないってことですからね。 昔からこんなもんだよ、って言ってしまったらそこでオシマイです。最悪ですね。
先人達の功績に感謝するからこそ、先人達を越える仕事をするのが本当の意味での恩返しってもんだと思いますね。
だって巨匠の多くはとっくにこの世に居ないのですから。
今生きてる人間が先人達の仕事を補って行くのは当たり前の事だと思っています。
先人を上回る技術を持っていなくては現代で製作家などやってる意味は薄いでしょう。
真摯にその事と向き合う事が製作家の基本姿勢なのだとワタシは思います。
写真1:今回作り替え中のガット。
指板を剥がし、剥がした際にめくれた部分を接着固定中
その他:剥がした指板裏面を平面の精度出し修正したショット
そしてネック本体に補強材をインサート加工する為の加工治具とインサートされる補強材
*この溝加工部分と補強材の寸法精度が重要です。ネックに加工した溝とインサート材の隙間は
圧着した時に僅かな隙間から内部の空気が押し出され真空に近い状態で接着されている事が作業の目安です。
最後の1枚:指板を剥がしてもネック本体は明らかに順反ったまま(側面からのショット)


テーマは皆さんもご存知の通りのガット系のネックトラブルに関してです。
写真の個体はクラッシックギター製作では著名なN氏が30年程前に製作したと思われるガットギターですが、トラスロッド仕様でないのがクラッシックギター系の基本スタイルですから製造から15年も経過しますと木部は本格的に安定期に入りますが、それと同時に長年の張力負荷によって順ゾリしたまま木が落ち着いてしまう為に弦高はサドル高を下げてなお高く、結果的に弾き辛いものになってしまいます。
名を馳せた名工の個体でもそれは同じで演奏家も徐々にネックが反り出して弦高が上がって来ると楽器自体を持ち替えています。なぜなら一度曲がってしまったネックをきっちり修正出来る人間が殆ど居なかったからです。
それも実は単純な理由なんです。300年以上の歴史ある楽器である古典ギター(クラッシク・ガットギター)は基本構造が今でも殆ど変わっていません。
その為に未だに20年も経たないうちにネックの反りトラブルで演奏家に手放されてしまうケースが繰り返されています。
多くの場合、サドルを目一杯下げて対処しているものが実に多いのです。
でもそれで犠牲になっているのが肝心な音質音色なんです。この個体もそうですがネック本体は長年の張力に負けてネック本体が目に見えて湾曲してしまっています。この個体では指板のゼロフレット位置で3ミリ持ち上がっています。でも殆どのガットギターがこんな調子なんですね。
しかも皆さんからするとネックが順ゾリ状態だと言うだけの認識だと思われますが、ワタシの様な設計と製作の専門の人間はゼロフレット位置が反りによって3ミリ起き上がっていた場合はヘッド自体の定位置もズレを生じている点を重要視します。
*製作家が楽器を製作出来るのは当たり前ですが、優れた設計が出来る人とは全く限らないのです。作るのはウマいけど設定がこれじゃーねえ・・って方が沢山居ます。
製作能力と設計能力は別才能だからです。
ちなみにゼロフレット位置が3ミリ起き上がってしまった場合、それは概算でヘッド角が1.2度浅くなっていると計算上判断出来るのです。ですから当然、この個体も完成当時はネックもほぼ真っすぐですからヘッド角設定も設定そのままの結果が音となって現れているのですが、それが反り返ってしまった場合、単に順ゾリで弦高が上がってしまった、と言うだけではなくてヘッドが持ち上がった結果、ヘッド角が落ちてしまった事にもなっているワケなんです。
そうなりゃ当然元のバランスで音が出る筈は無いのです。別設計の楽器に成ってしまっている、と言う事なんです。
ではトラスロッド仕様ではないガットギターのネックが反ってしまった場合の正しい修正の仕方は・・・これはイコールとして言える事ですが、本来こうしたネック修正機能が備わっていない楽器の設計はネックに架かる張力負荷を踏まえて逆ぞりネックで製作するのが正しい設計であり、構造的にも張力負荷に耐えうる構造でなければいけない、と言う事です。
現実には相変わらず昔ながらの手法で平らなネック面に平らな指板を接合しているだけですから当然相変わらずの結果が待ち受けているのです。
ではどーしてこれまでの製作家は対処して来なかったのか?それは対処して来なかったのではなく対処法が適切では無かったと言えるのです。
よくネックの裏側にエボニーなどの補強材がネックグリップに埋め込まれている仕様のガットギターが有りますでしょ? アレも先人が考えた対処法ではあるんですが、ただ思った程効果が得られないんで結局は順ゾリして来るんです。
ガット系のネックはマホ材やスパニッシュシダー材(セドロ)が採用されますが、そうした素材のネック単体にいくら8ミリ前後の補強材を噛ましても40Kを越える弦の張力負荷には耐えれないのは明白ですし、ましてや、そうした補強材の多くはグリップ部分に埋め込まれているに過ぎないので、最も張力負荷が掛かるネック仕込み周辺には殆ど効力が出せていないんです。結果、ネックが仕込み部分から元起きする形でネックが曲がってしまうんです。
そこで構造設計が専門のワタシはいろいろと試験をして来た結果、補強材はネック自体の仕込みであるブロック材(ボディの内部のネックの仕込み角材部分)からゼロフレット位置までに及ぶ長さが必要であり、そのサイズはネックのグリップ自体の1/3の体積近くに達していないと反りに抗う効力は出ない、と言う結論に至りました。
その考査データをこうしたネックが既に曲がってしまっている個体の作り替えに生かす訳です。
大ざっぱに言えば、まず指板を剥がして曲がっているネック本体の反りを矯正し、更に少し逆ぞり状態にして大型の補強材をインサートします。そうしますとネック本体は逆ぞり状態なところに真っすぐな補強材がストレートに埋め込まれますから、ネックは元に戻りたくても戻れない状態になるのです。そうした状態にしてから今度はネック本体をほんの少し逆ぞり状態のままで指板を接合します。(この反らせ加減は試験すれば把握出来ます)
こうして元に戻した楽器は弦を張った状態でほぼ真っすぐな反りに強いネックに生まれ変わらせる事が出来ます。
と、同時にそもそもこの構造で最初から製作されていれば何十年経っても順ゾリで悩まされる事など最初から無いのでトラスロッドが無くてもネックの順ゾリが起きにくい楽器の製作が可能だという事なんです。
これは地味ですが非常に重要なノウハウと言えます。たぶんネックの対張力寿命は100年を越えるでしょうね。
このネック製作法に関してワタシは特許申請してませんから、どなたでもこのテクニックは流用して下さって構いません。まあ、適正値を得るまでにはかなり研究は必要ですよ。
世の中、問題があるなら解決する手法を編み出せばいいだけですからね。それが進歩ってもんでしょう。
300年経ってもギター族が相変わらず音程ピッチが悪いままなのは問題だと思ったからサークル・フレッティングを編み出しましたし、乾燥状態を良くするのには長年の時間を要するのが当たり前だったのを燻煙処理で数十時間にまで時間短縮させ、更に素材の強度自体を高める事にも成功しましたが、全てそもそも問題点に対処する為に生まれた手法です。
昔ながらの手法がベストだなんて、そんな事言ってる人間は後ろしか向いていないってことですからね。 昔からこんなもんだよ、って言ってしまったらそこでオシマイです。最悪ですね。
先人達の功績に感謝するからこそ、先人達を越える仕事をするのが本当の意味での恩返しってもんだと思いますね。
だって巨匠の多くはとっくにこの世に居ないのですから。
今生きてる人間が先人達の仕事を補って行くのは当たり前の事だと思っています。
先人を上回る技術を持っていなくては現代で製作家などやってる意味は薄いでしょう。
真摯にその事と向き合う事が製作家の基本姿勢なのだとワタシは思います。
写真1:今回作り替え中のガット。
指板を剥がし、剥がした際にめくれた部分を接着固定中
その他:剥がした指板裏面を平面の精度出し修正したショット
そしてネック本体に補強材をインサート加工する為の加工治具とインサートされる補強材
*この溝加工部分と補強材の寸法精度が重要です。ネックに加工した溝とインサート材の隙間は
圧着した時に僅かな隙間から内部の空気が押し出され真空に近い状態で接着されている事が作業の目安です。
最後の1枚:指板を剥がしてもネック本体は明らかに順反ったまま(側面からのショット)





















