新しく住む古い家。

新しい場所はいつも、心が躍っていた。

けれど、今回は違った。

 

虫は?蛇は?ねずみは?と、不安だった。

昭和生まれで良かったとも思った。

田舎生まれ田舎育ちの私は、ある程度自然の生き物へ対処が出来る。

大っ嫌いだけれど。

 

夜になり我が子とお風呂に入ることに。

湯はりは自動ではないので、タイマーをセットしてためる。

シャワーは水圧が弱いので、低水圧用のヘッドに取り換えた。

もちろんホースも。

無我が子の洗髪を先に、湯舟へ入れている間に私の洗髪を。

ここで信じられないことが。

お湯が出ない。

私の頭は泡だらけ。けど今は3月。水で流すには寒すぎる。

パニックになるかと思ったが、色々と諦めて毎日を過ごしていた私は

以外と冷静だった。

泡だらけの私の頭をタオルで巻き、我が子を湯舟から出し服を着させる。

その後、私も服を着て車で実家へ。

 

実家でお風呂を借りた。

足を延ばせる湯舟、水圧の強いシャワー、明るい浴室内、スイッチで回る天井の換気扇。

どれも羨ましかった。

 

翌日、設備屋さんへ連絡をすると、ボイラーの故障とわかった。

また出費。

そして、その日から直るまでの1週間とちょっと、温泉へ行く毎日となった。

(田舎は銭湯なんてないから、温泉になるのかな)

また出費。

 

 

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2024年4月

現在もそのお風呂に入っている。

銀色の浴槽、ヒビ割れたタイル壁、砂埃の入る大きい窓。

低水圧のシャワー。

足は延ばせない。