こんにちは。TLC for Kids代表の船津徹です。
子どもの習い事ランキングで上位に入るのが「英語」です。
「英語は年齢が小さいほど効果的」が常識となった今、英語教育の低年齢化が進んでいます。
英語独特の発音を身につける能力は年齢が小さい子どもほど高く、スムーズに英語を習得できる印象があります。
しかし、最近の研究によって英語学習の適齢期間は、私たちが考えているよりもはるかに長いことがわかってきました。
●バイリンガルは10歳まで、英語学習は18歳まで
ボストン大学、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学の研究者チームはインターネットで参加できる英語クイズ「Which English?」を開発し、クイズに参加した約67万人の英語力を分析しました。
その結果、「バイリンガルは10歳まで、英語習得は18歳まで」
という２つのカギとなる年齢が浮き彫りになったのです。
分析データは、ネイティブレベルの英語力（いわゆるバイリンガル）を身につけるには「10歳まで」に英語環境に浸る必要があり、それ以降にスタートした場合、ネイティブレベルに到達するのは難しいことを示しました。
興味深いことに、ネイティブレベルの英語力を身につけた人が英語環境に入った年齢が「0歳〜10歳の間で」英語力に差が見られなかったことです。
2歳で英語圏に来ても、10歳で英語圏に移住しても、最終的に到達できる英語力にほとんど差がなかったのです。
つまり「英語は年齢が小さいほど効果的」なのではなく、「10歳まで」に英語環境に浸れば、バイリンガルレベルの英語力を身につけられる可能性が高いということです。
これは私の経験からも正しいと言えます。
「2歳の子」と「10歳の子」がアメリカに移住してきた場合、小学生のうちは英語力に大きな差がありますが、高校を卒業する頃には、両者はほぼ同じくらいの英語力になります。
もう一つの「18歳まで」は、英語学習の適齢期を指します。
分析データは18歳以降になると英語習得能力が急激に低下する（英語が上達しない）傾向を示したのです。
もちろん大人になってからでも「やる気」次第で英語習得は不可能ではありませんが、学習能力が高い「18歳まで」にやっつけしまうことが理想と言えそうです。
●日本でバイリンガルを育てる方法は？
では日本でも「10歳まで」に英語をスタートすればバイリンガルになれるのかといえば、そんな簡単な話ではありません。
前述の研究は「英語圏で生活経験がある人」を対象としています。日本のように日常的に英語を使う機会がほとんどない環境で、週に数時間英語を習っても、満足な英語力は身につかないことは周知の通りです。
子どもをバイリンガルに育てたければ「10歳まで」に「英語環境に浸る経験」が必要ということです。
最近、日本でも英語で子どもを保育する英語プリスクールや英語キンダーガーテンが増えてきました。
言語吸収力が高い乳幼児期に生きた英語に長時間触れさせることで「英会話力」を育てることができます。
家庭で日本を使う子どもであっても、英語オンリーのプリスクールに通えば、数年で初歩の英会話力を身につけます。
ただし、ここに落とし穴があるのです！
英語プリスクールを卒業して日本の小学校に通い始めると、子どもの英会話力は急速に落ちてしまうのです‥。
親の海外転勤で幼児期を英語園で過ごした子どもが、帰国して日本の小学校に通い始めた途端、「英語をすっかり忘れてしまった！」というのも同じ現象です。
英語を話す必要がない「日本では英会話力は衰える！」ということを知ってください。
では、幼児期に身につけた英会話力を、学齢期を通して伸ばしていく方法はないのでしょうか？
●学習英語力に目を向ければ日本でバイリンガルなれる！
英会話力を日本国内で維持していくには「英語を読む力」の育成に目を向けなければなりません。
英語力には「生活英語力」と「学習英語力」があります。
「生活英語力」は日常生活で必要な英会話力。
「学習英語力」は読み書きの力です。
日本で子どもの英語力を伸ばすには、幼児期に身につけた「会話力」を「学習英語力」へとつなげていくプロセスが必要です。
わかりやすく言えば、「正しい発音で英語の本が読める」ように訓練するのです。
英語の本が（正しい発音で）読めるようになれば、子どもは読書を通して自学自習で英語力を伸ばしていくことができます。
英語を読む時、黙読であれ、音読であれ、文字を音声化しますので、英語を話しているのと同じ学習効果が得られるのです！
●どうやって「学習英語力」を育てるのか？
「学習英語力」の育成は「フォニックス」でスタートします。
フォニックスは日本語の「五十音」に相当するもので、「A＝ア」「B＝ブ」「C=ク」という要領で、アルファベット26文
字と「音」の関係を教える指導法です。
日本では「A=エイ」「B=ビー」「C=シー」とアルファベットの「名前」を教えますが、これを覚えても簡単な三文字単語の「CAB」すら読むことができません。
「CAB＝シーエイービー」になってしまいます。しかしフォニックスでアルファベットの「音」を学ぶと「CAB＝クアブ」と正しい発音で読めるようになります。
フォニックスでアルファベットの音を覚えた次のステップが「サイトワーズ」です。
サイトワーズは英語の頻出単語です。英語の本やウェブサイトでよく出てくる単語を、よく出る順に覚えていきます。
サイトワーズを300語覚えるだけであらゆる英語の70％が読めるようになり、1000語覚えると、あらゆる英語の90％が読めると言われています。
私の塾でもサイトワーズを指導しますが、学習効果は絶大です！
フォニックスとサイトワーズを覚えると、簡単な英語の本が読めるようになります。
そこから先はリーダーズと呼ばれるやさしい本の多読で読みの流ちょうさと読解力を鍛えていきます。
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