夢の中でのお前は、翼を手にいれ太陽に向かって羽ばたいていた。
いくら俺が呼ぼうとも振り向きもせず。ただ只管手の届かない世界へと翼をはためかせて。
それでも俺は
「おい!ケロキチ!俺はここだ。ゲコク・ジョーだ。忘れたのか?」
届くはずの無い声。どんどん光に吸い込まれてやがて消えていった。
「昔ギリシャのイカロスは・・・」

懐かしい写真だ。お前と出逢って間もない頃。俺がベトナムから帰ってきた頃。
身も心も(竜童)傷だらけの俺をその素っ頓狂な顔で和ましてくれた。
「なんて悪そうなんだ。目つきも、態度も・・・」
そう言ってお前は、この家の人間達が留守の間に手に入れた「ハッピーターン」の
粉を全部なめてから俺によこしてくれた。
「おねいちゃん」というお前の大好きなヤツの寝言は
今一番HOTなラップだと、振りつきで教えてくれた。
「おかあさん」呼ばれる猫の化身「ぴー」の耳元で「ハイディホー」って呪文唱えると
逆さに吊るされ、足持たれてグルングルンされて違う世界へいけるってことも。
すまなかった。
いつもお前は「You've got a friend」という曲を5/4拍子で歌ってくれた。
いつもお前は俺のそばにいて、うざったがる俺を大切にしてくれていたというのに。
俺は何一つお前に返せてない。
待っててくれ!必ず必ずお前を探し出し、お前の探している者も探し出し
お前の言う「サンクチュアリ」とやらを奪回してみせる。
さっき別れた青いドロドロのヤツから、微かな手がかりは得られたからな。
「ブレインバスターズ」ってヤツ等だったな。
昔読んでくれた「コインロッカーベイビーズ」。上下あってかなり長かったけど。
「アネモネ」の声で悩んでたお前を想い出して、今も、飲んでるジョン・ダニエル吹き出しそうさ。
あの映画も良かったな。タンゴのシーンは忘れられない。
覚えているかケロキチ。俺はキク。お前がハシ。
もう少しの辛抱だ。
ゲコク・ジョーの行く手に待っているのは・・・
外伝続きで本編に戻るきっかけを失いそうだが
多分もうちょっと引っ張るかな?
to be continued


