[解散] HaKU - 他に類を見ない"人力"エレクトロダンスロックバンド | (旧)喜怒音楽 -きど"おと"らく-

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今年も、解散や休止するバンドが後を絶たない。

海外よりも少ないだろうけど、

ここ日本もそれは例外ではなくなってるのが現状で。

今回はそんな日本のバンド

6月9日に解散発表をし、

先日、ラストライブを行ったばかり。

これで正真正銘、シーンから撤退してしまったバンドを取り上げる。







HaKU
他に類を見ない"人力"エレクトロダンスロック


 

vo.辻村さんの裏声のような歌声から

当初はよく凛として時雨と比較されてましたね。

しかし、時雨から激しさ抜いたような音であった為

"キレイな時雨"と言われて……いたかは知らん←

そーいや一時期、阿呆みたいに信者が沸いてた時雨だけど

時雨よりTKソロでの活動多いし

最近の若い子に時雨って浸透してんだろうか?


まぁ、そんなことより今回はHaKU

HaKUの解散を知ったのは

公式の通達から1日経った6月10日だった。

確かに衝撃だったものの、どこか納得はしていた。

というのも、メジャーデビューしたは良いものの

メジャーデビュー後の"勢い"が、さほど感じられなかった

という部分もあったからかもしれない。




 


WHITE LIGHT』 (2009)
 -

記念すべきHaKUの初音源集。
いつかのライブで""を聴いた時にこの音源を知り
iTunesで購入に至った作品です。
初期から頭角を現していたHaKUであったが、
MVにもなっている、その"光"がまさに名曲。
購入してしばらくはそればっかり聴いてた。





BREATH IN THE BEAT (2009)
 - ないものねだり

同年2枚目のリリースとなる
HaKUの1st mini album

孤高の人力ハードエレクトロニカギターポップを奏でるHaKUが新時代のビートをゆっくりと吐き出しはじめる

という公式の売り出し文句の通り、HaKUの最大の武器は
人力エレクトロ
これに尽きる。
これ1枚が、個人的にも結構な名盤だと感じていて
リードトラックであろう"ないものねだり"はもちろんのこと
リズム感やノリが心地良い"wait"
ラストサビ前の勢いがたまらく好きな"僕は神様"と
少ない曲数ながら、実力を感じさせる曲が詰まってる。





astronautS (2010)
 - Karman Line
 - 解放源

1st miniから約1年と1ヶ月後にリリースされた
HaKUの2nd mini album
このアルバムからHaKUを知ったという初期ファンは
少なくないのではないだろうか?
"Karman Line"のIntrodactionから入る本編、
タワレコで限定シングル化された"解放源"という
個人的にHaKU3強となる曲の内、2曲が収録されているのが大きい。
続くエモーショナルなダンスナンバー"cell"
春菜さんとのツインボーカルが映える"空中分解"
解放源のカップリングでもあった"tag"
ミドルテンポに聴かせる"0から1から"
捨て曲なしの名盤ミニアルバム。





digitized Grisaille (2011)
 - Gravity

そして3強の内、最後の1曲が収録された3rd mini album
このアルバムはむしろ、その曲の為だけに存在している
と言っても過言ではないほど。
ってのも、個人的にその曲が好きすぎるからなんだが←
以前、"そのタイトルの曲を特集した記事"に載せた通り
"Gravity"
ライブでもラストやアンコールラストを任されることが多かった
間違いなくHaKUのキラーチューンだ。
他の収録曲も良いんだが、この曲が強すぎて霞むレベル。
聴けばわかるが、めっちゃエレクトロ感あるのに
これが人力での演奏だなんて信じられねぇ。





Simulated reality (2012)
 - 1秒間で君を連れ去りたい
 - アステリズム

遂にメジャーデビューが決まった。
EMIからのバンド史上初となる1st full albumをリリース。
先行でシングルカットされたHaKUならではの
ダンスロックナンバー"1秒間で君を連れ去りたい"に
カップリングである"novel"の2曲も収録。
MV化された"アステリズム"もライブ常連となった。
初のフルアルバムということもあってか、
さすが1曲1曲のクオリティが高く、
このアルバムでの個人的なキラーチューンNo.1は
"unknown justice"
掻き鳴らす攻撃的なギターサウンドに
HaKUの曲の中でも、モッシュ必須な超!上げ曲。
ノンストップ&アレンジライブ "Reincarnation"でも
この曲のアレンジが秀逸だったのを覚えている。
他にも確かなテクニックを披露するインスト曲"carpe diem"
ハイテンポに叩きまくるドラムが最高"navigation"
ノリノリなテンポと春菜さんパートに萌える"twilight museum"
とにもかくにも、メジャーデビューするにはこれ以上ないくらい
素晴らしい1枚となっている。





wonderland (2013)
 - ショウガイレンサ
 - everything but the love

メジャーデビュー後初のミニアルバム。
MV化されている"everything but the love"
ライブでもシンガロング&ダンスチューンで盛り上がり必須だが
そのMVがとても面白い作りをしている。
パッと見でも何故かわかってしまう歌詞の演出に
さながらジェットコースターに乗っているかのような視点で疾走する。
見てるだけでも楽しめるMVとなっている。





シンバイオシス』 (2014)
 - dye it white
 - think about you
 - masquerade
 - What's with him
 - the day

『wonderland』からここまで、限定モノでシングルをリリースしつつ
待望の2nd full albumが完成。
2枚目となるフルアルバムだが、前作を大きく凌駕する出来だと感じた。
この年の個人的な年間アルバムランキングにも堂々ランクインした。
頭4曲は、それまでに限定配信等でリリースされてきた
MVありきのキラートラックが並ぶ。
"think about you"はこのアルバムで初のお披露目だが
音ゲーとコラボしたMVとなっている。
そして、これまでベース&コーラスと活躍していた春奈さん初の
メインボーカル曲"listen listen"は必聴の癒し曲。
アルバムのラストを飾る"the day"も
ライブ映えするシンガロングパートがあるのはもちろん、
これまたMVで面白い事をしてる。
メンバーや歌詞を、まさかのAA(アスキーアート)で表現しているのだ。
everything~に続き、こういった独特の演出が面白いなと
個人的にはMVを見るのも楽しめた。





『Reincarnation Lev.1 ~out break~ The LIVE』 (2014)
※KK BOX限定配信

HaKUのバンド史上初となる70分ノンストップ&アレンジライブ
"Reincarnation Lev.1"のライブ盤をKK BOXで限定配信。
このライブにも足を運んだ身ではあるが、
"ライブは"すごく楽しかった。
ホントに70分ぶっ通しで、曲ごとのアレンジも秀逸だった。
しかし、このライブ盤が少し残念ではあった。
まずKK BOXという、配信データが他との互換性が全くなく
そもそも日本でそんなに普及していなかった点。
故にHaKUから広めよう、HaKUをアジア圏に売り出そう
という試みもあったかもしれないが…
そして何より、"ライブ盤としての作り"が残念すぎた。
本来、ライブ音源(ライブ盤)なんてものは

①―――②―――③―――④―――⑤―――……

というように、現地の音はそのまま途切れず、
曲ごとにトラック分けされてることが多いのに

①―――、②―――、③―――、……

と、"ノンストップ"ライブのライブ音源なのに
完全に曲ごとにぶつ切りにされていたのだ。
全然ライブ感がない作りだったのがホントに残念だった。
ついでに言うと、セトリも変えると言って開催された
第2回"Reincarnation"だが、第1回と比べ新規で入ってきた曲はほんの数曲で
第1回でやった曲のアレンジもほぼそのまま。
第1回に行っていれば、第2回のセットリストやアレンジに
さほど魅力を感じなかったというのが正直なところであった。





I HEAR YOU (2015)
 - happiness ~シアワセノオト~

メジャーデビュー後2枚目となるミニアルバム。
リードトラックとなる"happiness ~シアワセノオト~"が
まさかの春奈さんがメインボーカル
あくまでHaKUのメインボーカルは辻村さんであって
春奈さんがメインを務めるのは
アルバムに1~2曲あるからこそ引き立つのに…
リードトラックでメインボーカル変わっちゃうのはいかがなものかと。
"Life is beautiful"はかなりの良曲。
こっちのがメインだった方が良い気も。

この音源、売り出し方もちょっと気に入らない点があって。
初回盤にはKK BOXで限定配信された"歓びの歌"が
ボーナストラックとして収録されている。
対して、通常版は"歓びの歌"は収録されていないが
これまたKK BOX限定配信だった"さがしもの"がiTunes限定で収録。
両方の曲が欲しい場合は、初回盤と通常盤2枚買えと。
通常盤をCDで買ってた人は、"さがしもの"ついてないから
iTunesで買えと。
そういうどっかのクソアイドルみたいな売り方やめようぜ…





HaKU (2016)
 - 衝動
 - red or blue

そして解散が発表された今年、バンドのセルフタイトルを冠した
ベストアルバムを以てして、シーンを去る。
収録曲は、さすがベストと言うラインナップで
"red or blue"と"ファンタスティックミラーボール"という
2曲が新曲として収録された。
ファンタスティック~の方は近年のポップス重視なHaKU曲。
red of blueは過去のHaKUを思わせる
ロックテイストが強い曲に仕上がっている。
この追加された2曲、どちらが好きかと問われれば
間違いなく"red or blue"と答える。





解散発表時

HaKU 解散』で、エゴサをかけても

あの曲好きだったのにー

と、言ってる人の『あの曲』が軒並み

最近の曲しかない

その時点で、やはり昔からのファンは

メジャー行き以後のHaKUに違和感を感じ、

離れていったか、疎遠になったか…

と、勘繰ってしまう。

自分と同じように感じた人なら、"Reincarnation"以後か。

少なくともメジャー行きが決まったEMI時代はまだ良かった。

コレジャナイ感が大きくなったのはユニバーサル移籍後からだろう。

とにもかくにも個人的には、ノンストップライブのライブ盤を

KK BOXという日本ではほとんど知られていないばかりか

音源データとしては他との互換性皆無なものでのみリリース(配信)

何故、そんなツール"限定"で出したのか?ということ。

デジタルのみで配信なら

フツーにiTunesとかで売り出した方が

もう少し良い結果が出たように思う。

それだけでなく、いくつかのシングル等の音源も

配信限定だったことと、それのいずれかもKK BOX限定なのもあった。

配信ツールも、限定配信も、音源編集も、失敗したとしか思えない。

このライブ盤のガッカリ感が個人的にかなり応えてしまい、

ここから徐々にHaKUから離れていってしまった。

メジャー後のミニアルバムからのリード曲"シアワセノオト"も

まさかの春菜さんがメインボーカルだった。

HaKUのメインボーカルはあくまで辻村さん

メインボーカルはバンドの顔だよ。

それを"リード曲"で変えてしまうのはいかがなものかと。

春菜さんが悪いワケじゃない。

初のメイン張った"listen listen"とかすげー好きだよ?

でも、それはフルアルバムの中の1曲だから良いのであって

収録曲数が少ない中でのリードトラックで

メインボーカル変えたら、バンドが変わっちまうよ。


挙げ句、人力でエレクトロな

飛び道具感を出すのがHaKUの強みだったのに

本格的にシンセとか取り入れ出したら本末転倒じゃん。

"Reincarnation"でのアレンジに手応えを感じたからなのかもしれないけど

あれは、あーいった限定ライブだったからこそ良かったんだと思う。

今までは、そういう他の機器に頼らず

シンプルなバンドの楽器のみでそういったことをやれてたのが強みで、

唯一感あったものだったのに、それを自ら手放すってさ…

加えて、曲の内容や歌詞に関してもそう。

に見えて、実はの部分があったからこそ良かった

その逆も然り。

キレイで繊細な音、バンドながら

多少なりとも陰の部分がある、みたいなギャップに

良さを見出してたファンだっていたかもしれない。

それこそシアワセノオトみたいに、

明るい方面に振り切っているのも、

"らしくない"と捉えたファンもいるかもしれない。




あくまで本当に個人的な見解ではあるけど

メジャー以降の売り出し方がヘタクソに思えてならない。

MVもフルで公開しなくなったし、

何でもかんでもタイアップすりゃ良いってもんでもないし

変化を加えりゃ良いってもんじゃない。

こういったこと全てがバンドの意向であったのか

レコード会社からの意見も入れてのことかはわからないけど

メジャーにいかず、インディーズのままだったら

果たして今はどうなっていたのか?

もう少し続けていられたんじゃないか?

解散という結果になってしまった今となっては

そんなことが気になって仕方ないよ。


しかし、それほどに良いものを持っており

昨今の他のバンドとは違う点もあった。

"ツーステ厨"なんて蔑称が出回るほど

現代ではツーステしたがる連中が多く、

またそれをターゲットにするようなバンドも多い中

"ダンスロックバンド"という、同じカテゴリにいつつも

他のバンドとは違うものを持っていたが故に

今のシーンから撤退せざるをえなくなった…

と、いう風に見えてしまうのは自分だけだろうか?

皮肉だなぁ…

客だけじゃなしに、

バンドも"みんな一緒"じゃなきゃダメか…

別に今に始まったことじゃないけど

ホント、日本(人)の"ガラパゴス"体質は

どうしたらなくなるのか…



と、近年の疑問もあって

それを最後にまとめて言い放ってしまったが

どうでもいいような興味のないバンドなら

何も語る言葉はないよ。

好きなバンドであったが故に期待をしていたし

上手く立ち行かなかったのは残念であるし

やはり何より解散って事実が残念でならない。

ライブに行った回数も決して多くはないけど

HaKUの良さやスゴさは体験してきたつもりではいる。

こういったバンドに出会えたことには、素直に感謝したい。





参考記事・参考資料
HaKUアルバム「Simulated reality」インタビュー
(音楽ナタリー)

HaKU『「人と共に」がモチベーションとしてあった』
(KK BOX)

新作『シンバイオシス』インタビュー HaKU辻村有記が明かす音楽人生のターニングポイント「人間ってこういう風に変わっていけるんだ」
(Real Sound)

(過去ライブレポ)
2010 LIVE REPO 14th. chaqq "ヨーイドン!vol.8"
2012 LIVE REPO 39th. HaKU "Simulated reality" Release Tour 2012
2014 LIVE REPO 10th. Spring Riot Tour 2014
2014 LIVE REPO 21th. HaKU "シンバイオシス" release TOUR 2014
2014 LIVE REPO 29th. HaKU ReIncarnation Lev.1 ~outbreak~
2014 LIVE REPO 38th. HaKU ReIncarnation Lev.2 ~advance~
2016 LIVE REPO 20th. HaKU Last Tour - 最後まで踊れ-

(HaKUを出した過去記事)
2014 Best CDs - TOP 5
至極の"Gravity"Song