(前回まで)
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レースがスタートした。
ポジショニングは真ん中よりも後方。
気負いもなく、淡々と前の選手に続いていく。
徐々に列も長くなり、スペースも空いてきた。
走れば抜かせる。
そうはせず、ポールを使って前へと進む。
数キロ進んだところで少し下る。
マーキングが無く、周りの選手も戸惑った。
GPSのナビを確認。
ロストすることなく先へと進んだ。
ふと時計を見ると、時刻が午前4時30分をまわっている。
スタートしてから、1時間30分経っていることになる。
「えっ?マジ?」
最初の関門時間は1時間50分。
余裕だろうと思っていたのでびっくりした。
そこからペースを上げて登る。
1時間40分が経過。
「7kmちょいで終わりなんてシャレになんないぞ」
必死に登る。
やっとエイドのライトが見えてきた。
第一エイド「打尖包」(7.7km地点)
午前4時45分、関門時間5分前にエイドを通過した。
「ヤバかった・・・」
エイドにどんな食べ物があったのか見る余裕もない。
「そんなにゆっくり進んだわけでもないのに・・・」
高山病の自覚症状があるわけでもなく、
足や身体が重く感じているわけでもない。
なんでこんなに時間がかかったのか自分でも分からなかった。
ただはっきりしたことは、
「時間的余裕はまったくない。マジでやらないと」
次のエイドまでは、5.5kmで2時間50分。
「どう考えても余裕に思えるんだけど・・・」
得意の登り。
抜かせるところは抜いた。
富士山の標高を超える。それでもガツガツと登った。
そして標高4,000mを超えてきた。
未知のゾーンだ。
けれども、そんな感傷に浸っていられない。
「とにかく登る!」
指先が冷たくなってきたので手袋を二重にする。
コース上に雪もちらほら現れてきた。
立ち止まることなく淡々と登った。
「おっ、あそこが峠か?」
午前7時、2つ目のエイド「八角棚海」(13.2km地点)に到着。
それと同時に目の前に「四姑娘山」の姿がとびこんできた。
「おおっ~、おおっ~」
一気にテンションが上がる。
ちょうど夜明け前の美しいシルエット。
思わず見とれる。
しばらく、ここが標高4,400mの場所だということを忘れる。
風はほとんどない。
寒いことは寒いけれども耐えられないほどじゃない。
体感的には零度ぐらいだろうか。(実際はもう少し低かったかと)
エイドはドーム型テントの中。
中には入らず、そのまま先へ進むことにした。
気になる関門時間は午前7時40分。
40分の貯金をつくることができた。
なのでしばらく景色を楽しみながらゆっくりと歩く。
手袋を二重にしているので写真を撮るのも難儀。
「スマホで写真を撮ってくれ」と言ってくる他の選手には申し訳なく断った。
徐々に空が明るくなる。
そして「四姑娘山」のモルゲンロート。
「おおっ~」
「UTMSに参加して良かった」
ホント、そう思う瞬間だった。
(つづく)
週末はのんびり♪
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