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<3日目(8/18)>
この日もテントを打つ雨の音で目が覚めた。
というよりも起こされた。
昨日よりも強い雨だ。
しかも、「ピカッ!」、「ゴロゴロ!」という雷雨。
夜中の雷は一瞬空が明るくなるので、びっくりする。
「たのむから落ちないでくれ~」
まわりにはテントよりも高い樹林があるから大丈夫だと思う。
けれど不安になる。
風もハンパじゃない。
しっかりとテントを張っているつもりだが、飛ばされそうな勢い。
どこからともなく轟音も聞こえてくる(沢が増水?)。
「いったいなんなんだ・・・」
ホント、台風が近づいているんじゃないかと思った。
それと同時に、
「こんな天気じゃ、先には進めない。 どうしよう・・・」
と思った。
時刻は午前2時頃。
ライトをつけて、地図とにらめっこ。
考えた結論は、
夜明けの時点で、
①このまま悪天候(台風等)ならば、近くの五色ケ原山荘に移動して停滞する。
②行動ができる程度に天候が落ち着いていたら、室堂に引き返す(5時間程度)。
③雨が止む程度までおさまっていたら、予定通りに先に進む。
というもの。
そのあとも夜明けの午前4時すぎまで、ほとんど眠ることができなかった。
空がうっすらと明るくなるころには、雷はおさまっていた。
だけど雨は降っていた。
②にするか③にするか微妙なところだ。
気分的にはかなりテンションが下がっている。
とりあえず朝食を食べてテントを撤収する。
そして歩いて10分ほどの「五色ケ原山荘」に向かった。
山荘で天気予報などの情報をいろいろと聞く。
どうやら台風は来ていないらしい。
「みなさん台風じゃないかって言うんですよね」
と山荘のおやじさんが話してくれた。
それと今年の夏は天気がすぐれず、雨の日が多いとのこと。
率直に、「引き返した方がいいか、先に進んだ方がいいか」を聞いてみた。
「それはあなたが決めることだから」
みたいな返事で明言を避けられた。
もっともである。
全ては自己判断による自己責任の行動だ。
山荘の入り口付近に他の登山者がいたので、その人の予定を聞いてみた。
「この先のスゴ乗越小屋まで行くつもりですよ」
とのこと。
この一言で決めた。
「天気が悪くても縦走を続けよう」
午前5時40分頃、「薬師岳」に向けて出発した。
あまり視界がよくないので、ゆっくりと歩く。
「ホントなら気持ちのよい稜線なんだろうなあ」
と思いながら進む。
けれども、これも経験。
他の登山者に会うこともない。
ひとりで山歩きを楽しむことにした。
しばらくして、アクシデントにあった。
「越中沢岳」をすぎて「スゴノ頭」に向かう途中だったと思う。
基本的に岩にマーキングされた「印」を目印に進んでいたのだが、
「ロストした!」
ふと先を見ると「踏み跡」が見当たらない。
「もう少し先に行けばあるかも」
場所は急な下り。
おそるおそる下りてみるも踏み跡は見つからない。
ふと振り返ると上の方はガスがかかっており、今下りてきたところが見えなくなっている。
「やばいかも」
そう思った。
ひと呼吸して落ち着いてみる。
「ここはセオリーどおりに上に登って戻ろう」
そう思って登り返す。
下りてくる時は気付かなかったが、かなりきつい斜度だった。
しかも砂利が固まったような状態なので、滑ってなかなか登れない。
人が登った形跡もないからなおさらキツイ。
それでもなんとか尾根近くまで登り、最後に確認したマーキングのところまで戻ってきた。
結局、200m近く誤って下ったようだ。
腰をおろして地図とにらめっこ。
コースは尾根づたいになっている。
けれども、マーキングされた矢印の方向には踏み跡もなく、どうみても「沢筋」に向かっている。
(矢印は右方向なのだが・・・)
天気が悪いので周りの山々は見えるはずもなく、てがかりにならない。
「もう少しコースをもどろう」
そう思って、「越中沢岳」に戻るつもりで歩きはじめた。
20mほど戻ったところだろうか?
別のマーキングを見つけた。
そのマーキング付近を見回すと、尾根の反対側にぬけるトレイルがあった。
どうやらそこで、「尾根の東側」から「尾根の西側」に行くのが正解らしい。
「よかった・・・」
(この矢印のマーキングに近づいてはいけない!)
なんだかんだいって40分ほどロスしたと思う。
むしろ、「40分のロスで済んでよかった」と言った方がいいかもしれない。
そこから気を取り直して、先に進んだ。
「スゴノ頭」山頂を巻いて、「スゴ乗越小屋」に着いたときにはホッとした。
ここで休憩をとることにした。
東の方に山が少し見えた。
「赤牛岳」だろうか?
「とりあえず正しいルートに戻ってよかった・・・」
(つづく)
「もう少し先に行けば・・・」の心理を初めて知った。
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