「なんで、こんな夜にレースをやるんだ」
ハンドライト1本で、恐る恐る暗いトレイルを下りた。
転倒した鞘口峠付近から、第二関門の月夜見駐車場までがすごく長く感じる。
ペースは大きくダウン。
気持ちがどんどんネガティブになっていく。
「こう暗いと楽しむこともできない」
下りきった後もアップダウンがしばらく続く。
それを過ぎるだびにテンションも下がっていく。
そして第二関門の月夜見駐車場(42km地点)に到着。
8時間23分
去年とほぼ同じタイムだ。
だけど精神的な余裕はなく、まだまだ余裕だと思っていた足の疲れも一気に「ドッ」と
やってきた。
この時点で「自己ベスト更新」も完全にあきらめていた。
「リタイヤ」という言葉すら頭をよぎっていた。
とりあえず、ポカリを1.5リットル給水する。
2リットルのハイドレーションに入りきらなかった。
ペットボトルに残ったポカリの量からすると、スタートからここまで消費した水は1.7リットルぐらいだ。
ブルーシートに座りこんで、おにぎりを食べた。
気分転換になればと、予備水のつもりで持ってきていた、とっておきのコーラ(小さいペットボトル)
を飲んだ。
そして、そのままブルーシートに寝転んだ。
「どうしようか・・・」
「このままレースを続けても意味があるんだろうか・・・」
完全に心が折れていた。
「でもリタイヤして後で後悔したくない」
最後はこの気持ちが勝り、10分ほどの休憩で第二関門を出発した。
次に向かうは奥多摩三山のひとつ御前山(1405m)だ。
しばらく、こまかいアップダウンのトレイルを進む。
「うっ、気持ちが悪い・・・」
さっき食べた、おにぎりが喉元まで戻ってきた。
「気のせい」
と自分に言い聞かせるも身体は正直だ。
平坦なところも走れないぐらいに気分が悪くなってきた。
ついにこらえきれずに、
リバース・・・
過去参加したマラソン大会、トレイルレースを通じて初めてのことだ。
自分は胃腸が強いものと思いこんでいたのだが・・・。
「何がいけなかったのか?」
理由は分からないが、とりあえず立ち止まって休む。
ハイドレに給水したポカリも気持ち悪くて飲めない。
「なんで給水所で水を選ばなかったんだろう」 と激しく後悔。
第二関門に引き返してリタイヤすることも考えたが、とりあえず歩いて先を進むことに。
「御前山」への本格的な登りにはいってきた。
こういう状況だと下りよりも上りの方が気が楽だ。
ゆっくりなのでハンドライトだけの光でも問題ない。
無心になって一歩一歩進む。
道標があるところに辿り着いた。
てっきり御前山山頂だと思ったが違っていた。 そこからさらに登る。
「もうすぐ山頂です」
スタッフの声が聞こえてきた。
そして2つ目のボスキャラである「御前山(1405m)」をクリア。 (46.6km地点)
ベンチに寝転んだ。
「あっ、星がきれいだ」
しばらく「ボォー」と眺めていた。
他の人はジェル等の補給をとっている。 自分は何も口にしたくなく、ただ寝転んでいた。
寒くなってきたので先に進むことに。
ここから「大ダワ」までは下り基調。
そこまでのトレイルでは歩いたのか走ったのか、まるで憶えていない。
そして大ダワ(49.8km地点)に着いた時に目に入ってきたのは
「リタイヤ受付」
という張り紙。
無意識にふらふら~と吸い寄せられた。
すでにリタイヤを決めてチップを外しながらスタッフと話している選手の声が聞こえた。
「どのくらいでスタート地点に戻れますか?」
「たぶん1~2時間はここで待つことになると思うよ」
そうらしい・・・。
それを聞いて我に返り、トイレ前の舗道で再び寝転んだ。
「リタイヤしたつもりで好きなだけ休んで行こう。 どうせ時間はあるんだし。」
再び夜空を眺める。
半分眠ったような状態だったと思う。
「風邪ひきますよ」
と声をかけられて起き上がる。
ここでどのくらい休んだかは分からない。
でも気持ちは「とりあえず完走しよう」と切り替わっていた。
胃はやられたものの気分は良くなってきた。
さっきの大休憩が功を奏したらしい。
「大岳山(1266m)」までは途中一度も立ち止まることなく歩き続けることができた。
山頂近くの岩場は両手を使って登るところも多く、ヘッドライトがない僕にとっては
結構、つらかった。
そして最後のボスキャラである「大岳山(1266m)」もクリア。 (53.7km地点)
あいにく大岳山の山頂では休んでいる人も多く、ゆっくりできる場所も見つけられなかったので
そのまま先に進むことにした。
(つづく)
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