飯綱山の登山口まで林道を走る。
前にも後ろにもランナーは見えない。
「あと10kmもないんだ」
そう思うとまだ走れるから不思議だ。
登山口では、スタッフに声をかけてもらい元気が出る。
気持ちは、「北丹沢の姫次へ向う心境」
あのとき完走できた自信がここで活きてくる。
休むことなくひたすら足を動かす。
天気が悪くなってきたのか、ガスがかかって先の見通しが悪くなってきた。
やはり真っ暗は不安になる。 振り返ると下の方には動くライトが見える。
「大丈夫、間違っていない」
山をしばらく登っていると、ポイント通過をチェックするスタッフたちに出会った。
「ピークまであとどのくらいですか?」
「聞かない方がいいんじゃないかな?」
「?」
「急勾配で2.5kmぐらいだよ」
まだまだ先は長そうだ。 なのでここで一息つく。 パワージェルをひとつ食べた。
そこからは岩場も多く、両手を使うことも多くなってきた。
きっと昼間であってもきついコースだ。
途中、2人ほどランナーに道を譲ってもらい先へと登った。 かなり苦しそうだった。
こっちも、まだまだ足は残っているかと思っていたが、かなりきつくなってきた。
「苦しいのはみんな同じ」
レース前の石川さんの言葉をふと思い出した。
「それにしてもコースの最後に、こいつをもってくるとは!」
そして1時間以上かかって登りきった!
ここで再び一息つく。 風が強くなってきたのでウインドブレーカーを着た。
「もうあとは下るだけだよ」
そうスタッフの人に励まされたが、そう簡単ではなかった・・・。
ガレている岩場を下りるのはきつい。
前を進む人も、たびたび足を滑らして、しりもちをついている。
もう足が限界に近づいている証拠だ。
道を譲ってはもらったが、僕も大して変わらない状況だ。
しばらくすると下から誰かが近づいてくる。 石川さんだ。
「集中力を切らさないで」
と言って飯縄山を登っていった。 天気があやしくなってきたので登ってきたのだろう。
この長~く感じた岩だらけのくだりもやっと終わった。
あと残すは最後の数キロ。
歩くのがもったいない。 最後は走っていこうと決心する。
けれども身体の方は正直で、途中で足がもつれてしまい大転倒。
幸いたいしたこともなさそうだったので再び先に進む。
だんだんとゴールに近づいてきた。 なにやら音が聞こえてくる。
「あと500m」の距離表示。
ゴール地点が見えてきた。 あとはこの坂を下りていくだけだ。
不思議とこの時、感動もこみ上げてくるものもなかった。
坂を下りて左に曲がると、ゴールゲートがすぐ近くにあった。
両手を突き上げて、ゴール!
GOAL 2:31'43 16:36'21
ゴールではゼッケン番号を読み上げられマイクで名前を聞かれた。
そして放心状態・・・。
あとからじわじわと達成感と喜びがわいてきた。
「やったぞ」
何度も心の中でつぶやいた。
ゴール後は、トン汁をもらい少し休んだ。
宿泊地へのバスの時間がせまっていたこともあり、あわてて荷物を受け取りバスに乗った。
宿で落ち着くと、ひとりで祝杯をあげた。
毎度のことながらトレランのあとのビールは格別だ。
この大会に参加できて本当によかった。
ホスピタリティがあふれる大会。 大会関係者にホント、感謝です。
応援していただいた方、そしてなによりこの大会へ参加させてくれた家族に感謝です。
来年のことはまだ分からないけれど、この信越には絶対またくると思う。
(長文にお付き合いいただきありがとうございました)