離婚訴訟で,控訴する場合の印紙代について,ネット上で検索しても,なかなか出てこないんですよね。


きっと,本人訴訟をされている方は困ってみえたと思います。



なんで,ネット上で出てこないかというと,おそらく控訴の場合の印紙計算は,やや複雑だからなんだと思います。




私は愛知県弁護士会ですが,東京弁護士会の出している会報誌『LIBRA(リブラ)』の,2009年7月号に,

「東京家裁書記官に訊く -家事部編-」

という特集がありました。





そこに,印紙代についても詳しく書かれているのですが,控訴審の印紙代については次のように書かれています。



『 印紙の計算は複雑な場合があるので,事前に担当書記官に確認していただくことも考えられます。 』


つまり,そういうことです。笑




ですから,実務家的に一番いいのは,前回までにお話しした基本的なところにしたがって,印紙代を一応算出して,

印紙は,控訴状に貼らずに窓口に持って行って,

これでいいですかね?と書記官に聞いてから,貼る。

というのが一番です。




前回の記事で,親権者の指定について,印紙代不要だが,例外があると書きました。



例えば,前回の以下の例題2の判決に控訴する場合,


1 離婚を認める。

2 子供3人の親権者は原告

3 被告は,原告に対し,子供3人の養育費として毎月5万円を支払え

4 被告は,原告に対し,慰謝料300万円を支払え

5 被告は,原告に対し,財産分与として1000万円を支払え

6 年金分割の割合を,0.5(50%)と定める。



1項の離婚はまぁ仕方ないから受け入れるけど,親権者は自分(被告)だ,という控訴をする場合には,親権者の指定についてなのですが,印紙代が必要になったりします。

(一旦,原告が親権者に決まったものの,それを動かすために審理が必要だからですかね。)

 



ややこしいですね。


うむ。



やはり,ある程度の当たりをつけて,書記官さんに聞くのが一番のようです。笑




マニアックなテーマにもかかわらず,最後までお読みいただきありがとうございました。











前回の続きです。



離婚訴訟で,控訴する場合の印紙代について,以下のような例題をつかって,お話しさせてもらっています。



例題2)

被告側で,以下のような判決が出て,敗訴した。全部控訴する場合の印紙代は?


1 離婚を認める。

2 子供3人の親権者は原告

3 被告は,原告に対し,子供3人の養育費として毎月5万円を支払え

4 被告は,原告に対し,慰謝料300万円を支払え

5 被告は,原告に対し,財産分与として1000万円を支払え

6 年金分割の割合を,0.5(50%)と定める。


 


離婚本体&慰謝料(判決1項,4項)については,双方の訴額(160万と300万円)を比較し,大きい方の訴額300万円となり,その印紙代20,000円の1.5倍になるということでした。



では,その他はどうでしょうか。



② 親権者(判決2項)


これは,重要な例外がありますが,基本的には,第1審と同じく,印紙代不要 です。



③ 養育費(判決3項)


これも,第1審と基本的には考え方は同じです。


審判事項です。法律的には「附帯処分」などとも言います。


印紙代は,子供1人につき第1審では1200円ですので,その1.5倍の,1800円になります。


ですから,例題は子供3人なので,1800×3= 5400円 となります。



④ 財産分与(判決5項)


これも,第1審と同じ考え方でOKです。


審判事項なので,審判分の印紙を,離婚本体とは別に納める必要があります。


そしてその金額は,やはり1200円の1.5倍 = 1800円 です!



⑤ 年金分割(判決6項)



これも,③,④と同じで,審判事項です。


よって,審判分の印紙代1200円の1.5倍,1800円 が必要です。



ただ,現在の実務上,特殊な事情がない限り,年金分割の割合は,0.5(50%)以外にはなりません。


印紙代の節約を考えて,年金分割の割合部分については,控訴の対象からはずすというのも有りだと思います。




● ま と め


以上をまとめると,



例題2)

1 離婚を認める。

2 子供3人の親権者は原告

3 被告は,原告に対し,子供3人の養育費として毎月5万円を支払え

4 被告は,原告に対し,慰謝料300万円を支払え

5 被告は,原告に対し,財産分与として1000万円を支払え

6 年金分割の割合を,0.5(50%)と定める。


という判決に対し,全部控訴すると,印紙代は,



(離婚+慰謝料)=30,000円

親権者の指定 =無料

養育費3人   =5,800円

財産分与    =1,800円

年金分割    =1,800円 

合 計    39,400円


となります。




またまた,続きます。









前回の続きです。



離婚訴訟で,控訴をする場合の印紙代です。



前回までの例題の続きで,例えば以下のような判決が出たとします。



例題2)

被告側で,以下のような判決が出て,敗訴した。控訴する場合の印紙代は?


1 離婚を認める。


2 子供3人の親権者は原告


3 被告は,原告に対し,子供3人の養育費として毎月5万円を支払え


4 被告は,原告に対し,慰謝料300万円を支払え


5 被告は,原告に対し,財産分与として1000万円を支払え


6 年金分割の割合を,0.5(50%)と定める。




ややこしいですが,1つずつ解説します。




① はじめに


控訴審の印紙代は,第1審の印紙代の1.5倍です。


たとえば,訴額160万円の印紙代は,第1審なら13,000円でしたが,

控訴審の場合は,その1.5倍なので,19,500円です。



そして,控訴審の印紙代は,控訴する範囲(不服のある範囲,1審判決を取り消して欲しい範囲)によって,決まります。



今回の例題2では,全部控訴するとしましょうか。

つまり,離婚したくないし,だから当然養育費も財産分与も慰謝料も発生しないし,年金も分割しないんだ! という場合です。



② 離婚本体&慰謝料の部分(判決の1項,2項)



離婚本体の訴額はいくらだったでしょうか?


非財産上の請求として,160万円でした。



一方,慰謝料についてですが,今回,300万円という判決があります。


このとき,300万円全額について不服があって控訴する場合には,控訴するのは300万円全体についてです。


ですから,その場合の訴額は,300万円 となります。


これが例えば,300万円の慰謝料のうち,仮に100万円は仕方ないから控訴しないけど,その余の200万円は不服だから,200万円分についてだけ控訴する,というような場合には,訴額は200万円になります。



今回は,300万円全体について控訴するので,訴額は300万円です。



そして,この場合にも,第1審と同じく,離婚本体と慰謝料の訴額を比較し,大きい金額の方の訴額に従います。


160万円と300万円なので,大きい300万円が訴額となります。



300万円の印紙代は,1審ならば,20,000円と決まっています。


控訴審は,この1.5倍です。


ですから,離婚本体及び慰謝料部分に対する印紙代は,30,000円 となります。




その他の部分はどうでしょうか。



続きます。