インスペクション、日本語で言うと既存住宅状況調査は、国土交通省の定める講習を修了した既存住宅状況調査技術者である建築士が、
建物の基礎、外壁など建物の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分に生じているひび割れ、雨漏りなどの劣化・不具合の状況を把握するための調査です。
このように文章で読むと、インスペクションはとても意味のあることだと思いますね。
しかし現実はそのようなことがありません。
私は東京都内で開かれた1番最初の講習会を終了して資格を取得しました。
そこで学んだことを正直に話するならば、先ほど申した通り、インスペクションに意味はないと言う結論になっています。
その理由をお話しします。
インスペクションでは床下や屋根裏は覗くだけで判断します。
例えば、シロアリがいないと言う報告書が出ていたとしても、それは床下収納から覗いて見えた範囲だけにいなかったということです。
下から見える範囲なんてたかが知れてますよね。
屋根裏に入る必要もありません。
もし売主が住んでいて、家具などがあった場合は、報告書に家具があって調査できませんでしたと書けば良いのです。
脚立やはしごに登って調査する必要もありません。とにかく無理することなく目で見える範囲だけを調べれば良いのです。
仮に天井にシミがあったとします。
その場合はシミがあるとだけ記載すれば良いのです。
そのシミがどのような理由で発生したのかとか、そのシミがあることによって、構造的に何か問題の起きているのかなどについては、記載する必要がありません。
またこの建物が違法建築であるとか、法律的に適合しているかなどは調べる必要がありません。
身体検査病院の検査で言うならば、血液検査すらしないただ聴診器を当てる程度の調査になります。
なぜこのような調査になってしまうのか
これは私の推論ですが、中古住宅の売買件数はおそらく数万件になると思います。それが全てを調べるとなると、とてつもない数の人員が必要になります。
いちいちこと細かく調べるための人間を確保できません。
誰でも簡単に、画一的に調査するとなると、このような方法しかないのだと思います。
インスペクションの報告書を見ると、写真がいっぱい貼ってあって、とてもよく調べてあるかのように見えます。
しかしこれは指定された箇所を写真に撮ると言うだけの決まりきった作業なんです。
作業ですから、それ以外のことをする必要は無いとも言えます。
私が立ち会ったインスペクションの調査では、調査員は30分ほどで作業を終えて帰っていったことがあります。
耐震診断で4時間も5時間もかけて家中を調べている。私にとって30分で何がわかるのかと言うのが本音です。
なので、インスペクションはあまり意味がないと結論付けています。