還暦建築士の日記:リフォーム百科事典 -8ページ目

還暦建築士の日記:リフォーム百科事典

YouTube『リフォーム百科事典』を主宰する田口が、住まいと人生の最適解を求めるために、自分で意思決定して自分の人生を歩むため家つくりについてのヒントをお届けします
 

お風呂のリフォーム工事、今はユニットバス(システムバス)にすることが多いですね。

 

となると、どのメーカーの、どの商品がいいのか迷うところです。

 

今回は断熱についてメーカーごとの考え方の違い、ものづくり哲学の違いについて話します。

 

一言で言ってしまうと、浴槽を断熱するかと浴室を断熱するか

この違いになります。

 

メーカーのカタログ見るとよくわかるんですね。

TOTOやLIXLは浴槽の断熱性をカタログで大きく取り扱っています。

そして、浴室の断熱についてはオプションにしてあります。

浴槽の下にお皿のようなパンを設置するかどうかも、TOTOやリクシルはオプションです。

 

一方、タカラスタンダードやクリナップは浴室全体が暖かいと言うことをカタログでアピールしています。

当然浴槽の下もパンを設けて、床下の冷気がバスタブに伝わらないようにしています。

浴室を暖かくすると言う哲学の会社は、洗い場を含めて、浴室全体を暖かくする商品を作るべきだと言う考え方。

 

一方で、浴室の断熱性をオプションにしているメーカーは、御影上の希望小売価格を安く設定できると言うとこを狙っている。

そのように感じてしまいます。

 

安いように見えても、オプションを入れていくと、結局高いものになってしまいますね。

 

 

 

結論から先に言います

屋根裏や床下に補強金物をつけたところで、耐震補強には何の役にも立ちません。

 

確かに見た目はごっつい金具がつきますから、なんか安心だなって思うかもしれません。

しかし必要のないところにごっつい金具をつけても意味がないんですよね。

 

金具が1番必要なのは、筋交いの埋め付け部分です。

しかしここは床下や屋根裏からでは施工ができません。

 

直感型の建物が浮き上がらないようにと言って、床下にたくさん金具をつける業者もいますが、これも意味がありません。

それがね。1カ所数1000円位ならまだ許せます。

それがとてつもない金額1カ所数万円の金具を10カ所取り付けて200,000円、そんな悪徳な業者がたくさんいます。

 

これがまたねー、営業上手なんですよ。

農協とか生協の名前で売り込んでくるそんな業者もいます。

 

もう結論、地震に対して家を強くするためには壁を強くするのが1番です。

というかそれしかありません。

安易に金具をつけて地震に強くしましょうと言う業者は、詐欺です。そう思っていただいて結構です。

 

 

 

うちの会社は築60年位の古い平屋が本社です。

外壁はトタン板1枚、内装はプリント合板、壁の中には断熱材がありません。

季節の移り変わりをもろにわかってしまう事務所です。

 

エアコン二台つけても冬は寒い寒いと言われていました。

そこで考えたんです。

昭和の家にはどんな暖房器具があったのかなあって。

 

こたつ、火鉢、石油ストーブ、

そっか、石油ストーブを試してみようと思って買ってみたのがこれです。

 

これがまぁ大正解

エアコン二台が必要なくなっただけではなく、日が差してくると暑い位。

 

確かに灯油を入れる手間はあります。

小さなお子さんがいるご家庭では危険かもしれません。

しかし、圧倒的な暖かさと空気が乾燥しない喉への優しさ

これは、買ってよかったとつくづく思っています。

 

 

インスペクション、日本語で言うと既存住宅状況調査は、国土交通省の定める講習を修了した既存住宅状況調査技術者である建築士が、

建物の基礎、外壁など建物の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分に生じているひび割れ、雨漏りなどの劣化・不具合の状況を把握するための調査です。

 

このように文章で読むと、インスペクションはとても意味のあることだと思いますね。

しかし現実はそのようなことがありません。

 

私は東京都内で開かれた1番最初の講習会を終了して資格を取得しました。

そこで学んだことを正直に話するならば、先ほど申した通り、インスペクションに意味はないと言う結論になっています。

 

その理由をお話しします。

インスペクションでは床下や屋根裏は覗くだけで判断します。

例えば、シロアリがいないと言う報告書が出ていたとしても、それは床下収納から覗いて見えた範囲だけにいなかったということです。

下から見える範囲なんてたかが知れてますよね。

屋根裏に入る必要もありません。

 

もし売主が住んでいて、家具などがあった場合は、報告書に家具があって調査できませんでしたと書けば良いのです。

脚立やはしごに登って調査する必要もありません。とにかく無理することなく目で見える範囲だけを調べれば良いのです。

 

仮に天井にシミがあったとします。

その場合はシミがあるとだけ記載すれば良いのです。

そのシミがどのような理由で発生したのかとか、そのシミがあることによって、構造的に何か問題の起きているのかなどについては、記載する必要がありません。

 

またこの建物が違法建築であるとか、法律的に適合しているかなどは調べる必要がありません。

 

身体検査病院の検査で言うならば、血液検査すらしないただ聴診器を当てる程度の調査になります。

 

なぜこのような調査になってしまうのか

これは私の推論ですが、中古住宅の売買件数はおそらく数万件になると思います。それが全てを調べるとなると、とてつもない数の人員が必要になります。

いちいちこと細かく調べるための人間を確保できません。

誰でも簡単に、画一的に調査するとなると、このような方法しかないのだと思います。

 

インスペクションの報告書を見ると、写真がいっぱい貼ってあって、とてもよく調べてあるかのように見えます。

しかしこれは指定された箇所を写真に撮ると言うだけの決まりきった作業なんです。

作業ですから、それ以外のことをする必要は無いとも言えます。

 

私が立ち会ったインスペクションの調査では、調査員は30分ほどで作業を終えて帰っていったことがあります。

耐震診断で4時間も5時間もかけて家中を調べている。私にとって30分で何がわかるのかと言うのが本音です。

 

なので、インスペクションはあまり意味がないと結論付けています。

 

 

 

お客様と会話をしているとこのようにおっしゃる方がいます。

 

他の業者さんは、こんなこと言ってた

ネットではこのように書いてあった

YouTubeだと、インスタだと、TikTokだと

 

次から次に自分が勉強したことを話し始めるんですね。

業者の言ってることを否定するわけではないでしょうが、気持ちの良いもんではないですよね。

 

ときには、そんなことも知らないの勉強不足ですねって

そのようなことを言う人までいます。

 

だったらそっちの人に頼みなよ

そう思うのも人として当たり前ですね

 

ところがそういった方に限って

本当に何を信じていいのかわからなくなってしまうんです

 

業者に嫌われるだけならいいですよね。

でも、すべての意思決定が間違っているんではないか?

そんな思いになってしまっては、良いリフォームなんてできるわけがありません

 

情報が溢れている、だからこそ大事なのは誰がその情報を発信しているか

つまり、何をではなく誰を信じる

この人だったら信頼できるって、そんな人を見つけることじゃないでしょうか