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還暦建築士の日記:リフォーム百科事典

YouTube『リフォーム百科事典』を主宰する田口が、住まいと人生の最適解を求めるために、自分で意思決定して自分の人生を歩むため家つくりについてのヒントをお届けします
 

建築の資格というと建築士を思い浮かべると思います

 

そして多くの方が1級建築士は信用できるとお考えですが、単純に資格だけで安心&頼りになると判断するのは早計です。
 

例えば、有名大学の建築科を卒業して大手ゼネコンに就職している1級建築士の多くは、

鉄とコンクリートの建物を手掛けるケースが多いのです。

あるいは、構造や意匠(デザイン)といった専門分野での経験を積んでいる人であったりして、

一般的な住宅である木造建築については知らない人も珍しくありません。

たいがい大きなビルなどの建築の場合は建築士も分業制ですので、それぞれに特異な専門分野があったりします。


木造住宅にお住まいで、誰か相談にのってくれる人を探している場合には、資格という基準だけで選ぶのはどうなのだろう
そんなことをお伝えしたくて文章を書いています。
 

もちろん、1級でも木造建築に詳しい人もいますから、その点は誤解しないようにお願いします。

 

私は耐震診断を2000件近く行ってきましたが、

その中には1級建築士の自宅の調査も多くありました。

皆さん、『木造はわからない』とおっしゃいました。

 

当社の大工

中卒で棟梁に弟子入りして現場一筋35年ですが、建築士の資格はありません。

しかし、経験から既存住宅の構造や施工については経験から得ている豊富な知識があります。

懇意にしている1級建築士の先生と呼ばれる方が、週に何度も当社に来て

大工に『雨漏りしたお客さんだけど、どこからだと思う?』 『この柱を抜いて大広間を作りたいけど、可能だと思う?』

そういった質問をしています。

 

築30年の家だけど、当時の防湿シートの貼り方はどうだった? と聞けば、

検査のない時代だから、今みたいなしっかりした貼り方はしてないよな と即答してくれます。

その建築士は、中規模のビルやマンションを多く手掛けている方で、最近になって既存住宅のリフォームの相談を受け始めた方です。

ビルの事は詳しいけど、木造はあまり詳しくない。

 

建築士についてお話ししましたが

建築関係には、民間団体が認定している●●診断士とかいう民間資格がたくさんあります。

資格はテキストを読んで、試験に受かればだれでも取得できます。

認定している民間団体は講習料や受験料やテキスト代のほかに、更新手数料での収益があがればいいのですから、

合格者は多いほうがいいのですね。

 

これ以上は言いませんが、

資格に惑わされずに、自分の必要な人を見つけてください。

資格があっても無くても、知識と経験が豊富で皆さんにとって信頼できる専門家をお選びください。

 

インスペクション(インスペクター)の資格についてお話しします。

 

インスペクター資格には2種類あります。

 

日本ホームインスペクターズ協会が実施している、

資格取得する条件がなく、誰でも試験に合格すれば取得可能になインスペクターです。

 

もう一つが受験資格が必要な試験に合格した人です。

資格の名前は実施団体で異なります

建築士会が実施している試験に合格すると『建築士会インスペクター』の資格名ですし

住宅瑕疵担保責任保険協会などが実施している試験に合格すると『既存住宅状況調査技術者』になります。

私の場合は、こちらの身分証になります。

 

 

これらのすべてを合格者をインスペクターと呼んでいます。

わかりやすく言うと、玉石混合

身分証がある、資格証があるといっても、それを丸ごと信じることはやめたほうがいいでしょう

 

これは、私の経験ですが、

先ほどの写真の資格を取る前に、民間の団体でのインスペクター講習と試験に臨みました。

半日ほどの講習を受けて、先生の言われるところにアンダーラインを引き、

そのままテキスト持ち込みで試験を行いました。

出題は、アンダーラインの箇所ですから、ほぼ100%の合格率でした。

 

これが、実態です。


 

 

 

 

 

新規のお客様から相談がありました。

 

購入した中古住宅の通し柱が腐っていて、弁護士を通じて売り主の不動産屋と交渉をしているという状況で、

当社への要望は修理の見積もりが欲しいということでした。

 

現状を確認すると、南西角の2本の柱が完全に腐朽し、土台も筋交いもなくなっています。

大きな地震が来れば倒壊する状態です。

 

『インスペクションはやりましたか?』

お客様に質問しました。

答えはYES。

 

でも、インスペクションでは柱が腐っているとは書かれていなかった。

 

インスペクションをしたのに、なぜ? 

 

国が定めたインスペクションのガイドラインでは、

壁や天井に水のシミがあることを報告しますがその原因や壁内の状況まで調べることまでは求められてません。

床下は床下収納庫などから覗き込むだけで、そこから目視できる範囲での調査のみです。

 

今回の原因は、コーキングの切れと透湿防水シートの施工不良により雨水が躯体に侵入し、

水分を含んだ木材に腐朽菌とシロアリが発生したことです。

 

床下に潜っていけば、シロアリの発生を発見することが出来たはず。

しかし、インスペクションではそこまで要求されてないのです。

 

 

みなさんにお伝えしたいことは、

①中古住宅を購入する前に、きちんとした調査を行うこと。

②インスペクションは参考程度にしかならないこと。

 

きちんとした調査とは、耐震診断レベルの調査です。

最低限、床下と屋根裏に入ることは必須です。

依頼先で注意しなければいけないのは、建築士事務所の看板や1級建築士の肩書を信用してはいけないことです。

コンクリートと鉄の建物しか経験していない1級建築士よりも、木造住宅ひと筋の大工のほうが余程頼りになります。

このあたりのことは、また別の機会にお話しします。

 

参考までに

インスペクションとは、第三者が住宅の劣化状況や欠陥の有無などを診断する調査のことです。

昨年春に宅地建物取引業法が改正され、中古住宅の売買において仲介業者は売主にたいして『インスペクションをしますか?』と聞くことが義務化されました。

そして、インスペクションを実施した場合は、買主に説明することが義務付けされました。

 

 

ヤマト運輸の配達員さんが来ました。

11月半ばというのに、なんと半袖ユニフォーム姿でしたので、

思わず『寒くないの?』って聞くと、

運ちゃんは『さっきまで上着を着てたけど、脱いじゃいました』と返事があり、

『頑張ってるね~ 働きもんだね~』と言うと、

運ちゃんは嬉しそうに、帽子をとって『ありがとう、ございました!!!』って出ていきました。

 

交わした言葉はお互いに2回だけ。

でも、私も彼もとっても温かい幸せな気持ちになりました。

 

うちは、郵便の配達員さんとも仲良しです。

配達に来ると、かならず事務所の中を見てくれて、

ニコッって笑顔になってポストに入れてくれます

時にはわざわざ事務所の中までで入って、『大きいものだから、中に置いておきますね』って。

交わす言葉はほんの少しです。

でも、その言葉に感謝の気持ちがのっているから通じるのです。

そして、お互いに幸せになれます。

 

もしAIのロボット君とかドローンで配達に来たら、

この幸せはありません。

人間だから、幸せなんです。

 

だから、人間らしさを無くしちゃいけないのです。

訪問先のお客さまが新聞の切り抜きを差し出して『どう思う?』と質問されました。

(社)市民講座運営委員会主催の外壁塗り替えセミナー。講師は外装劣化診断士の資格を持った方です。
新聞の下の方に、広告なのか記事なのかわからないようにして、

外壁塗装で失敗しないよう、悪質業者の見分け方などを内容とした講座の有用性と公共性を訴える記事(?)です。




そこで、調べました結果がこれです。登場するのは下記の4団体です。

1、市民講座運営委員会  2、講師を務める外壁劣化診断士の資格認定団体が一般社団法人住宅保全協会

3、塗料メーカーのアステックジャパン  4、外壁塗装工事をフランチャイズ展開するプロタイムズ
 

この1~4の関係はと調べると、下記にリンクを貼りましたが、この4団体の所在地(東京事務所)の住所はすべて同じ、東京都千代田区富士見1丁目6-1フジビュータワー飯田橋1002号です。

 

これは推測ですが

①塗料メーカーが自社塗料を拡販するために外壁塗装工事店のフランチャイズ組織を作った。

②フランチャイズの集客方法として、市民講座運営委員会の名前でセミナーを開く

③集客と差別化のために、一般社団法人の名前で外壁劣化診断士資格を作って権威を持たせた

このようなストーリーではないかと想像できます。


2019.11.11現在のリンクです

市民講座運営委員会のHP
http://www.shiminkouza.or.jp/seminar/
外壁劣化診断士の講習と認定を行う住宅保全推進協会のHP
http://jutaku.shiminkouza.or.jp/about/

塗装のフランチャイズ会社『プロタイムズ』のHP

https://protimes.jp/profile

塗料メーカーのアステックペイントジャパンのHP

https://astec-japan.co.jp/company-outline/


 

 講座の中では『外壁塗装は外壁劣化診断士の資格を持った人に依頼すべきです』と言い切っています。講座終了後には、無料相談会が開かれて、外壁劣化診断士が相談に応じています。講座を受けてしまえば資格保持者の言うことを信じますよね。


外壁に関する資格は、外壁塗装診断士、窯業サイディング塗り替え診断士、外壁診断士、外壁塗装マイスターなど多数あります。

これらは、一般社団法人などの民間団体が認定する資格で公的なものではありません。

 

たいていの資格試験は、講習を90~120分ほど聞いて、その後に筆記試験を受けるものですが、試験内容は事前講習で教えてくれるので素人の方が受験しても合格出来る様なものがほとんどだと感じています。

 

一般社団法人は誰でも設立可能ですし、資格発行に関して行政の許可を得る必要もありません。その資格をもって信頼できると考えるのは、危険ではないでしょうか。

 

これ以上は、ブログ読者の判断にお任せいたします。語らずともおわかりかと思います。