TOTOとINAX(リクシル)の歴史から見るトイレ業界の歩み
今日は、日本を代表するトイレメーカー「TOTO」と「INAX」についてお話しします。ただ、どちらが良い悪いという商品比較ではなく、両社の歴史や考え方を見てみたいと思います。
TOTOの始まり
TOTO(東洋陶器)の創業者、大倉和親さんは、明治時代の終わりごろにヨーロッパを視察しました。そのとき、現地の衛生陶器、つまりトイレや洗面器などを見て、「日本にもこれが必要だ!」と感じたのが始まりです。そして、日本で初めて衛生陶器の開発をスタートさせました。
しかし、大倉さん一人では普及は難しいと考え、同じような道を志していた伊奈家(INAX)に技術や資金を提供しました。こうして両社は協力しながら、日本中にトイレ文化を広めていったのです。
TOTOの2代目社長への手紙
TOTO創業者の大倉さんが2代目社長に送った手紙には、こんな内容が書かれていました:
「親切が大事。お客様のために良い商品を提供することが、会社の正しい道です。利益はその歩みとして生まれる影のようなものだ。影を追い求めてはいけません。」
この言葉は、TOTOの社員たちに今でも受け継がれています。「お客様のため」を第一に考える会社のあり方を示しているのです。
INAXの変化
一方で、INAXは戦後もTOTOと共に森村財閥の一員として発展していきました。TOTOとは兄弟会社のような関係にありましたが、現在はリクシルの一部となっています。リクシルは、複数の異なる会社が合併してできた企業で、その結果、昔ながらのINAXらしい考え方や理念が薄れてきていると感じる部分もあります。
どちらを選ぶべき?
私の個人的な意見ですが、明治から続く理念をしっかり守り続けているTOTOには、特別な魅力があると感じます。「お客様のために」という考え方が商品にも現れていて、今でもその創業者の信念を大切にしているのです。
もちろん、INAXにも素晴らしい歴史と技術がありますが、経営方針や社風が変わってきている印象を受けるのも事実です。どちらが良いかは人それぞれですが、歴史や理念に共感できる会社を選ぶのも、面白い選択肢ではないでしょうか。
トイレひとつにも、こんな深い歴史や物語があるなんて、少し驚きますよね?これを機会に、トイレ選びをちょっと違う視点で考えてみてはいかがでしょうか。
/ 田口寛英