「ベルエージェンシーの「ガチ恋口上」曲にみる各グループのオタクとアイドルの関係性について」
タイトル長いですね()ベルエージェンシーのアイドル曲は数多くありますが、その中で「ガチ恋口上」を入れる曲があります。今活動しているグループでは、
「僕らは今も夢の中」(刹那SONIC)
「YELL」(COLOR'z)
です。どちらもほぼ同時期に初披露された曲で、オタクのことを歌っている曲です。一方で違う部分もあります。今回は2つの曲を比較して、ベルの曲を「横に見る」ことをしてみたいと思います。
「僕らは今も夢の中」(刹那SONIC)
刹那SONICのこの曲は前プロデューサーの水さんが作詞をした5曲のうちの1曲。
1番はオタクの目線。2番はアイドルの目線で歌われています。
オタクからは「君を見ている時間は自分になれる」
一方でアイドルからは「君を見ている時間はヒーローになれる」
という関係性。
そして落ちサビでは「こんな楽しい日々だけどいつか終わってしまうんだ」と卒業する時の話。
瞬間を生きるアイドルである刹那SONICとしては卒業だってすぐに訪れてしまうのです。現に12月に柚本愛美さんは芸能界を引退されます。
オタクからの目線が入っているところがなかなか新鮮でかつ、共感を誘うところだと思います。
一方でアイドルの目線については特に結城ひめりさんの話を思い出します。ステージにいる時は輝いていてヒーローになれる。無敵だ!このあたりの歌詞が非常にひめりさんらしい。
「YELL」(COLOR'z)
COLOR'zのこの曲はプロデューサーの蔵さんによる作詞です。
こちらは自分を見つけてくれたオタクに対するエール、それからこれからもずっと見ていて欲しい!という願いを歌う歌。
グループのコンセプトとしてカラーギャングというものがあるからこそ、みんなで声を出して歌うところがあります。
また、「ガチ恋口上」をする前に、サビでは「君が好きだ!」「オレモー!」のやり取りが用意されている曲。
両者の共通点
1. ガチ恋口上をする尺が用意されている
ガチ恋口上ってなかなか入れられる曲ないんですよね。可変3連とかスタジャパアイヌの3連を入れられる間奏の曲はたくさんあるんですけどね。
それこそ、可変3連の尺で最後の「あいしてる!」を言えないけどガチ恋口上をする人がいるくらい。
だからこそ、「入れられる」ことはまず大事ですね。
2. 「君が好きだ」や「君のことが好きだ」という歌詞
どちらの曲も途中で君が好き的な歌詞が出てきます。それこそオタクに対して歌っている部分があるからでしょう。この部分があるからこそ、ガチ恋口上が(気持ち的に)打てるんだと思っています。
両者の異なる点
「YELL」にあって「僕らは今も夢の中」にない点
1. 「オレモー!」のコール
君が好きという歌詞はあるのに、「オレモー!」を入れる尺があるのは「YELL」だけです。「僕らは今も夢の中」は入れようと思えば入れられるのですが、それ以前にメンバーのソロパートのため、メンバーコールをしたい気持ち。刹那SONICの楽曲はソロパートが貴重だから、というのもあると思います。
2. mixを入れられる
刹那SONICの曲はもともとmixを入れづらいように作っているそうです。「僕らは今も夢の中」はそもそも間奏がガチ恋口上を入れるところくらいしかない。そのためmixは一個も入りません。
一方COLOR'zはmixを入れられない曲は確かにありますが、「YELL」は入れられる曲。最初にスタンダードを打つことが多いです。
3. みんなで歌うところがある
これは「YELL」の「おえおー」のところを指しています。オタクも一緒に歌うことで生まれる一体感!そこからサビの盛り上がりに繋がっていきます。
刹那SONICでは「Life is not beautiful!」や「出来損ないの僕たちの逆襲」でオタクが歌うところがあります。
「僕らは今も夢の中」にあって「YELL」にない点
1. オタク視点からの歌詞
「僕らは今も夢の中」の1番はオタクから見たアイドルに対しての歌です。1番と2番を比較することで、すれ違いつつも気持ちは同じ、みたいな雰囲気がとってもよく出ています。なんというか、ある程度のすれ違いがあるからこそ、アイドルとオタクなんじゃないかと私は思っています。そうでないと「お友達」になってしまいますからね。
2. 落ちサビがある
「YELL」には落ちサビがありません。終始盛り上がる形になります。強いていえば、「おえおー!」のところが落ちているのでしょうか。でもBメロですね。
「僕らは今も夢の中」では落ちサビからは後述のアイドルを辞める時の話になります。ここのエモさがなかなかすばらしいです。
3. アイドルを辞める時のことが書いてある
「瞬間を生きるアイドル」らしい部分です。
落ちサビからはいつかその時が終わってしまう。でも私はあなたのことを覚えているよ。という歌詞になります。瞬間を生きるということは、「終わりがあることをわかっている」ということになります。終わることがわかっていて、そこまであっという間にきてしまうから、今を全力で駆け抜けていくわけです。
この部分はもしかしたら柚本愛美さんの引退を暗示していたのでしょうか?引退発表をしてからここの歌詞がすごく心に突き刺さってきます。
やはり、結論としてはどちらもオタクに対して歌っている歌という点で共通していて、それぞれのグループの色に合わせたかたちでその命題を噛み砕いているからこその違いが生まれているのでしょう。
そういう意味ではCOLOR'zと刹那SONICというベルエージェンシーのある種の「二項対立」がとてもわかりやすいのではないかと思います。