演算子法で特殊解を求める
例題1
y''-y'+3y=e^x(sin3x)
微分演算子を使うと
(D²-D+3)y=e^xsin3x
P(D)=D²-D+3 で特殊解は
で計算できます。
1+3i は,e^(ax) sin(bx) の a+bi からもっていきます.
P(1+3i)=(1+3i)²-(1+3i)+3
=1+6i-9-1-3i+3
=-6+3i
1/P(1+3i)
=1/(-6+3i)
=(-6-3i)/(36+9)
=-2/15-i/15
であるので,
この虚数部分が特殊解
-(1/15)e^x•(2sin3x+cos3x)
また、(D²-D+3)y=0で 特性方程式は、
λ²-λ+3=0λ=(1±√11i)/2
よって、一般解は、
y=e^(x/2){Asin(√11/2)x+Bcos(√11/2)x}-(1/15)e^x•(2sin3x+cos3x)
例題2
y''-2y'+2y=e^(2x)
微分演算子Dを使って、(D²-2D+2)y=e^(2x)
ここで、f(D)=D²-2D+2 と書くと f(D)y=e^(2x) になる。
右辺が、e^(αx) の形の場合は、特殊解は、
になります。
この問題では、α=2 です。
したがって
f(2)=2²-2×2+2=2よって、
特殊解は、(1/2)e^(2x)
例題3
y''-2y'+2y=cos(2x) の特殊解を求めよ。
まずは、y''-2y'+2y=cos(2x) +isin(2x)=e^(2ix)
として、
この特殊解は、例題2と同様にして、α=2iだから、
f(2i)=(2i)²-2×2i+2=-2-4i
1/f(2i)=1/(-2-4i)=-(1/10)+(i/5)
よって、
{-(1/10)+(i/5)}e^(2ix)
={-(1/10)+(i/5)}{cos(2x)+isin(2x)}
={-(1/10)+(i/5)}cos(2x)+{-(1/10)+(i/5)}isin(2x)
=(-1/10)cos(2x)-(1/5)sin(2x)+i{(1/5)cos(2x)-(1/10)sin(2x)}
この実数部分が、y''-2y'+2y=cos(2x) の特殊解
したがって
y=(-1/10)cos(2x)-(1/5)sin(2x)が特殊解。
例題4
y''-2y'+2y=sin(2x) の特殊解を求めよ。
例題3から、{-(1/10)+(i/5)}e^(2ix) の虚数部分(1/5)cos(2x)-(1/10)sin(2x)が特殊解になる。
例題5
y''-5y'+6y=e^(2x) の特殊解の求め方。
(D²-5D+6)y=e^(2x)
(D-3)(D-2)y=e^(2x)
f(D)=(D-3)(D-2)とすると、
f(2)=0になってしまうので、公式1/f(α)・e^(αx)は使えない。
そこで、別な公式
を使います。
まずは、微分演算子
1/f(D)=1/(D-3)-1/(D-2)
と変形する。
1/(D-3) ・e^(2x)
=e^(3x)∫e^(-3x)e^(2x)dx
=-e^(3x)・e^(-x)
=-e^(2x)
1/(D-2) ・e^(2x)
=e^(2x)∫e^(-2x)e^(2x)dx
=xe^(2x)
よって、特殊解は、
-e^(2x)-xe^(2x)
ここで、もともと、
-e^(2x)は、y''-5y'+6y=0 の一般解だから、結局、特殊解は、-xe^(2x) になる。
例題6 y''+4y=cos(2x) の特殊解
y''+4y=cos(2x)+isin(2x)=e^(2ix)を解いて、
その実数部分が特殊解。
y''+4y=e^(2ix)
(D²+4)y=e^(2ix)
f(D)y=e^(2ix)
公式 1/f(D)・e^(2ix)=1/f(2i)・e^(2ix)は、f(2i)=(2i)²+4=0になるから使えない。
そこで、例題4で使った公式を使います。
1/(D²+4)
=1/((D-2i)(D+2i))
=(1/4i){1/(D-2i)-1/(D+2i)}
より、
1/(D-2i)・e^(2ix)
=e^(2ix)∫e^(-2ix))e^(2ix)dx
=xe^(2ix)
1/(D+2i)e^(2ix)
=e^(-2ix)∫e^(2ix))e^(2ix)dx
=e^(-2ix)∫e^(4ix))dx
=(1/4i)e^(-2ix)e^(4ix)
=(1/4i)e^(2ix)
よって、特殊解は、
(1/4i){xe^(2ix)-(1/4i)e^(2ix)}
=(x/4i){cos(2x)+isin(2x)}+(1/16){cos(2x)+isin(2x)}
=(-xi/4)cos(2x)+(x/4)sin(2x)}+(1/16)cos(2x)+(i/16)sin(2x)
=(x/4)sin(2x)+(1/16)cos(2x)+i[(1/16)sin(2x)-(x/4)cos(2x)]
ここで、(1/16)cos(2x)は、y''+4y=0の解だから、
特殊解は、(x/4)sin(2x) になる。
例題7
y''+4y=sin(2x) の特殊解
例題6より、(D²+4)y=e^(2ix)
の特殊解の虚数部分は、
(1/16)sin(2x)-(x/4)cos(2x)
ですが、
(1/16)sin(2x)は、y''+4y=0の 解だから、
特殊解は、-(x/4)cos(2x) です。
例題8 y''-5y'+6y=x²+2x+3 の特殊解公式
1/(D-α)・F(x)=e^(αx)∫e^(-αx)F(x)dx を使うと
1/(D-2)・(x²+2x+3)
=e^(2x)∫e^(-2x)(x²+2x+3)dx
=e^(2x){-(1/4)e^(-2x)(2x²+6x+9)
=-(1/4)}(2x²+6x+9)
1/(D-3)・(x²+2x+3)
=e^(3x)∫e^(-3x)(x²+2x+3)dx
=e^(3x){-(1/27)e^(-3x)(9x²+24x+35)
=-(1/27)}(9x²+24x+35)
よって、特殊解は、
{1/(D-3)-1/(D-2)})(x²+2x+3)
=-(1/27)}(9x²+24x+35)+(1/4)}(2x²+6x+9)
=-(1/3)x²+(1/2)x²-8x/9+3x/2-35/27+4/9
=(1/6)x²+(11/18)x+103/108
<別解1>
y''-5y'+6y=x²+2x+3
(D²-5D+6)y=x²+2x+3
特殊解は、y=1/(D²-5D+6)・(x²+2x+3) で求まる。
ここで、1/(1-5D/6+D²/6)の部分は、
等比数列の和のように考える。
1/(1-r)=1+r+r²+....
↓
これが、(x²+2x+3) への演算子になる。
次数が2だから、D³以降は関係がなくなる。
したがって、
演算子は、 1+(5D/6)+(19D²/36)
なので、それに
(1/6)をかけたもの
1/6+(5D/36)+(19D²/216) が演算子になる。
計算がたいへんだから、
1+(5D/6)+(19D²/36)の演算子を施して、最後に1/6しよう。
1(x²+2x+3)
=x²+2x+3(5/6)
(5D/6)
=(5/6)(x²+2x+3)'
=(5/6)(2x+2)
=5x/3+5/3
(19D²/36)
=(19/36)(x²+2x+3)''
=(19/36)(2x+2)'
=(19/36)・2
=19/18
以上より
特殊解は、
(1/6)(x²+2x+3+5x/3+5/3+19/18)
=(1/6)(x²+11x/3+103/18)
=(1/6)x²+(11/18)x+103/108
で一致した。
<別解2>
{1/(D-3)-1/(D-2)})(x²+2x+3) の計算で、
1/(D-3)
=-1/(3-D)
=(-1/3)(1/(1-D/3))
=(-1/3)(1+D/3+D²/9)
-1/(D-2)
=1/(2-D)
=(1/2)(1/(1-D/2))
=(1/2)(1+D/2+D²/4)
と考えて、
(-1/3)(1+D/3+D²/9)+(1/2)(1+D/2+D²/4)
=(1/6)+(5/36)D+(19/216)D²
が演算子になり<別解1>と同様になる。
しかし、この問題の場合は、「未定数法」を使った方が簡単です。
特殊解を y=ax²+bx+c として
y'=2ax+b
y''=2a
を
y''-5y'+6y=x²+2x+3 に代入
2a -5(2ax+b)+6(ax²+bx+c )=x²+2x+3
6ax²+(6b-10a)x+2a-5b+6c=x²+2x+3
6a=1
6b-10a=2
2a-5b+6c=3
より
a=1/6
b=11/18
c=103/108