ドイツ戦前戦後オーディオを聴く会 テレフンケンモニタースピーカー | ニャンコの音楽とオーディオでまったりした日々

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オーディオは以下のとおりです。
https://ameblo.jp/tiromie/entry-12481502923.html

松本オーディオ倶楽部が出来て9年になるそうですが、コロナ禍を挟んでおりますので6回目の開催になるようです。

メモも取りましたが、聞き間違い、書き間違いの段があればお許しください。

うち3回は出席しておりまして、今年はまずは戦後ほどないころの西ドイツの放送局用モニターになります.



ドイツでは敗戦後、ステレオ化はレコードより早く、放送局で行われたようです。

聴かせていただいたのは、真空管のブランドでも有名なテレフンケン社のO85Aというラジオ放送局向けのモニターです。


当初はテレフンケンの真空管F2Aプッシュプルでモニターされましたが、今回鳴らされたのはテレフンケン初のトランジスターアンプが内蔵されたモデルです。

プリアンプは主催の管球王国にドイツ劇場用スピーカークラングフィルムの歴史を執筆の小林氏宅。

オーディオルームからはリビングまで壁やドアはなく、約50畳はあろうかという空間で、オーディオルーム自体は20畳以上あります。

管球王国からは新先生が、オーディオアクセサリーの音元出版も取材に来られていました。それだけ価値のある貴重なオーディオを聴ける会です。

 



新先生は80代。それでもこうしてオーディオから音楽は欧州に出かけて生を聴かれるというのですから模範に見えます。

送り出しにはEMT930が不調で急遽ターンテーブルはテクニクスのプレーヤーがフォノモーターとして用いられました.

カートリッジはノイマンのDSTの初期モデル(白い筐体の方)を松本市のサウンドパーツさんのスウェーデンのルンダール社のMCトランスに。



それに今回の目玉、Western Electricがレコード製作のモニターに使われたWE10Aリプロヂューサーを小林さんとアムトランスが忠実に再現されたレプリカWE10Aが用いられました。アナログ誌より引用

 



参考までに各レーベルのイコライザーカーブは
https://ameblo.jp/tiromie/entry-12832338189.html

このレプリカのWE10Aはアムトランス経由で入手出来ましてたしか88万円だったかと思います。

フォノイコライザーの入ったプリアンプは小林さんの手の込んだお手製です。



このとおり、各種ターンオーバー周波数やカーブの値を可変させて選べてRIAAカーブ以外のレコードにも対応します。

小林さんも1954年に世界オーディオ協会がRIAAカーブ統一したというのは建前で、各社当面様々なカーブを使われたことはご存知で、レコードのレーベルごとに頻繁に調整されました。

カーブについては過去に記したとおりです。

 

 

 

 

鳴らされたレコードのごく一部です。



今回小林さんは日本盤にもRIAAカーブでは不自然なものがあるという話です。
外国からのマスターテープをどのようにカッティングカーブで切ればよいのかわからない。
RIAAカーブとわかっていても、どうもそれでは本国のオリジナルレコードと音質が異なる。
ならばと本国のレコードと同じような音質に鳴るようにイコライジングし直した盤があるそうです。

自分も日本盤でも不自然に再生されて、本国のコロンビアカーブ AESカーブなどにした方が自然な盤がまれにあって、薄々感じていたので膝を打った次第です。

パワーアンプはパワードスピーカーで内蔵です。
当初はテレフンケンのV12 F2aプッシュプルが内蔵されましたが、これはV369というテレフンケン初のトランジスターアンプ。その前がV69というF2aプッシュプルの真空管アンプだそうです。


スピーカーのインピーダンスが100Ω単位で合わないときには松本市のサウンドパーツ製のパワーアンプが介されました。

 



テレフンケンのO85Aモニタースピーカーのユニークさは2ウェイ。
ダブルウーハー、ツイーターは18個も付いていることです。
アメリカのマッキントッシュ社のツイーター複数の縦1列のトーンゾイレ指向性に似ていますが、上下に2個づつ。残り14個は半円を描くように配置されていることです。


上下スピーカーからも音場がすでに意識されて、ラジオ局モニタールームの横に並んだ複数の技師やプロデューサーにもれなくステレオで音を届ける意図と見ました。

そうしてウーハーはバスレフ型。
裏の開口部に布が被せられて、ダンプをかけるのはクラングフィルムから戦後のジーメンス時代になってからの伝統ですね。

初期のドイツのトランジスターアンプは音が硬いかと思いきや、スムース&シルキーです。
音場も出て、現代スピーカーにレンジでもひけを取りません。

この中高域の広い指向性は家庭でも必ずしもスピーカーの真ん中で聴く必要がない意味でも価値を感じました。うちにスペースがあれば正直欲しい音です。

そうして新先生から預かったWestern Electricのモニター針、WE10Aを小林さんが徹底的に分析されてアムトランスと共同で開発された針。
実にワイドレンジで個人的にはEMT(ノイマン)のDSTカートリッジよりも好みでした。
現代レコードにも全く過不足のないいい音で、これを模範にしたとされるDENON103も参考のために鳴らされましたが、物量の差は如何ともしがたく、音質差は歴然とWE10A.予算があればWestern Electric(KK10A)ですねえ。