多神教では、
人間の行いや倫理道徳を正す役割を神に求めない。
一方、一神教ではそれこそが神の専売特許なのである。
多神教の神々は、ギリシャ神話に見られるように、
人間並みの欠点をもつ。
道徳倫理の正し手ではないのだから、
欠点をもっていてもいっこうにさしつかえない。
だが、一神教の神となると、
完全無欠でなければならなかった。
放っておけば手に負えなくなる人間を正すのが、
神の役割であったからである。
塩野七生 著 ローマ人の物語 1
ローマは一日にして成らず 上 巻 より
多神教は敗者も受け入れる。
どんな宗教を信じている人間でも
受け入れる。
それが出発点なのだ。
ダイバーシティーの原点だ。