怖いのは、感じなくなること。
鈍感になってしまうこと。
硬くなった皮膚で
さわれるものはもうきっと無い。
怖がって、
さわれなくなって、
言えなくなって、閉じ込めて。
全部を無かったことにしようと逃げるとき
そのとき在った心はそれだけで殺されるのかもしれない。
うすい青の中に
まだやさしい白の月を見つけた。
ぐるぐるに木に巻かれたイルミネーションライトが
暖色に路を彩る。
溶け残った雪。
足元を温めるパラソルヒーターの傘の向こう。
きれいなものを
きれいなままで心に掬う。
あたたかいものを
あたたかいもので心に燈す。
そんなにむずかしくないことなのに
途端にわからなくなってしまう時がある。
捻じ曲がってしまおうとする自分を揺さぶって、
そうじゃないんだとちゃんと教えてあげたいのに
まだ泣いてるわたしはそれをちゃんと聴いてくれないのかもしれない。
背中を伸ばして、
胸を張って、
踵を鳴らして、しゃんと歩く。
ちゃんとできなくても
ちゃんとできる振りをしよう。
背中を丸めて歩くと
空虚が胸一杯に溜まる。
そしてどんどん背中が丸くなって、
首が落ちてしまうから。
忘れることは、得意じゃないんだ。
だから、
口の中をざくざくにしても
ちゃんと噛み砕いて、
ちゃんと飲み込む。
時間がかかっても
飲み込めずに嗚咽が出そうでも
ちゃんと飲み込む。
愛しかったことはひとつも
棄てたくないから。
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