他愛のない言葉でも
人をひどく傷つけてしまう時がある

照れや忙しいさを誤魔化すために
発する言葉が
時には誰かの睡眠を妨げる程の
武器になってしまう

言葉とは
いや
自分が持ち合わせた
どうしようもない心が
当たり前のように
誰かを傷つけていたなんて

そのことを知り
己に対する憤りを感じ
言葉を発する事が怖くなった

心ない言葉で
何度も傷ついて来たのに
自分も知らぬ間に
その武器を手に入れ
あちこちに
それを振りかざしていたなんて

一方で
言葉は
誰かを救える可能性だってある

その可能性を信じ
できる限り
笑顔を増やせるようなものとして
振りまけたら
って思う

そう言う人間に
そう言う心を持ち合わせた人間に
なる事ができたなら…
人は
心が乾き切ると
些細な事にも不幸を感じてしまう

そんな弱さを潤そうと
次から次へと
酒を口に運ぶ

別に弱さを隠す為ではないんだ
一瞬でも
自分を大きく見せたいだけなんだ

擬似の液体で心を潤し
軽快に口を滑らす
全ては錯覚に過ぎないのに
その時だけは
心底笑えている気がした

時が経てば
その時の錯覚を後悔し
己を大きく見せようとした
自分が情けなくなる

そして
降りかかるように
バチと言うものが
襲ってくる

全ては
自業自得で
一時の化身の為に
後に
大きな代償を
払わなければならなくなる

そんなことを
何度も繰り返してしまうんだ


精一杯生きているんだ

ただ
誰かにそれを
知って貰いたい為に

大切な時間を失った人が
僕にありのままの姿をさらしてくれた

戦争を経験し
その時制だけでなく
それからも
多くの苦しみや悲しみを受け入れて生きてきた
いや 生きている人が
甘っちょろい僕に
全てをさらけ出した

一つの命が終わりを告げ
その一つの命が
彼をそうさせたのだろう

あらゆる形の愛が世の中にはある
その愛はどれも偽りのないもので
言葉では表す事のできないものであるのだろう

しかし
それは言葉にせずとも
感じられるもので
心に強く迫ってくるものである

そこにあったものは
ありがとう
だった