銘仙浪漫 | ゆっくりまったりうっとり

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裂織は古布の命を繋ぐもの。古い着物を解いて裂いて裂織でモノ作りをしています。

制作の話や猫の話、古物に囲まれた暮らしの話、好きなものや思ったこと。気持ちと出来事と作品の記録。


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銘仙 (めいせん)

大正から昭和30年くらいにかけて、女性用の普段着やお洒落着として流行した、絹の着物地。

カフェーの女給さんや女学生が着てたイメージ



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もともとは、江戸時代

良質の生糸を採った後の、残りものの繭から作られる糸を用いて織られた

やや厚手、実用向きの絹織物。

普段の着物や、夜具にも使われていたそうです。



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特徴は、経(たて)糸と緯(よこ)糸を故意にずらすこと(この技法を絣と言います)で、色の境界をぼやかしてあること。

模様を作っているのは経糸のみ

緯糸が一色(私が持っているものの多くは黒)なのも、他の織物との大きな違い。



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大正から昭和初期に全国に広まったのは

原材料の仕入れ方の工夫や織機の技術革新がすすんだことで、丈夫で安価なものが作られるようになったこと

当時、女性の社会進出が始まっていたこと

そんな女性たちの心を惹きつけるデザインの新しさ、だと言われています。



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伝統柄ではない、見たことのないモダンな柄



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新進気鋭のデザイナー(当時は図案家)が次々に作り出す、新しい世界

少し固めだけれど、光沢のある生地の感じも魅力のひとつ。



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古物市で集めたものの中には、丁寧に洗い張りされ、繕われたものも。

当時の生活、女性達の気持ちが伝わってくるようです。



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さて、

これを私が使うためには、裂布にするわけですが

タテに裂くのとヨコに裂くのでは、柄の出方が違うんです。



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タテに裂くと(大きい玉の方)、裂いたところから黒の緯糸が出るし

ヨコに裂くと(小さい玉の方)、経糸の鮮やかな色が現れます。



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先日ご紹介した銘仙生地は、緯糸が紺色!

ストライプの色分けのためにタテに裂いたので、緯糸の紺色が出て、織りにニュアンスを与えてくれました。→ この織物です



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手持ちの中には、緯糸が赤いものも!

ただし、青紫の生地の方は退色によるものの気もしていますが…(そうだとしたら、かなり古いものということ)



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いつの間にか集まってきていた銘仙の古布。

個性的で大胆な色づかい

やわらかで、やさしい雰囲気

細かな表現が難しいぶん、おおらかな印象も。


これを使って、どんな織りが見られるのか。

自分でも楽しみでたまらないのですウインク



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今日の記事、ちょっと硬くなっちゃった。

だって、やや固め生地の銘仙だものニヤニヤ

読んでくださって、ありがとうございました