大学劇研後輩川原洋子所属。劇団桟敷童子『一九一四大非常』@錦糸町すみだパークシアター倉
連作で振りに振ってきた『あの事故(“方城大非常”ウィキにすら挙がっている実際に有った炭鉱事故の事。なのでウィキに載っている辺りまではネタバレしますのでご用心を)』のお話。ストレートなパニック物、と簡単に云う事も出来るっちゃ出来るんだけど。
とにかく俳優の運動量が凄かった。炭鉱夫役はただでさえいろんな汚しが入るのに、それを一旦落として別衣装被ってモブをやり、また汚して舞台に戻るなんざレベル1。それ以上の衣装替えメイク替えを背負いながら舞台装置動かしたり背景になったり。挨拶の人数観てちょっと驚いちゃったもの。
桟敷さんを見始めた当初は判りやすい二項対立の図式で、善悪だったり、土着と他所者だったり、伝統的生活と文明だったり、etc。
それの片方(基本的には弱い立場)に思い入れが出来るような形でお話が構成されていたと記憶しています。思えばスタンダードなアングラ芝居(桟敷さんは元々新宿梁山泊だっけ)はそうして色んな主張思想を表現してますし。
時を経てその二項対立が変化して行きます。以前は悪役として描かれていた側にもちゃんと事情がある事や、良いとしていた側にも問題が内包している事、お互いにお互いの理解者が居たり、そもそも争いを求めないなんて立場もあったり、でも各々の立場には譲れない部分が有ったり。二項なんだけど対立を俳優だけで表現しなくなるようになります。
そうして辿り着いた本作は、以前までの作品のように単に涙出っぱなし、とかって云うのではなく(いや、ちゃんと泣いてはいるんだけどね^^;)、最終的に感じたのは人間の業の深さ。
現場では救助活動もままならない悲惨な状況なのに、『東京の会社』は採掘事業の再開を命じて来たり、大正天皇の御言葉を携えた勅使が来ると決まると事故そっちのけで接待の為に子供まで駆り出されたり、と判りやすく腹立たしいシーンはもちろんなんだけど、ラス前とラストシーンのやりとりはそれを通り越えてゾッとしましたね。あの夫婦の会話には背筋がゾッとするような深い深い闇が見えました。
今回も凄いです。間違いなくオススメです。
12月7日まで♪

























