毎年、クリスマスイブとかクリスマス当日に、ヲタ活をしていて思うことだが、例年、自分が参加しているような現場には、非リアしか集まらないため、そこには変な共同体意識というか、連帯感が生まれ、クリスマスにヲタ活をしているといった屈辱感をあまり感じない。

しかし、今回のPerfumeは、あきらかに勝手が違っていた。

男女の比率はほぼ半々で、リア充っぽい観客が多く、当然、カップルも大勢いる。また観客の年齢層も幅広くて、中には子供を連れたお母さんもいた。

つまり、これが現在のPerfumeのセールスや動員を支える実態であって、初期の頃のヲタ客を一掃し、これだけたくさんの一般人に支持されたケースというのは、アイドル史上においても、ほとんど例のないパターンだと思う。

Perfume同様に、数万人単位の観客を動員する48グループやももクロ、あるいは水樹奈々あたりの観客が、ほとんど全員ヲタクであることを考えたら、Perfumeのそれは驚異的なことだ。

彼女達が、多くの一般人に支持され、商業的に成功したことは、本当にすごいことだと思うし、ローカルアイドルという概念すら、存在しなかった時代から、地方で地道に活動し、これだけ大きな成功を掴んだ彼女達の存在というのは、その後の、アイドルシーンに、大変、大きな刺激を与えたと思う。

しかし、一方で、アイドルファンの立場から言わせてもらうと、Perfumeのブレイクのドサクサに便乗して、それまでずっとアイドルを軽視してきたようなメディア、とくにロック系の音楽雑誌がいきなり、彼女達を扱うようになったのには、本気で引いた。

アイドルというジャンルには、アイドル本人とヲタとが、世間の冷たい目に晒されながら、苦労を共にしてこないとわからないような世界があり、これはロックのように、キチンとした市民権を得ているようなジャンルの住人達には、絶対にわからない感覚だと思う。

さて、そんなリア充だらけのPerfumeのコンサートだが、東京ドームの広さに負けないような、様々な工夫が凝らしてあり、それは実に贅沢なライブ空間だった。

メインステージからサブステージへと曲線上に延びている花道と、大掛かりな照明機器。プロジェクションマッピングを映し出すスクリーンと数々の装置、そして無数のレーザー光線。

普段、観ているアプガあたりのライブの、それこそ10年分くらいの電力が、この公演だけで消費されているのではないだろうか。

前半は、最新アルバム「LEVEL 3」の楽曲が中心にプログラムされ、後半がお馴染みの楽曲といった内容で、当然、後半のほうが盛り上がる。

当たり前の話だが、会場内の沸きかたは、いたってノーマルで、サイリウムを振り回したり、推しジャンをしたり、ヲタ芸を打ったり、mixを叫んだりするような人間は皆無であり、唯一、ヲタヲタしいノリがあったのは、「ジェニーはご機嫌ななめ」のソロパートにおけるメンバーへのコールくらいなものか。

途中、巨大なカートに乗り込み、サインボールを観客席に投げ込みながら、野球のグランドでいうところのバッターボックスのあたりにまで、メンバーが移動してきて、「ワンルーム・ディスコ」を披露してくれたのは、スタンドで観ていた自分にとっては嬉しいサービスだった。

ライブの終盤には「ポリリズム」、「チョコレート・ディスコ」といったヒット曲が連発され、アンコールの「Dream land」でコンサートは静かに終わった。

やがて客電が灯り、スクリーンに映し出されたのは「SEE YOU NEXT LIVE」の文字。

海外への進出も含め、これだけスケールの大きなコンサートのクオリティを、この先もずっと維持していくというのは、容易なことではないと思うが、次回へのライブの期待も、当然、高まってくる。

最近は、この手の大掛かりなショーを観ることは、ほとんどなくなってしまったが、たまにはこういうのも悪くないと思った。

追記

終演後に、ドームの外で、どこかの地下アイドルが、必死にフライヤーを配っていたが、どう考えてもここでは場違いだと思う。
年の瀬も押し迫ってしまったが、今年は正月休みが、例年よりも長いので、どこまで書けるかわからないが、せっかくなので、年末に自分が参戦したライブの記録でも書いてみよう。

この日は、あっちこっちでアイドル現場がバッティングしており、本当に体がいくつあっても足りないような一日だった。

悩んだ末、最終的に昼はシブゲキで新生東京パフォーマンスドールを観て、夜は新木場のSTUDIO COASTでベイビーレイズのワンマンライブを観ることにした。

女子流の武道館とアプガの赤レンガ倉庫を干して、ベイビーレイズに参戦とか、夏頃の自分には考えられない展開だが、ヲタとしての自分の本能に忠実に従うと、今はベイビーレイズを選択するべきだという結論に至った。

ベイビーレイズに関していうと、自分は完全に遅れてきたファンであり、「暦の上ではディセンバー」のリリイベで、初めて現場に行き、メンバーと接触して、あっさりと釣られた新参者である。

もちろん、デビューの頃から、彼女達のことは知っているし、とくにアイドリングのオーデの最終選考に残った2人に関しては、何となくシンパシーを覚えていたのも事実。ようするに、これまで現場に行く動機というか、きっかけが「暦の上ではディセンバー」までなかっただけのこと。

そのとき、間近で見たメンバーのルックスも良かったが、それ以上に、レプロ所属のメジャーアイドルにしては、どこか垢抜けないような、親しみやすさにも惹かれた。

STUDIO COASTのロビーには、上り調子の旬なアイドルらしく、各方面から贈られてきたスタンド花が飾ってあった。

しかし、自分がいちばん期待していた人物からの花は、残念ながらそこにはなかった。

飛び入りで、ステージに出てこいとまでとは言わないけど…

能年、花くらい出してやれよwww

ベイビーレイズが、この数ヵ月の間に、あまちゃんの恩恵を授かったのかと、言われれば確かにそれはあったと思う。

しかし、率直な感想をいうと、自分が当初、思っていたほど、あまちゃんブームの恩恵に乗れなかったなという印象もある。

あまちゃんに便乗して、一気にここで盛り上がらなくては、この先も永久に浮上することがないような気もするが、ひょっとしたら、これが、このグループの宿命なのかもしれない。

紅白のあまちゃん枠での出場も決まったようだが、それにしたって、本番で、どこまでキチンとした扱いを受けるのか、かなりあやしいものだと思う。まあ、普通に考えたらベイビーレイズというテロップすら出ないだろう。

ただ、個人的な意見を言うと、「暦の上ではディセンバー」は、確かに優れた楽曲だとは思うが、一方で、これまでに彼女達が歌ってきた攻撃的な楽曲と比較すると、あまりベイビーレイズらしくない曲だと思う。

この曲は、あくまでもあまちゃんのサウンドトラックであり、ベイビーレイズのために書かれた曲ではないのだから、当然といえば当然だ。言い方を変えると、単に成り行き上、歌わされただけの話。

今回のライブで、この曲をどう扱うのかに、自分は注目していたが、決して、特別扱いするわけではなく、ライブの中盤のわりとどうでもいいようなところで、アッサリと歌われた。

それは、あまちゃんに関わったからといって、ウチらの活動は決してブレていませんよということを、端的に表しているようにも思えたが、結果的にこれが正しかったのかどうかは、新参のオレにはよくわからない。

ただ、この曲の扱いに関係なく、彼女達のライブそのものは本当に楽しくて、二時間があっという間に終わった。

今回のライブでは、来年、リリース予定の新曲も披露され、これがまた一聴した感じでは、微妙な印象の曲だが、きっと、その頃にはリリイベで、また彼女達に会いにいくことになるだろう。
日本国内でも、7月の終わりに一度だけ、数ヵ所の映画館で同時上映された、ブルース・スプリングスティーンの音楽映画である。

その日は、前売り券を購入していたにも関わらず、仕事が忙しくて観に行けず、悔しい思いをしていたのだが、こんなに早くにDVD化され、店頭に並ぶとは思わなかった。

ロックミュージシャンや、ロックバンドを題材にした映画というのは、過去にもいろいろとあったが、このスプリングスティーンの映画には、過去のロック映画と大きく異なっている点がある。

それは、この作品が、これまでのロック映画のように、ミュージシャンの歌や演奏シーンを主体にしたものではなく、ファンが投稿した自分達(ファン自身)の動画を中心に、映画が構成されているところだ。

世界中のスプリングスティーンのファンから寄せられた多数の映像の中で、彼ら(彼女ら)は、ブルース・スプリングスティーンの音楽が、いかに自身の人生に影響を与えたかについて語っている。

つまり、この"SPRINGSTEEN & I"という映画のタイトルには、そういったファンの気持ちが込められており、多くのファンにとって、スプリングスティーンの曲というものが、単なる音楽以上の何か…人生のサウンドトラックになっているのだということを、この映画は示しているのだと思う。

かくいう自分も、これまでの半生において、少なからず彼の音楽には、影響を受けてきたと思うし、考えてみると、ゆうに人生の三分の二以上はスプリングスティーンの音楽を聴いて、生きてきたわけで、今後の自分の人生においても、こんなミュージシャンに、めぐり会うことはきっとないだろうと思う。

そして、【自分】と同じようなファンの存在を、この映画を観て知り、その事実に安堵するファンは、きっと世界中に大勢いるに違いない。

この映画の中で、とくに面白かったのが、一緒に行く予定だった、ブルースのライブの前日に彼女にフラれ、ひとりでコンサートを観にきた【彼】の映像だ。

「やあ、ブルース。彼女に棄てられたよ。I'M GOING DOWN」というメッセージボードを持って、ライブを見ていた【彼】を、ブルースはステージ上に上げて、ハグをする。ちなみにブルース・スプリングスティーンのライブでは、アリーナ席前方の観客が、歌って欲しい曲をボードに書いて、そのリクエストにブルース本人が答えるということが、ここ近年、慣例化しており、それは時として予想外のドラマを生む。

「大丈夫だ。オレだって、昔はさんざんフラれてきたんだ」と、アメリカを代表するロック歌手が、失恋して半ベソをかいているファンをステージ上で、ハグして慰めているというのも、すごい光景だが、こうしたファンとの特殊な関係が成り立ってしまうところが、ブルースが、他のロックスターと大きく異なる点だと思う。

そして、そのあと演奏された曲は、もちろん【彼】のリクエストによる「I'M GOING DOWN」だ。(意表をついたレア曲だが、ブルースとバンドのメンバーは、こういった難易度の高いムチャな曲のリクエストにも、結構、果敢に挑んでいる)

ファンが投稿した動画の合間合間には、最新ツアーの映像を含む、ブルースのライブシーンが織り込まれているのだが、これが予想以上にスゴくて、瞬きをすのも忘れてしまいそうな場面が多々ある。

映画の冒頭シーン。最新ツアーの、おそらくヨーロッパの野外会場でのライブだと思われるが、ここでのMC…

「E・ストリート・バンドは、何千マイルも旅してここまできた!ここにきた理由はひとつ、君たちがいるからだ!」

「これからの道のりは、俺達だけでは到達出来ない。みんなの力が必要だ!」

「みんなに、ひとつ答えて欲しい!」

「スピリットを感じるか?」

「CAN YOU FEEL THE SPIRIT?」

といういかにも、スプリングスティーン的な煽りを、見ているだけで、いきなり全身の毛穴が広がっていくような興奮を覚えてしまう。

ちなみに彼の最新ツアーは、今年、米ROLLING STONE誌で特集された「THE BEST LIVE ACTS NOW(いま現在、最高のライブアクト)」という企画において、堂々の1位を獲得している。(ちなみに2位がプリンスで、3位がストーンズだった)

60過ぎのロックミュージシャンのライブが、世界最高という評価を、眉唾物に思う人もいるかもしれないが、きっと、ここに収められたライブ映像を観れば、異論を唱えることはないと思う。

そして、同時に、こんなライブが日本で行われるわけはないだろうな、と達観した気分になってくる。

何の根拠もないのだが、もしスプリングスティーンが来日をして、日本のコンサート会場で日本人を相手にライブを行っても、アメリカやヨーロッパで行われているような規格外のロックコンサートには、ならないような気がする。

映画の本編とは別に、昨年の夏に、ロンドンのハイドパークで行われたコンサートの模様が、このDVDには含まれているのだが、最大の見せ場は、コンサートのアンコールで登場した特別ゲスト、ポール・マッカートニーとスプリングスティーンとの夢の共演シーンだ。

「このときを、半世紀、待ち望んでいた」というのは、ブルースの弁だが、自分の憧れていたミュージシャンと共演するときの彼は、ロイ・オービソンしかり、ジェリー・リー・ルイスしかり、ボブ・ディランしかり、そして今回のポール・マッカートニーしかり、本当にいつも嬉しそうである。

ブルース・スプリングスティーンとポール・マッカートニーという組み合わせは、自分の記憶が正しければ、そこにビリー・ジョエルを交えた三人で、以前に、ロックンロール・オブ・フェイムの式典で「ホワッド・アイ・セイ」を歌ったことがあったように思う。

ただし、コンサートに、飛び入り参加という形での共演は、間違いなくこのときが初めてである。

曲は「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」と「ツイスト・アンド・シャウト」の二曲。

ちなみにポールが「ツイスト・アンド・シャウト」を歌うのは、ビートルズのライブ以来(!!)ということらしいので、それこそ半世紀近くぶりになる。

ということは、この曲で、一本のマイクに、互いに顔を近づけて、「Well shake it baby now」とハモったパートナーは、ポールにとって、スプリングスティーンはジョン・レノン以来ということになるのだろうか。その事実に、ちょっとした感動すら覚える。

ついでに言うと、ジョンが亡くなった翌日のライブで、スプリングスティーンは、コンサートのラストを、ジョンへのトリビュートという意味合いを込めて、「ツイスト・アンド・シャウト」で締め括っている。

そして、この日のコンサートは、あまりにも長時間に及んだため、主催者側が町の条令だか、法律だかで、勝手に音響のスイッチを落としてライブを無理矢理、終了させたということが、当時のニュースになったのだが、そのときの様子も、ここでは克明に記録されていた。

ポールが舞台袖に消えたあと、しばらくすると関係者らしき人間が、険しい表情で、ステージ上のスプリングスティーンとリトル・スティーヴンに何やら耳打ちをしている。

スプリングスティーンが観客に「みんな気をつけろ。電源が落とされるみたいだ。」と告げ、場内から一斉にブーイングが起きる。

明らかにバンド側は、まだ演奏を続ける雰囲気だったのに、主催者側に水を差される格好で、あっけなくライブは終了した。

当時、海外のネットニュースのライブレポの見出しに「Hyde Park Freeze-Out」と書いてあって、思わず笑ってしまったが、(もちろん、ボスの代表曲である「Tenth Avenue Freeze-Out(凍てついた十番街)をネタにしたタイトル)良くも悪くも、この日のライブは伝説として、今後も語り継がれていくだろう。

そういえば、ブルース・スプリングスティーンのニューアルバムが、早くも来年の1月にリリースされることが決定したらしい。

現時点で内容はよくわからないが、いずれにしても、この衰えを知らぬ、彼の制作意欲には、本当に脱帽するしかない。

まだまだ、「SPRINGSTEEN & I(スプリングスティーンと私)」の旅は続くことになりそうだ。