先週、プロレス団体、DDT(ドラマティック・ドリーム・チーム)の主催する、アイドル vs プロレスの異種対バン戦を見に行ってきた。

いきなり、何のこっちゃと思うかもしれないが、去年の夏にも、この団体は、両国国技館で行われた「DDT万博」で、アイドルとプロレスのコラボレーションを実現させ、BiS、アプガ、しず風 & 絆、LinQといったアイドル達をリングに上げ、試合に参加させている。

今回の興行では、タイトルも「アップアップガールズ(仮) vs ほもいろクローバーZ」と銘打たれ(ほもいろクローバーZとは団体内のホモキャラを売りにした軍団)、前回の両国以上に、エキサイティングな展開になることを、開始前から期待させた。

ひと昔前だったら、アイドルをプロレスのリングに上げるなど、ほとんど許されない行為だったと思うが、時代は変わったということだろう。

DDTという団体は、レスラー兼社長の高木三四郎が、非常に柔軟な頭の持ち主であり、きっと彼は、プロレスの本質というものが、「何でもあり」のエンターテイメントであるこということを、理解しているのだと思う。

昨年の両国国技館での、予想以上のアイドルファンの湧きかたを見たときから、高木社長は、今回の異種対バン戦の構想を思い描いていたのではないだろうか。

新宿FACEという会場には、今回、初めて行ったのだが、現場に到着して、なるほどと思った。要するに旧リキッドルームのことか。リキッドルーム時代にも、ここでプロレスを観たことがある。

新宿FACEと名前を変えてからも、わりと頻繁にプロレス、格闘技関係の興行が行われているという話である。

ちなみに先週のアップアップガールズ(仮)は、ちょうど「セカンドアルバム(仮)」のリリース週で、連日、都内でリリースイベントが開催されていたのだが、アルバム発売日であるこの日も、やはり試合前にCD購入者を対象とした握手会が行われることが発表されており、嬉しいことに、この日の握手会は、何とリング上で行われることが告知されていた。

素人が、プロレスのリングに上がるチャンスなど滅多にないので、これは嬉しかった。ハッキリ言うと、アプガと握手をすることより、リングに上れることのほうに高まった人間は、自分を含めて、結構いるのではないだろうか。

若手のレスラーが、セカンドロープとサードロープのあいだを広げており、そこをくぐってリングインするのだが、自分がイメージしていたよりも、リングの中は狭く、またマットを踏んだ感触は硬く感じられた。

リングの上で、アイドルと握手をするというのも、非常に不思議な体験だと思ったが、本当の意味で奇想天外でキテレツな世界が展開されるのは、実際に試合が始まってからのことである。

アプガのメンバーと"週末後楽園"ほもいろクローバーZが入場し、互いにマイクを持って挑発し合うのは、まあお約束といったところか。それでも佐保ちゃんの「ゴチャゴチャ言わんと、どっちが上か決めればいいんや」というマイクアピールには笑ってしまった。

新日本プロレスのリングで、以前、前田日明が言ったセリフを真似したわけだが、佐保本人が、こんなセリフを知っているわけがないので、きっとプロレスに詳しい身近なスタッフが、今回のイベントの絵図を描いているのかなと思った。

もっとウケたのは、メンバー最年少の新井愛瞳が、悪徳マネージャー「将軍KYマーナ」に扮し、覆面レスラー、アップアップマシン(仮)を率いて登場したことである。

元ネタは、もちろんストロングマシンだが、アプガのメンバーも、全員がマシン風のマスクを被り、セコンドについている。

自分達が何をしているのかを、メンバーがどこまで理解しているのか、甚だ疑問だが、プロレス好きのアプガファンは大喜びで、まぁなも、相手レスラーに中指を突き立てたりして、完全にその気になっている。

セコンドについているアプガメンバーも、場外に戦場が移ると、相手レスラーの飯伏を取り囲み、「凶器」のハリセンを手に全員で襲いかかる。

元IWGPJr.チャンピオンが現役アイドルに、ハリセンで滅多打ちにされているというのも、何やらすごい光景だが、これがエンターテイメントとしてのプロレスの持つ、本来の面白さである。そして、アプガのメンバーも、そういったプロレス心を、非常によく心得ていた。

プロレスの試合が、2試合終わると、アプガのライブがスタートし、ときにそれは、メンバーが舞台の上から花道を渡り、リングの上でも、歌ったりするのだが、リングの真下から、ロープ越しに、アプガのライブを観るというのも、なかなかオツなものである。

ちなみに場内は自由席だったのだが、プロレスファンは、ほとんど着席して観ていたが、対して(仮)Tを着ているような人たちは、リングの周りを取り囲むように、スタンディングで観戦していた。

ほもクロZのリーダーである、男色ディーノも、思いっきりハレンチな試合で、会場を沸かし、最後はアプガのメンバーと、出場したレスラー全員が、リング上で互いの健闘を称えあい、大円団を迎える。

そして、アンコールでは、アプガがステージの上で「アッパーカット」を歌う中、アップアップマシン(仮)2号に扮した高木社長と、(仮)Tシャツを着たレスラー全員が、バトルロイヤルばりにリングの内外で大暴れする。混沌とした状況に、観客は大盛り上がり。

曲のエンディングに合わせて、最後は高木社長が、相手レスラーからスリーカウントを奪い、フォール勝ちする。

最初から最後まで、本当に楽しい興行だった。

ブログを読むと、メンバーも、かなり楽しめたみたいで、次に開催するときは、是非、メンバーにも、マッチメイクに名をつらねてもらい、リングの上でで試合をしてほしい。
ブルース・スプリングスティーン、通算18作目のオリジナルアルバムである。

毎度のことながら、日本国内ではまったく盛り上がっていないが、全米、全英ともに、アルバムチャート初登場1位を獲得。

とくにアメリカでは、今回の作品が、11作目の首位獲得にあたり、これはアルバムの全米1位獲得数でいえば、歴代三番目の大記録だとか。(ちなみに1位がビートルズで2位がJAY-Zらしい)

今回も、通常盤と限定盤があり、限定盤には、昨年、ロンドンの「HARD ROCK CALLING」で、予告なしに行われた、アルバム「BORN IN THE U.S.A.」の再現ライブのDVDが収録されている。

もちろん、今回のニューアルバムと、「BORN IN THE U.S.A.」の再現ライブには、何の関連性もなく、これらを抱き合わせて、リリースする意味がよくわからないが、強いて言うなら、今年は「BORN IN THE U.S.A.」のリリースから、ちょうど30年目にあたるので、それのメモリアルといったところか。

全12曲の中には、純然たる新曲以外にも、過去にレコーディングした既発曲の再録音、他人の曲のカバー、そして、これまでライブでのみ歌われていた楽曲の、スタジオバージョンなどが含まれている。

キチンとしたデータが記載されていないので、はっきりしたことはわからないが、録音された時期も、それぞれバラバラのようである。ただし、録音時期が異なっていても、聴いていて、それほど違和感を感じることはなく、アルバム全体を通して聴くと、不思議な統一感がある。

そして、このアルバムの音楽面での、いちばんの特徴は、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのギタリストであるトム・モレロが、多数の曲に参加していることだ。

例のエフェクターを駆使した特徴的なギターの音色が、新旧の音源に被せられることにより、それが良くも悪くも、このアルバムの印象を決定付け、中でも、今回、セルフカバーされた「ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード」の新録音は、ブルースのボーカルとトムのギターとがぶつかり合うことによって、強力な化学反応を起こし、全トラック中、いちばんの目玉といっていいだろう。

しかし、これまでのスプリングスティーンというか、Eストリート・バンドの音の要であった、ロイ・ビタンのピアノのアタック音が、完全にトムのギターに負けてしまい、曲によっては、スプリングスティーンがレイジをバックに歌っているようにも聴こえる。

スプリングスティーンの曲なのに、スプリングスティーンの音になっていないとでも言うべきか。…今回の新作「HIGH HOPES」を聴いたとき、「何か違う」と感じたのは、そこの部分だった。

一方で、ベテランミュージシャンにとって、非常に便利な逃げ道である「円熟」というスタイルに向かわず、60代も半ばに差し掛かろうかという年齢にして、今なお、こうした新しい音に挑戦し、追求しようという音楽的な姿勢は評価すべきだと思う。

しかし、やはり何か違うのだ。

ところで、今回のアルバムに収録されたセルフカバーである「アメリカン・スキン(41ショット)」と「ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード」を、ブルース自身は「キャリア史上最高の楽曲たち」と語っているようだが、この2曲、そんなに優れた曲だろうか。

2曲とも、社会的なメッセージ性を帯び、アメリカの「負の部分」を、鋭く抉(えぐ)った曲だとは思うが、そんなに良い曲だろうか。

…どう考えても、自分には平均以下の曲にしか思えないのだが。

他の曲にしても、今回のオリジナル曲は、全体に印象が薄く、皮肉なことに、この作品で、ブルースがカバーした他人の曲の中には、優れた楽曲が多く、それらのカバー曲によって、どうにかアルバム全体が、一定のクオリティを保っているようにも思える。

今回のツアーでは、トム・モレロもメンバーとして、同行しているはずだが、ライブでは、はたしてどういう音に仕上げているのだろう。

ツアーの初日である、ヨハネスブルグでのコンサートのセットリストをみると、アンコールで「SHOUT」とあるが、おそらくこれは十中八九、アイズレー・ブラザーズの「SHOUT」を演奏したのだと思うが、はたしてトム・モレロのギターの音で、こんな曲を演奏して、大丈夫なのだろうか。

音を聴いてみないことには、何ともいえないが、今度のライブは、あまり過度な期待はしないほうがいいような気がする。

今回は、どうも、ネガティヴな感想ばかりになってしまった。
CHANCEグループからの派生ユニット、CHANCE的IDOL=CHANDOL(チャンドル)が、今年からCHANDOLL(チャンドール)に改名し、新年一発目のライブである。

赤坂の現場に到着すると、開場を待つ客の行列が、今まで見たことのないような長さになっていたのに驚いた。

おそらく30人くらいの人間が、表に並んでいたように思うが、こういう光景を目の当たりにすると、少しずつだが、ここでの彼女達の活動の成果が、目に見えるようなかたちで実を結んできたような気がして、嬉しくなってくる。

去年の今頃に、この場所で観客動員が4人という、演者よりも観客の数が少ないという、空前絶後のライブを体験している身からすると、たかだか30人程度とはいえ、この階段の外まで続く人の列なりには、感激してしまった。

場内に入ると、受付の位置が微妙に変わっていて、客席に置かれた椅子の数も、今まで見てきた中で、この日がいちばん多かったような気がする。最終的には、50人位の観客がいたのではないだろうか。

また、今回から、開演前の舞台に、白い幕が張られていたのも、ちょっとした変化だった。

ライブが始まり、CHANDOLからCHANDOLLに改名した理由が、何であったのかを理解するまで、さほど時間はかからなかった。

もはや、これはチャンドールによる東京パフォーマンスドールのトリビュートコンサートである。

オープニングの「OVERNIGHT SUCCESS」から、アンコールの「CAN'T STOP THE MUSIC」まで全13曲中、11曲がTPDナンバーという驚愕のセットリスト。

これが、はたして良いことなのか、悪いことなのかという問題は後述するが、当然、このライブの要(かなめ)であり、軸になってくるのは中川雅子、徳永愛の元TPDメンバーである。

前記した二曲以外にも、「JUST LIKE MAGIC」、「ブキウギ・ダンシング・シューズ」といった定番曲、さらには「NATURAL LOVERS」、「I'M SO EXCITED」といったレア曲が、大胆にも取り上げられていた。

そんな中、自分にとって、もっとも意味深かったのは、19年ぶりに「ラッキー・ラヴ」を生で聴けたことだった。

イントロがかかった瞬間、思わず声にならないような声を発してしまったが、イントロの数秒間だけで、ここまで高揚感を与える曲が、他に存在するだろうか。

昨年、この場所で、やはりチャンドルの「GO WEST」を聴いたときも異常に高まったが、「ラッキー・ラヴ」の破壊力はそれに匹敵するか、あるいはそれ以上である。

この二曲に共通して言えることは、もう二度とライブで観ることも、聴くことも出来ないだろうと、諦めていた曲だということ。

いや、ホントに…!! 「ラッキー・ラヴ」のリードボーカルがスズでなく、マチャコだったら、オレは人目をはばからず号泣していたかもしれない。

誤解のないように言っておくと、スズの「ラッキー・ラヴ」がダメなわけではなく、マチャコが21年前に、RUIDOで歌った、当時の雅子様御成婚にひっかけた同曲のインパクトが、オレの中であまりにも特別すぎたので、あれと比較すると…という意味である。

ライブの終盤には、これまた驚きの選曲で、ついに「BAD DESIRE」までもが解禁される。

そして、この曲のボーカルを務めたのが、この日がCHANDOLLデビュー戦の、新メンバー、新谷さや香である。

おそらく彼女は、この曲がTPDのライブにおいて、どういうものだったのかを何も知らないだろう。

つまり、ほとんどワケがわからすに歌っていたのだと思うが、意外なことに、彼女の歌う「BAD DESIRE」は、それはそれで悪くない。というよりも、歴代の「BAD DESIRE」にはないような妙味というか、不思議な味がある。

同時に、今後、彼女がこの曲を歌い込んでいくうちに、さらに良くなっていくような気がする。

今回のライブを見て、ルックスを含め、結構、彼女のことを気に入ってしまったかもしれないww

そして、ラストはとどめとばかりに「WEEKEND PARADISE」が披露されたわけだが、アンコールの「CAN'T STOP THE MUSIC」を含め、とにかく今回のライブは、長年のTPDファンとしては、お腹が一杯になるようなメニューであった。

もちろん、チャンドールには、かつてのTPDのような凄みはないし、今回の公演にしたって、当時のTPDのライブほど、様式として完成されているわけではない。

それでも自分は、限りなくTPDのライブの近似値を導き出した、この公演の内容を、全面的に支持したい。

ひとつ間違えると、単なる懐メロ大会になりかねない危険性を伴ったライブでもあったが、決してそういう展開にならなかったのは、TPDナンバーの持つ異様なパワーと、中川、徳永の現役感が、いまだ衰えることなく健在だったからだろう。

そして、チャンドールが、TPDの代用品として、この先も、ずっと同じように機能していけばいいのかといわれれば、乱暴な言い方をすると、自分はそれでもいいと思っている。

ポール・マッカートニーのコンサートのハイライトが、いまだにビートルズナンバーであり、観客がそれを求め、支持しているのは、ポールがビートルズのメンバーであったからに他ならない。

それと同列に扱うのも、ムチャな話かもしれないが、少なくとも、元TPDメンバーがこのグループにいる限り(つまり中川と徳永)、TPDナンバーを取り上げることに、オレは何の異論もない。

こうなってくると、木曜日のセットリストが、どうなるのかも非常に気になるところだが、今週の木曜は、とても赤坂に行けそうにないので困った…。