※37話までのネタバレあり
久しぶりに進撃の巨人(Season2)を見る。
女型の巨人、アニを捕らえ更なる脅威の摘発に臨む調査兵団。しかし、突如として壁内に巨人が出現し、内通者の嫌疑をかけられ監視下にあったエレンの動機たちとの接触は困難となる。混乱に乗じ、渦中の内通者は行動を開始する。
第一期の前半は、訓練兵VS多数の無垢の巨人の乱戦。後半は調査兵団VS女型の巨人の強力な一体を多数で相手取るレイドバトル的作劇で展開された。続くSeason2ではまたも大胆な作風の転換が試みられる。
Season2は閉鎖空間の夜におけるホラー映画的な生存競争が展開される。立体機動を封じられた同期たちは明かりを頼りに、闇に潜む巨人の脅威をかいくぐらなければならない。今回新たに焦点が当たるライナーのリーダーシップが際立つ。
第一期の時点から、巨人の脅威はどこか「ゾンビ」的と考えていた。うなじという分かりやすい弱点があり、日中に活動を活発化させる。ルールの定まった脅威を、限られた装備で潜り抜ける生存競争は『ウォーキング・デッド』等に代表される「ゾンビ映画」的だ。
元々アクション作品だったものがホラー作品へ転換するというのは『ジュラシック・ワールド/炎の王国』を思わせる。焦点を絞ることで既存の無垢の巨人を扱いつつも、これまでとは異なる脅威の側面を掘り下げる作劇は巧妙だ。敵が脅威であるほどに物語のボルテージは上がるからだ。
そして、絶望の一夜を潜り抜けたタイミングで最悪の事実が判明する。頼れるリーダーシップを体現してきたライナー、及びベルトルトこそが内通者だったのだ。味方の中に敵がいる、というのはありふれたプロットだが本作はその演出とタイミングが巧妙だ。ライナーのリーダーシップをいかんなく描写した直後に正体を明かすことで、視聴者を絶望へ突き落す。エレンの抱く絶望と、視聴者のそれが完全にシンクロする。
友の裏切りを直視し、それでもなお戦う決意を固める。青春群像劇としては、このエレンとライナーの決別は決定的な名場面だ。
Season2はミステリー的側面も重要だ。突如として壁内に現れた巨人という謎の定義より始まり、侵入の痕跡が壁に見られない、襲撃を受けたはずの村に、人の痕跡はなく、また避難に有用なはずの馬が繋がれたままである。徐々に違和感が描写され、「最悪の結論」へと視聴者を誘導する演出にはくぎ付けとなる。
真相に近づくにつれ、激化する戦いの中、策士としての役割を担いつつも渦中に身をさらすアルミンそしてエルヴィン団長の雄姿は物語を力強く牽引する。彼らはいわゆるマンガ的な師弟関係ではないが、エルヴィンの決断を受け、自分なりの方法でその方法論を昇華するアルミンの変革の描写は新鮮でありつつ興味深い。
そして、ハンネスの犠牲と告げられるミカサの想い、エレンの覚醒。それぞれの感情の頂点がここに極まる。
Season2を総括するなら、それまで各自が抑圧してきた想いが「発露」する瞬間であり、積み重ねた経験に基づく力が「覚醒」する瞬間なのだ。
八面六臂の作風の転換を経て、世界にまつわる謎の探求は佳境へ。「覚醒」の時は近い。
