FINAL FANTASY VIII(1999)
ファイナルファンタジー8
※ネタバレなし
【シリーズの異色作】

大人気RPGシリーズ、ファイナルファンタジー。特に代表的なのがユーザーからの熱い支持を受け、現在においてもリメイク三部作が展開中のFF7ですが(私はFF7も好きです)、今回紹介するのはシリーズ屈指の異色作として知られるFF8。
主人公のスコールは傭兵育成施設「バラムガーデン」の主席の生徒として登場。身寄りはなく、また、過去のとあるトラウマから人とのかかわりを避け、天才的な戦闘技術と熱意を、ただ戦闘のみに注ぎ込み、自分の殻に閉じこもる性格。卓抜した戦闘技術と判断力から関わる人々から一目置かれるものの、彼自身は誰にも心を開きません。
本作は、そんな彼が、傭兵「SeeD」昇格試験に合格して、傭兵として世界各地での任務へ向かうところから始まります。孤独な青年が仲間とのかかわりを経て成長していく、しかしそんな彼の進む道に、世界征服を目論む魔女「イデア」の野望が影を落とす・・・
【未熟な若者達の成長ドラマ】

上述したあらすじから本作が王道という印象を受ける方も多いでしょう。確かに、本作シナリオの試み自体は王道です。ただ、演出のアクセルの踏み抜きっぷりが、本作を個性的な異色作として成立させます。
まず、スコールの性格。徹底して悲観的、余りにも現実主義。任務の達成を最重要視するあまり、仲間との交流や雑談を余計なものとして切って捨てにかかり、主人公にも関わらず、チームの空気を悪化させます。
過去のトラウマから対人関係に臆病、また、チームを守る立場からの余裕のなさに起因するもので、本人に悪気はないのですが・・・
そして、彼と対比されるのがヒロインのリノア。彼女はレジスタンスのメンバーであり、目的を同じくするスコールと同行。彼女は圧政に苦しむ街の解放のため立ち上がり、また、人と人の繋がりを重視して気配りもします。スコールとは好対照。
ただ、リノアもまた未熟な面があります。あまりに周りに気を使いすぎ、目につくもの全て守ろうとする彼女は、時に残酷な選択を迫られる戦場にあって、足並みを乱してしまいます。また、人の役に立ちたいという善意から、後先考えない行動を行い、結果としてチームを窮地に追い込んでしまう場面もあります。
「現実論」を重視しすぎるスコール
未熟な「理想論」のリノア
好対照な2人の対比で物語が進みます。
本作を、課題に立ち向かう活劇としてみた場合、2人の未熟さにやきもきしてしまうこともあるでしょう。その側面が本作を賛否両論としてしまう面もあります。
しかし、若き未熟な2人の成長譚として本作を見ると、とても丁寧に心理描写が構築されていることが分かります。
スコールとリノア、それぞれの現実論と理想論は序盤では対立するものとして描かれますが、共に過ごす中で、お互いを補い合うものへと意味合いが変わります。
スコールは、人との繋がりの大切さを学んで行き
リノアは、時に現実的な選択の必要性を学ぶ
未熟な二人が関わり合いの中で成長していくドラマはとても瑞々しく、感動的なものです。
そして、成長していく2人に、やがて訪れる残酷な運命。彼らの下す決断とは・・・
【シナリオの工夫と壮大な世界観】

未熟な若者たちの成長ドラマが時間をかけて描写される本作ですが、更なる仕掛けもあります。物語の合間合間にラグナという謎の青年と彼の仲間たちのドラマが挿入されます。ラグナはスコール達より一回り年上の男性。
彼とはかけ離れた陽気で豪快な性格。スコール達の未熟な若者のドラマと、ラグナと仲間達、年長者の完成された関係性は好対照。後半に明かされる二つの物語の繋がりは驚きのものです。
ファンタジーらしい自由な語り口、多彩な方法で最大限、人間心理を掘り下げるのが本作の持ち味と言えます。
そしてやがて訪れる魔女との決戦。その背後に展開される数千年にわたる因果。
若者の等身大の葛藤という焦点を絞った成長ドラマ。
魔女の背後に渦巻く壮大な因縁のドラマ。
本作のドラマ、ひとたび引き込まれれば、際限なく楽しめます。
【ゲームシステムも斬新!】

そんな個性的なシナリオに負けず劣らず、ゲームシステムも個性的。
本作の主人公たちの衣装は、シリーズ初期の中世的な鎧と異なり、現代的な服装。それに合わせる形で、彼らも鎧を装備するということはありません。代わりに、防具として魔法という実態ない概念を装備します。これが「ジャンクション・システム」。
本作において魔法は消耗品のアイテムであり、また装備できる防具でもあります。
数の限られる魔法を武器とするか、防具とするか。その選択。
慣れるまでは難しいですが、ひとたび理解すれば、戦略性あふれる斬新なシステムです。
とにかく、シナリオ、システム、キャラクターにおいて癖の強い本作。本作を強くオススメしたい私でも、万人にオススメとは言いづらい。様々な評価のあるff8ですが、私は面白いと思います。ひとたびハマれば人生の心に残る1本となるはず。機会があれば是非プレイしてみてください。
【関連作品紹介】
本作をプレイして気に入った方には、ディシディアシリーズがオススメ。

PSPの第一作「DISSIDIA FINAL FANTASY」にはスコールとアルティミシアが登場。両名はFF8本編の技をスタイリッシュにアレンジして躍動。シナリオに直接登場はないものの、リノアとの絆を示唆する一幕もあります。

PSPの第二作「DISSIDIA 012 [duodecim] FINAL FANTASY」には追加でラグナも参戦。シナリオにおいてはスコールと本編以上に踏み込んだ関わりが描かれます。
更に本作ではアルティミシアの新衣装としてイデアの姿が実装され、FF8仕様のコスチュームのギルガメッシュも操作できます。FF8からの正式な参戦キャラは3人ですが、見栄え上は5人のFF8キャラが存在することに。FF8ファンとしては非常にアツい一作。

PS4で展開中の「DISSIDIA FINAL FANTASY NT」にはリノアが愛犬のアンジェロと共に参戦。本編の技のアレンジや新衣装など見どころも多く、シナリオ中のユウナやロックといった他作品キャラとの共演も必見です。
更に本作では武器のスキンの切り替えが可能。スコールの武器の一つとしてサイファーの使用するガンブレードが実装。FF8本編でも見られなかった、ライバルの武器を使用するといったことも可能に。また、本作ではキャラクターの攻撃や魔法エフェクトがより原作に近づきました。細かなこだわりも光る一作です。





