King's i-Fianchetto d4 d5 | Thousand Days

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さうざん-でいず【千日手】
1. 同一局面の繰り返し4回。先後入れ換えてやり直し。
2. 今時珍しく将棋に凝っている大学生の将棋系ブログ。
主に居飛車党過激派向けの序盤作戦を網羅している他、
雑学医学数学物理自転車チェス等とりとめのない話題も…

※前回の記事『The Way of the Dragon』


チェスは精神の拷問。

Г.К.Каспаров



1. Nf3 Nf6 2. g3 g6
3. Bg2 Bg7 4. 0-0 0-0
φ

…ここから始めるチェス、相フィアンケット。
(昔書いた戦型紹介には出てこないが、大変よくある。ペンギンハイウェイの映画とか)
図面は白番で統一しており、原則白黒1手ずつ進む。

白も黒も同じ側にキャスリングすると、将棋でいう「対抗形」「ヨコの将棋」になる。
次はd4~c4~Nc3で中央を獲りにいくのが白番を活かす最も普通の指し方だと思う。

もしd5~c5(~Nc6)と先着されてもd4(~c4)と反撥して Reversed Grünfeld にできる。
黒番の有力戦法を白番で使えて一手得も大きく、少なくとも白が悪くなることはない。

King's Indian (Yugoslav / Panno / Classical): d6と低く構えてc筋やe筋で突っ張るか、
Grünfeld: d5でd筋を突っ張るか黒はほぼ二択だが…今回は後者に絞って調べてみる。


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φ...
5. d4 d5 6. c4 dxc4
7. Na3 Na6 8. Nxc4 c5
9. b3 Bf5 10. Bb2 Be4
11. Rc1
+/=

まずは単純にc-Pawnを取れれば話は早いが若干筋悪で、
Na3~Nxc4のコースで味よく取り返されて (Ne5と居座られても追えないしで) 困る。
kNightの利きがあってb5も指せないので防ぐ手がない。

以降はdxc5と取らずBb2~Rc1で中央、c筋を制する。Be4は許すが少し白良さげ。
7. Na3 Nc6 8. Nxc4 Be6 9. b3 Bd5 10. Bb2 a5 11. Rc1...も白十分。


φ...
5. d4 d5 6. c4 dxc4
7. Na3 c3 8. bxc3 c5
9. Re1 Nc6 10. Bb2 Nd5
11. e4
+/=

どうせ取られるならとc3~c5でPawnの形を乱しにいくのが手筋で、これは難しい。
いつでもe4を突けるようRe1は指したいが、次にすぐe4だとBg4が気持ち悪すぎる。

一見悪形ながら先にBb2と捌いて待てば、白枡Bishopの出先に合わせて対応できる。
(10...Bg4にはh3 / Be6はe4 / Bf4ならd5~e4のつもり)
10...Ne4もQc2と当て返せばどうということはない。


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φ...
5. d4 d5 6. c4 c5 χ

次は完全真似将棋で対抗してみる。
これには 7. dxc5とQueenの利きを通しつつ外向きにPawnを取るのが最善だと思うが、
対称形だし黒の反応も色々あるしで順を追って考える。


χ...
7. dxc5 dxc4 8. Nc3 Nc6
9. Qa4 Qa5 10. Qxa5 Nxa5
11. Rd1
+/=

真似将棋続行。Qxd8にはRxd8の取り返しが幸便、Bishop出もkNightに狙われる…
かと思いきやQueenを端に出て先に取ることで対称形を崩すQa4~Qxa5があった。

零手で黒のkNightを僻地a5に飛ばし、Nc6と一手掛けて戻らせれば手得が増幅する。
その間にRookが先着1名様?の急所d筋に行けて、これは白がうまいことやっている。

※黒から 8...Qa5なら Qd4 Nc6 Qxc4 Be6にQh4かQb5だが、限りなく互角。
白は先後逆の 8. Qa4 Qd5...も、8. Na3 c3...も 7. cxd5 cxd4...も選べるが大体互角。


χ...
7. dxc5 Nc6 8. Nc3 d4
9. Nb5 e5 10. Nd2 Nd7
11. Ne4
+/=

抵抗案そのに。
素直に取り返さず、Nc6~d4と力強く突き出してみる。
(なお 8...e6で下から受けるのはBf4~Bd6と侵入される隙を生じており却って危ない)

しかし今度はNc3~Nb5と裏側から数を足す手がある。
真の狙いはNd6の潜入制圧で、Nd7でもNe8でもNd2~Ne4の増援もあって受からない。


χ...
7. dxc5 Nc6 8. Nc3 d4
9. Nb5 Nh5 10. e3 dxe3
11. Bxe3 Bxb2 12. Qxd8 Rxd8
13. Rad1
+/=

d-Pawnを守るもうひとつの手段はNh5だが、これには展開の遅れを衝く大捌きがある。
d筋でRad1と対抗すれば、Nc7でBe6を、Nfd4でBf5を封じられ黒は手に窮している。


χ...
7. dxc5 Na6 8. Nc3 dxc4
9. Qa4 Nxc5 10. Qxc4 b6
11. Rd1 Qe8 12. Be3 Bb7


抵抗案そのさん。Na6~Nxc5とPawnを取り返せばすぐ手損はしない。しないのだが…
今度は白にQxc4~Be3とkNightを攻めてこられて困る。


13. Bxc5 Rc8 14. Qa4 Qxa4
15. Nxa4 bxc4 16. Rac1 Ne4
17. Nd2
+/=

…手順が長くなってしまった。
黒はRc8とピンの受けで抵抗できるものの、黒のc筋がいつまでも標的になっている。


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φ...
5. d4 d5 6. c4 Nc6
7. cxd5 Nxd5 8. e4 Nb6
9. d5 Na5 10. Qe1 Nac4
11. Nc3 e6 12. Bg5 f6
13. Bc1
+/=

Nc6~Nxd5~Nb6と並べるのが、Grünfeld本来の駒運び。
本譜はQe1でNc3に紐をつけ、b3を突きやすくしている。
c6やQd6はb3で悪いので黒e6だが、Bg5と覗いてQf6を消すのが急所で白有望。

※本線はむしろ8. e3...の途中下車らしい。(黒e5と脇を上げた瞬間、d5~e4と突く)
7. Nbd2 Be6 8. b3 Ne4 9. Bb2 Nxd2...は恐らく互角だが、
7. Na3 Bf5 8. Ne5 Be6 9. b3...なら個人的には白持ち。


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φ...
5. d4 d5 6. c4 c6 ψ

結局のところ、c6と一旦下手に出るのが最有力らしい。
地味に白の角行Bishopを抑える防波堤になっているし、
向こうからcxd4と取らせれば同形鏡戦法を再開できる。(Pawn取りを保留する順は後述)

以降は 6...c6の局面を基本図に改めて、進めていく。
なお、ここまでの手順は全く違うが純正の Grünfeld defense でも全く同じ局面になる。
(1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. g3 c6 4. Bg2 d5...)


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ψ...
7. cxd5 cxd5 8. Nc3 Nc6 ω

この戦型、黒はバランスを保つためある程度は真似将棋風に指さざるを得ないのだが…
このNc6のところではNe4と動くべきという説もある。
しかしまずはどう見ても自然なNc6から調べてみたい。


ω...
9. Ne5 Ne4 10. Nxc6 Nxc3
11. Nxe7† Qxe7 12. bxc3 Be6
13. Qb3
+/-

Ne5にNe4から一直線の取り合いは流石に後手無理で、
上記の手順…所謂「投げ捨てコンビネーション」があって純粋なPawn損になる。
(もっと派手派手しく勝つ長い手順もあるが割愛する)


ω...
9. Ne5 Ne4 10. Nxc6 bxc6
11. Nxe4 dxe4 12. Be3 Bf5
13. Rc1
+/=

結局bxc6と手を戻すよりないのだが、このPawnが弱いため以降も苦労が絶えない。


ω...
9. Ne5 Bf5 10. Be3 Qb6
11. Nxc6 bxc6 12. Na4 Qb7
13. Rc1


Bf5はNh4と当てられなくなった好所好機に駒を活用しRc8を作っていかにも自然な手。
白はd-Pawnが弱い。黒は現状b筋とd筋が弱く、Nxc6を利かすとc筋が弱くなるので…

Be3でQueenを解放し、Qb6ならそこでNxc6が手順。(Qxc6にはBg5〜Rc1が強い)
黒e6はh3やf3でBishopが狭く、Ng4 Nxg4 Bxg4も Bxd5 e6 Bxc6で問題ない。


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ψ...
7. cxd5 cxd5 8. Nc3 e6
9. Ne5 Nfd7 10. f4 Nxe5
11. fxe5 Nc6 12. e4 dxe4


e6は一見弱気なようで、d-Pawnを固めてNe5にNfd7とぶつける準備になっている。
白もフィアンケットの形を活かしてf4で支え、e4と突き捨てるのが捌きの筋である。

大決戦を避けるなら 11. dxe5 Qb6† 12. Kh1...や 10. e4 Nxe5 11. dxe5...
などの変化も考えられ、別段それで悪い気もしない。

10...f6は 11. Nd3 Nc6 12. e3 f5 13. Ne5で不満なし。
10...Nc6もBe3~Bf2~e4と組んで白指せる。(1-0 Karpov - Kamsky, Moscow 1992)


13. Be3 f5 14. exf6e.p. Rxf6
15. Nxe4 Rxf1† 16. Qxf1 Bxd4
17. Bxd4 Nxd4 18. Re1 e5
19. Qf6
=

16...Nxd4は悪手で 17. Rd1 e5 18. Ng5が炸裂して死ぬ。
(1-0 Kasparov - Nunn, Brussels 1986)

本譜は最善の応酬のひとつ。理論上は引き分けだが黒を持って指しきるのは大変だ…


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ψ...
7. cxd5 cxd5 8. Nc3 Ne4 Ω

黒が確実に互角のワカレを得るには、Nc3~Ne5~f4の駒組みを妨害した方が良い。
状況にもよるが具体的にはNe5にNfd7やNg4で駒をぶつけるか、逆にNe4と出るか。



Ω...
9. Nxe4 dxe4 10. Ne5 Qd5
11. Be3 Nd7 12. Qc2 Nxe5
13. Bxe4 Qc4 14. dxe5 Qxc2
15. Bxc2 Bxe5 16. Be4 Be6
=

…見るからに互角の形となった。黒は何だかんだで対称性を保てそうな気がする。
(1/2-1/2 Kosyev - Yandemirov, St Petersburg 2001)

11. Bf4 f6 12. Nd3 Nc6 13. Rc1 f5...も、次にQf7〜e5を見て黒十分。


Ω...
9. Ne5 Nxc3 10. bxc3 Nc6
11. Nxc6 bxc6 12. Qa4.Qb6
13. Ba3 Qa6 14. Qxa6 Bxa6
=

Nc3~Ne5だと白のc筋も薄くできる。ここまで削れば同形にしてバランスを保てる。
…以降もRfb1やRfe1で戦いは続くが、黒は慎重に指せば引き分けに持ち込めそう。

9. Ne5 Bf5 と支える手が現在の本線とされる。(白がどの手を省いても合流可能)
白のNc3や0-0省略には、黒もNe4と跳ぶ前にBf5と出ておいて変化の余地がない。


ψ...
7. cxd5 cxd5 8. Ne5 Ne4 =

なおNc3を省くとd5のPawnに圧力が掛からないので…
9. Nd2や 9. f4にNd7と跳ぶ手が通る。後にNdf6やNb6と活用しやすく、大変良い形。

結局 9. Nc3より良い手がないので前述の変化に合流して、引き分け模様に落ち着く。


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ψ...
7. Nc3 dxc4 8. e4 b5

7.cxd5とc-Pawnをすぐ換えるのは、上述の手順で引き分けやすそうな雰囲気だった。
中央の形を保つなら Nc3, Na3, Nbd2, b3, Qb3などがあり、中でもNc3は最も積極的。

…しかしいくら中央に位を張っているとはいっても、
Pawn損を取り返せないのはさすがにどうなんだろう。
8. Ne5とこちらからPawnを取りに行くのもd4が薄くなるため、8...Ng4の督促が厳しい。


9. Re1 Na6 10. Ne5 Bb7
11. a4 Nc7 12. Be3 Qc8


概ね互角とはいえ、今までとは逆でむしろ黒が主導権を奪い返せている気もする。
勝ちにいくなら 11. a4 b4 12. Nb1 Ne8 13. Nxc4 Bxd4 14. Bh6 Nc5! はあるかも。

※まず 9...Bg4と排泄して、次にほぼ何でも e5 dxe5 Nfd7を狙うのが最も簡明。
10. e5 Nd5 11. a4 Qa5 12. Bd2 b4...も問題ない。


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ψ...
7. Na3 Bf5 8. Bf4 Be4
9. Rc1 Nbd7 10. Qd2 Re8


(1-0 Aczel - Kojima, Leanyfalu 2019)

Na3は中央を遮らずにc4を守った手だが、中央に利かないのでBf5~Be4と構えたい。
PawnでもkNightでも追われる心配がないし、白枡Bishop同士の交換は黒歓迎である。


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ψ...
7. Nbd2 a5 8. b3 a4
9. Bb2 Ne4 10. bxa4 Nc5
=

Nbd2はc4を手堅く守った手で、放っておくと次のb3突きが強力になってしまう。
これには普通の展開もありそうだが、Nc3が消えたしa5~a4で一間飛車を指したい。

bxa4と取っても白に支える力はないのでQa5からすぐ回収できるし、捨てても良い。
そしてBb2にNe4と出るのが急所。次のa3が厳しく、Nxe4 fxe4 Ne5もf6で即死ぬ。

Bishopの透過性が亢進しているため、Ne4の後はc5やNc5みたいな技もよく掛かる。


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ψ...
7. b3 dxc4 8. bxc4 c5 β

即座にb3を突かれてみると、一間飛車にNc3と形良く応じる余地があり悩ましい。
(7. b3 a5 8. Nc3 Ne4 9. Bb2 Nxc3 10. Bxc3 Nd7...はあるが、端攻めは難しそう)

元気に指すならdxc4~c5で間接的にRookの小鬢を睨み、Bb2にQb6…これしかない。


β...
9. e3 Nc6 10. Bb2 Qb6
11. Qe2 cxd4 12. exd4 Bg4
=

中央の白Pawnは迫力があるもののこれでほぼ互角か。
以下は例えば 13. d5で押し潰されてしまいそうだが、
カウンター含みの 13...e5でバランスを保てている。(平和的に 13...Na5でも多分大丈夫)


β...
9. Bb2 cxd4 10. Nxd4 Qb6
11. Qb3 Nfd7 12. e3 e5
=

単にBb2~Qb3なら、Nfd7~e5と先手先手で利かせて白は少なくとも先番の利を失う。
11. Qc1 Bd7...も以下Nc6〜Rac8〜Rfd8と組みにいって、黒が互角以上に戦えそう。


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ψ...
7. Qb3 Qb6 8. Nc3 Rd8

Qb3はプロ好み(?)の応対だが、黒もQb6と応じて一触即発にするのがこの場合の形。
Qxb6 axb6 cxd5 Nxd5...はb6に特段攻めがなく、飛車先も開けてむしろ有難い。

c5には Qxb3 axb3 Na6 Ra4 Nd7 b4 b5...の要領で、白b4~b5さえ封じれば良い。
他の手にも黒Be6でc5を強制できるが、将来の黒e5突きも面倒になるので要注意。

※稀なQa4にはNfd7が形。cxd5にはNb6〜cxd5〜Nc6と並べておいて黒充分。
Nfd7にQc2の一手損組み直しなら dxc4 Qxc4 e5...と単純に捌いても互角にはなる。


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(p.s. '19/04/27)


1. Nf3 Nf6 2. g3 g6
3. Bg2 Bg7 4. 0-0 c5
γ

本来の基本図は 4...0-0だったが、d4を待ち構える 4...c5の構えもまた大変手強い。
c3~d4と下手に出るのは白番としてどうかと思うし、
d3やb3も本稿と異なる世界観を要求されるため割愛。

d4とc4を両方先着すれば回避でき、c5にd5と突き出して Benoni / Volga になる。
4. d4 c5 に 5. dxc5 Qa5† や 5. d5 b5 を不満と見れば、
5. c4 d5 6. Nc3 0-0. 7. dxc5 Qa5...辺りが相場だろう。

※以下 8. 0-0 dxc4 9. Qd4 Nc6 10. Qxc4 Be6...や、
8. Qa4 Qxc5 9. Be3 Qxc4 10.Qxc4 dxc4 11. Ne5 h5...
で互角。(7. cxd5 Nxd5 8. Nxd5 Qxd5 9. Be3 cxd4 10. 0-0 Nc6 11. Nxd4 Qc4...も)



γ...
5. d4 cxd4 6. Nxd4 d5
7. c4 0-0 8. cxd5 Nxd5
9. Nc3 Nb6 10. e3 Nc6
11. Nxc6 bxc6 12. Bxc6 Rb8
=

d4を即取れるのが今までの変化群との大きな違いで、
白kNightの着地点となり得るNc6を省いたのも工夫。
白がc4やcxd5を省くと、e5~d4やdxc4で黒のd-Pawnが生還したり活躍してしまう。

12. Qc2 Nd5 13. Rd1 Bg4...も 11. Qe2 Bd7...も 10. Ndb5 Nc6 11. Bf4 Bd7...も、
白のPawn得となった結果図も(Be6~Nc4でb筋への圧力が絶大で)、いずれも互角だ。


γ...
5. c4 d5 6. d4 cxd4
7. cxd5 Nxd5 8. Nxd4 0-0
=

c4なら(Nc3が来る前に)すぐd5と突っ掛けてしまって、d4は例によって即取って…
前図と同じ先後同形に合流させてしまえば問題ない。
9. e4 Nb4は後手を引く上にNc2まで生じて即死ぬ。

黒はQa4†さえ炸裂させなければ0-0を保留できるが、
流石にBg7まで省くとQxd4がRook当たりになって死ぬので本譜のタイミングが適当。
7. Qxd4 Nc6 8. Qh4...も全くの互角ながら一応ある。


γ...
5. c4 d5 6. cxd5 Nxd5
7. Qa4† Nc6 8. Qc4 Ndb4
9. Qxc5 b6 10. Qc4 Be6
=

Qa4†は頻出の筋で、Bd7~Bc6という受け方もある。
(cxd5を省いて Qa4† Nc6 Ne5は Qd6 Nxc6 Bd7でOK)
ただこの瞬間は白のBishopが遮られているため、本譜のc筋制圧作戦が成立する。

Nbd4にa3なら、Qa5とピンしつつ捌いてBe6を見る。


γ...
5. c4 d5 6. cxd5 Nxd5
7. Nc3 0-0 8. Nxd5 Qxd5
9. d3 Nc6 10. Be3 Bd7


Nc3を黒から取るのはdxc3で見た目以上にアカンし、
(黒にc4を突かれると角行Bishopが強過ぎて吐くので)白も9手目はd3かd4が省けない。
9. d4 cxd4 10. Be3 Nc6 11. Nxd4 Qc4...は全くの互角。

そうして Symmetrical English 本線のひとつに至るが、
11. Nd4 Qd6 12. Nxc6 Bxc6 13. Bxc6 Qxc6 14. Rc1 Qe6 15. Rxc5 Qxa2 16. Rb5...
以下b6もQa6も、どつき合った末に互角とされた。

よくわかんないけど結論は多分引き分けなのだろう。
チェスは引き分けの海を泳ぐゲーム…かもしれない。


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1. Nf3 Nf6 2. g3 c5

白が勝ちを目指す上で、c5はいつ突かれても手強い。
(対c5に関しては、初手e4や初手d4の方がやりやすい)


3. Bg2 d5 4. c4 d4
5. e3 Nc6 6. exd4 cxd4
7. 0-0 e5 8. Re1 Bd6
=

本来c4は黒e6~e5の手損を頼みに突きたいところで、
二手得でない一手得逆Benoniでは良くて互角どまり。

4. d4は(Nc6がないので)cxd4 Nxd4 e5で冴えないし、
4. 0-0 g6...も、前述した引き分け模様に戻される。


3. c4 d5 4. d4 dxc4
5. Qa4† Qd7 6. Qxc4 cxd4
7. Qxd4 Nc6 8. Qxd7† Bxd7
=

d4のPawn総ブツケにはdxc4とcxd4どちらもありそう。
Qa4†にBd7~Bc6や、Bd7~cxd4も普通に有力だろう。


3. c4 d5 4. d4 cxd4
5. Bg2 Qa5† 6. Nbd2 dxc4
7. 0-0 Qa6 8. Ne5 Be6
9. Ndxc4 Bxc4 10. Nxc4 Nc6


Bg2に g6 Nxd4 Bg7 Nc3は0-0省略が白の有利に働き、
その時だけはe5突きにQa4†~Ndb5が生じてしまう。

黒は内向きに取るなら囲った後か早めの方が安全で、
本譜なら途中Nxd4と来てもe5と追えるし悪くないか。


3. c4 d5 4. cxd5 Nxd5
5. Bg2 Nc6 6. d4 cxd4
7. Nxd4 Ndb4 8. Nxc6 Qxd1†
9. Kxd1 Nxc6 10. Nc3 Bd7
11. Be3 0-0-0 12. Ke1 e5
13. Rc1 Kb8 14. f4 f5
15. fxe5 Nxe5 16. Bf4 Re8
17. Rd1 Bc6 18. Bxc6 bxc6
19. Rd7 g5! 20. Bxe5† Rxe5
=

Bg2に g6 d4 cxd4 Qxd4は破滅する。Queen出を消し、
この場合はNdb4と躱すのが形で先番の利を消せそう。

Be3にはg6~Bg7もあるし、本譜もg5が妙手で互角だ。
(1/2-1/2 Kramnik - Kasparov, Frankfurt 2000)


※参考資料:
『Grandmaster Repertoire 8 - The Grünfeld Defence Volume One』2011 Boris Avrukh
『Opening for White According to Kramnik 1.Nf3 Book II』2001 Alexander Khalifman
『Shinya Kojima』(ブログ)
『Pigeon Log』(図面作成)


※※次回『白番不敗 Barcza System』