42角型石田流 | Thousand Days

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さうざん-でいず【千日手】
1. 同一局面の繰り返し4回。先後入れ換えてやり直し。
2. 今時珍しく将棋に凝っている大学生の将棋系ブログ。
主に居飛車党過激派向けの序盤作戦を網羅している他、
雑学医学数学物理自転車チェス等とりとめのない話題も…

※前回の記事『三間飛車久保システム』
※前提の記事『嘘矢倉対46歩型』

三間飛車から石田流に組み替える作戦は非常に有力である。
私は勝手に「遅石田」と呼んでいるが正式名称は判らない。

今回は最序盤で56歩と58金右を省けたと仮定して考える。
32銀~43銀を優先された場合は急戦策で必勝を期するか、
引き角以外の後手番嘘矢倉対策を用意しておく必要がある。

photo:01

26歩 34歩 76歩 44歩 25歩 33角
48銀 32飛 68玉 62王 78玉 42銀
77角 43銀 88玉 72王 98香…(O)


56歩を突いてしまうと、玉頭銀からの急戦が実にうるさい。
どう受けても角道が止まるので、結局石田流を実現される。

…43銀型の三間飛車には一直線に穴熊を目指すのが有効だ。
それでも54銀~65銀なら、26飛の一手で簡単に受かる。

photo:02

82王 99玉 72銀 88銀 35歩 56歩
42角 57銀…(O1)


後手が角を引くまでに88銀~56歩を間に合わせれば、
石田流への組み替えを自然に防げる。

これだけで鬱陶しさは驚きの七割減だ。(当社比)

…次に三筋交換でも34飛でも、46銀~68角の反撃が厳しい。

56歩の直後に54銀と出てくれば、55歩~26飛~86角~77桂。
穴熊のハッチさえ閉じれば、もう玉頭銀も何も怖くない。

※55歩に 65銀 26飛 52金左 86角 84歩 75歩 15角で銀が生き、
以下 16飛 51角 68角 36歩 同歩 54歩 同歩 43金などで難解。

photo:03

54歩 56歩 35歩 57銀 42角 46銀
36歩 同歩 同飛 37歩 31飛 99玉
52金左 88銀…(O2)


54歩なら玉頭銀の含みが消えるので、すぐに56歩と突ける。
後手は34飛と引いても、攻撃目標にされるだけで意味がない。

…石田流を阻止したら、一転して黙々と穴熊の整備に戻る。
ちなみに55歩や68角は急がないほうが良いと思う。

(先に 68角 34銀 36歩と準備してから)
55歩~58飛の筋で打開できるので、先手が急ぐ必要はない。

photo:04

35歩 99玉 42角 56歩 34飛 57銀
33桂 68角 45歩 46歩…(O3)


48銀型のときは、三筋交換に対して24歩~22歩と反発する。
(そのために先手は右金と飛車を動かさずにいるのだ)

33桂に代えて33角には、45歩を警戒しつつ角引きを狙う。
…具体的には88銀~55歩~46銀と進めていくのが手堅い。

33桂に代えて 54歩 46銀 53角も、 55歩 同歩 同銀で大丈夫。
…45歩には54歩があるし、54歩には46銀と戻れば問題ない。

33桂なら先に68角と引いて45歩を強要し、そして反発する。

photo:05

44銀 45歩 同銀 46銀 56銀 35銀
64飛 44歩 52金左 59金右…(X3)


この変化でも、後手は42角型が祟ってしまう。
途中44歩が利くのが大きく、59金右と寄った局面は先手充分。

(どちらも囲いが未完成なので、穴熊の遠さがモロに出る)

※46銀とぶつけずに78金と溜めておく手もなかなか美味。

photo:06

52金左 99玉 35歩 88銀 42角 56歩
34飛 57銀 33桂 26飛 82王 79金
72銀 59金…(O4)


先に52金左を入れておけば前述の仕掛け(O3)は防げるが…
32金型(や42金型)の選択肢を消したのは、大きな成果だ。

それなら先手も持久戦に持ち込んで特に不満はない。
33桂を見てから26飛と浮けば、16歩を省略できた勘定になる。

54歩を突くと66銀~55歩が生じる。
…わざわざ42角型を選ぶメリットがあるのかは相当怪しい。


p.s.
最序盤で56歩や58金右を決めると本稿の作戦は採りづらく、
遅石田含みの玉頭銀(通称「かなけんシステム」)が気になる。
58金右を省けば後手番でも悪くなさそうで、問題は先手番。

26歩 34歩 76歩 44歩 25歩 33角
48銀 94歩 96歩 32銀 68玉 43銀
58金右 32飛 78玉 62王 56歩 72王
57銀 82王 77角 52金左 88玉…(Ö)


54銀 66歩 35歩 46銀 51角 68角
36歩 同歩 同飛 37歩 31飛 35銀
34歩 24歩…(Öa)
54銀 66歩 12香 67金 64歩 98香
42角 46銀 45歩 57銀…(Öb)

端を受け、43銀に57銀も決める。54銀なら66歩のつもり。
54銀を決めての35歩には、三筋を全力で押し返して良し。


72銀 78金 35歩 98香…(Ö1)

54銀 99玉 65銀 75歩 76銀 88角
85銀 68金寄…(Ö1c)
42角 46銀 54歩 99玉 36歩 同歩
同飛 37歩 34飛 68角 31飛 88銀
45歩 同銀 35歩 77角 33桂 44銀
同銀 同角 45桂 46銀 37桂成 同銀
36歩 48銀 64角 55歩 69銀 68金右
78銀成 同金 37金 同桂 同歩成 56桂
55角 同角 同歩 44桂 62金寄 32歩
41飛 37銀 44飛 26角…(Ö1d)


黙っていても右金を寄せて 68角 34銀 36歩で打開可能。
先手78金型でお互い突っ張ると(Ö1d)に帰着しそうだが…

47飛成には48飛、74飛なら62角成〜53歩〜52金。
本線は 35歩 46銀 56歩 35角 34飛 54歩 35飛 同銀
57歩成 46銀 56ト 53銀 52歩 62銀成 同金 21飛…で、
71金や53金を見せつつ、61銀打には鍍金で攻める。


54銀 66歩 92香 98香 91王 99玉
82銀 88銀 71金 79金 74歩 68金寄…(Ö2)


35歩 46銀 51角 78金寄 36歩 同歩
同飛 37歩 31飛 68角 43銀 35銀
34歩 46銀…(Ö2e)
42飛 26飛 45歩 36飛 43金 26飛
64歩 36歩 62飛 28飛 65歩 同歩
同銀 33角成 同金 24歩 同歩 37桂
67歩 78金寄…(Ö2f)
42飛 26飛 45歩 36飛 43銀 78金寄
44角 46歩 同歩 同飛 35角 47飛
54銀 46歩 44角 36歩 62金寄 27飛
33角 37桂…(Ö2g)
42飛 26飛 45歩 36飛 43銀 78金寄
44角 46歩 同歩 同飛 33桂 36歩
54銀 68銀 45歩 49飛 62金寄 35歩
同歩 34歩…(Ö2h)


三間穴熊は左美濃急戦に備えており、先手も66歩が自然。
遅石田は怖くない。64歩不突型の手損四間に組まれても、
36飛〜46歩が筋で、堅陣から一歩を持って打開できる。


54銀 66歩 92香 98香 91王 99玉
82銀 88銀 71金 79金 74歩 68金寄
64歩 78金寄 62金寄 36歩…(Ö3)


14歩 55歩 同銀 24歩 同歩 35歩
同歩 65歩 54歩 64歩 73金 46銀
64銀 34歩…(Ö3i)
73金 68飛 14歩 55歩 同銀 65歩
54歩 86角…(Ö3j)
72金寄 86角 73金 68飛 45歩 38飛
44角 28飛 33角 59角 72金引 37角
63銀 68銀…(Ö3k)


単純組み合いも、55歩(63銀には56銀)を軸に打開できる。
途中68飛〜55歩を見せるのが簡明で、45歩を見て帰る。



※次回『51角型石田流』


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